初戦闘。
初めての戦闘。
「とりあえずは、冒険者ギルドに行きましょう。」
「和風だけど、カタカナが付くんだな。」
「そこは、馴染み易さと分かり易さ優先らしいわ。」
「ふ~ん。と言っている間に着いたみたいだぞ。此所がそうなのか?」
「ええ、そうよ。此所が始まりの街の冒険者ギルドよ。冒険者登録する為に入りましょう。」
「そうだな。入ろうか。」
俺とリンが冒険者ギルドに入ると、中に居る冒険者が一斉に見るが直ぐに、見るのを止めた。
俺とリンは冒険者登録する為に受付嬢の列に並ぶ。
「ようこそ。冒険者ギルドへ。貴方達も登録ですか?」
「はい。そうです。やっぱり、今日は多いですか?」
「その質問が出るという事は貴方達も『渡り人』ですね。」
「ええ、そうよ。」
「3週間前に、全ての国々に創造神様からの『神託』が降りて、備える様にと聞いています。この世界の停滞を破る為に異世界より大量の転生者を送ると。その転生者を私達は『渡り人』と呼んでいます。以前にも創造神様が渡り人を送り出していたので、ある程度は渡り人に寛容ですよ。さて、冒険者登録ですが、この用紙に記入をしてください。」
「分かった。」
「分かったわ。」
俺とリンは用紙に記入して受付嬢に渡すと、次は直径15cmくらいの水晶球を出した。
「では、順番にこの水晶球に触れてください。」
「私が先に触れるわ。」
「何故先に?」
「念の為よ。」
「……?」
「では、リン様の方からどうぞ。」
「はい。」
リンが触れると水晶球が緑色と黒色に強く輝いた!
「素晴らしいですね。強く輝く上に2色なんて!」
「どういう事?」
「この水晶球に触れると内在する魔法の属性やある程度の魔力量が分かるんです。後、個人指定の為に使います。この水晶球を通す事でギルドカードは登録した本人しか使えない様になります。」
「なるほど。」
「リン様の登録は完了しました。次はソーマ様です。」
「分かった。……リン。何故、身構える?」
「念の為よ。」
「リンの考えは解るけど、そうそう、ラノベの主人公みたいになる訳無いだろ。」
「それでもよ。」
「リンは心配性だな。」
そう言いながら水晶球に触れると赤色、青色、緑色、茶色、白色、黒色に光った後、金色に輝いたと思ったら水晶球が粉々に砕け散った。
「え!?」
「ウソ!?」
「……やっぱり。受付嬢さん、登録は出来た?」
「……はい。」
「なら、そのまま手続きをお願いするわ。多分、水晶球が壊れていたという事が無いと思うから、予備の水晶球を出す必要は無いわ。」
「……分かりました。登録自体は出来ていますので手続きをします。……これが、ソーマ様、リン様のギルドカードです。」
俺とリンはギルドカードを受け取る。
若干、受付嬢さんの手が震えていたが気付いていない振りをした。
「次に、冒険者ギルドの『ランク制度』を説明します。」
内容は、下からGから始まって、次がFで最後がAで、その上に『S』が有るが、これはAランク冒険者が国を2つ以上を救った等の英雄的な結果を出した者に贈られる称号の様なモノらしい。
だから、最高ランクが『A』になる。
立場は、Gが予備扱い、Fが初心者、Eが半人前、Dが一人前、Cが三流、Bが二流、Aが一流でSが英雄となる。
だから、Dランクが最初の目標となる。
次に冒険者が受ける依頼だけど、依頼は同ランクか1つ上のランクを受ける事が出来る。
依頼を失敗した場合は、その依頼の報酬と同額の罰金というペナルティが発生する。
依頼内容にも因るが、依頼が失敗した時は冒険者登録剥奪のペナルティが発生する場合が有るらしい。
次に、ギルド内での冒険者同士の諍い、要するに喧嘩は、先に殴り掛かったり、剣等を抜いた時にその場の責任を背負う事になる。
それ以外にも言われたが、それらは、その都度で聞けば良いみたいだ。
「……以上になります。何か質問はありますか?」
「「ありません。」」
「それでは、受付嬢のミレイが担当しました。貴方達に創造神様の祝福があらん事を。」
《ソーマのチュートリアルが終了しました。》
「ん!?」
「ソーマもチュートリアルの終了の表示が出た?」
「ああ。出たぞ。」
「それなら、早速、依頼ボードを見てみよう?」
「分かった。」
「ちょっと待ちな。今日はやたら冒険者登録するヤツが多いが、こんなガキまでか。お前らみたいなガキが冒険者になれねぇよ。ギルドカードを置いて、消えな!」
《受付嬢に助けを求めますか? はい/いいえ》
折角の冒険者ギルドでのテンプレだ。
ありがたく先人達に倣うか。
カーソルの《いいえ》を選択する。
「そうか。なら、身体に分からせてやる! おらぁ!」
「ソーマ!?」
殴り掛かって来た冒険者の右拳を払い落とし、その流れのまま右膝蹴りを腹に打ち込み、沈み掛けた所を右肘を首筋に落とす!
「なっ!? グフゥ……ガッ……」
「ソーマ、大丈夫?」
「大丈夫だよ。」
《倒した冒険者の全装備品と所持金を徴収しますか? はい/いいえ》
俺はカーソルの《はい》を選択した。
すると、冒険者が身に付けていた装備品が光った後、消えた。
《指定された冒険者の全装備品と所持金は旅袋に収納されました。》
「ソーマ、こんな冒険者の持ち物なんて、気持ち悪いからさっさと売り飛ばそ。」
「そうだな。」
俺達は受付嬢ミレイさんの所に行った。
「ソーマ様。見事な戦いでしたね。」
「あの冒険者の持ち物だった装備品を売りたいのですが、出来ますか?」
「はい。先程も申した通り、責任はあの冒険者に有りますから、その徴収した装備品は、ソーマ様の自由です。」
「じゃあ、お願いします。」
俺は旅袋から、倒した冒険者の装備品を出す。
「では、査定しますので、暫くお待ち下さい。」
「ソーマ。幾らになるかな?」
「大した金額にならないと思うよ。」
「それもそうね。」
受付嬢のミレイさんが奥から帰って来た。
「お待たせ致しました。合計が銀貨9枚になります。」
「分かりました。」
「それでは、ギルドカードをお願いします。……処理が終了しました。ギルドカードをお返しします。」
「それじゃあ、依頼ボードを見に行こう。」
「ああ。」
「……ソーマ様は何者? 『渡り人』の中でも異様だわ。」
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




