ボス戦~宝玉喰い
最深部に潜んでいるのは?
日間ランキング第25位
応援ありがとうございます。
これからも頑張ります。
俺達は最深部の採掘場に入る為の出入口手前で、最後の確認をしていた。
執事さんから貰ったヤツは4本ずつだから、全員に1本ずつ所持した。
「さて。準備は良いな?」
「大丈夫だよ。」
「はい。」
「ええ。」
「キャン。」
「カァー。」
「じゃあ、行くぜ!」
《鉱山の主の領域に侵入しました。鉱山の主『宝玉喰い』を討伐するか、全滅しないとこの領域からは出られません。》
「試しに『鑑定』!」
「どう?」
「……駄目だ! 殆どがやっぱり弾かれた!」
「運営もケチよね。」
「戦闘開始前の分析だが、やはり、蜥蜴系か。しかも、名前が『宝玉喰い』か。予測だが、土属性魔法で攻撃と噛み付きに突進って所か。
特殊攻撃は宝玉を使ってくる可能性が有るから注意してくれ。」
「分かったわ。」
「はい。」
「ええ。」
「紅牙と古都魅はラビの近くに。」
「キャン。」
「カァー。」
「GHAAAaaaーーー!」
「……鳴くんだ!」
「リン! 来るぞ!」
「おっと!」
「ラビ、サポートを頼む。」
「任せてください!」
俺とリン、セリカが突撃する。
……予想通りに防御力は高いが攻撃が通る。
これなら……
「皆さん! 散って!」
ラビの声に俺達は宝玉喰いから離れると、俺達が居た場所から、土の槍が突き出た。
ラビのお陰で助かった。
「ラビ。ナイスアシスト。」
「ラビ、助かったわ。」
「ラビ、ありがとう。」
俺達はラビにサポートをして貰いながら攻撃を続けていると、再び土の槍が!
しかも、全方位に放つ。
今回もラビのお陰で助かったが、土の槍を放ち俺達が距離を空けた時、宝玉喰いは、外見の色が薄い茶色から黒色に変化した。
「皆、第2ラウンドだ!」
「分かったわ!」
「はい!」
「ええ!」
因みに、紅牙と古都魅はきちんと働いている。
宝玉喰いが4回攻撃したら、その内1回はラビを直接狙って攻撃しているが、その攻撃は紅牙が対処している。
古都魅も宝玉喰いが土の槍の攻撃が発動する前に鳴くので、それを聞いたラビが確認して俺達に呼び掛けている。
後、ラビも合間に水属性魔法を放っている。
第2ラウンドだが、黒色になった宝玉喰いは、更に防御力が上がっていた。
土の槍も宝石の槍に変わっていて、より速く、より広範囲になった。
「時間を稼いで。凄いの出すから!」
「分かった! リン! 悪いが俺も準備する。」
「分かったわ。任せて!」
こういう時は盾型タンクでは無く、回避型タンクが出来るリンの存在は有難いな。
俺も始めようか。
「封印の扉を開けし舞姫よ。刹那の夢幻を支配せし者よ。
その艶やかな舞で魅了せよ。神霊召喚!天字受売女!」
舞姫が踊り、藤の花びらが咲き乱れ、その身に神を降ろす。
セリカがラビに合図を送る。
「リン、ソーマ、行けます!」
ラビがセリカの準備完了を報せる。
「俺が先に行く!」
ブーストしたステータスを使い、殴る蹴るを繰り返して、怯んだ所に……
「破邪虎牙鳴動掌!」
表面的な防御力を無視して内面にダメージを与える浸透系の攻撃だ。
「セリカ!」
俺が作った隙にセリカの攻撃を畳み掛けるべく、セリカに声を掛ける。
頷いたセリカは叫ぶ。
「烈風螺旋槍ーーー!」
螺旋の渦を槍の穂先に纏わせ、セリカは正に風となって宝玉喰いに槍を突き刺す。
「GHAAAーーー……」
《鉱山の主『宝玉喰い』は討伐されました。》
《討伐した4名には討伐報酬が贈られます。》
この後、「封神」して、レベルやスキル等のメッセージを見て、討伐報酬を確認する。
共同報酬は、それぞれに「宝玉喰いの皮」、「宝玉喰いの精製鋼」だな。
そして、ラストアタックを達成したセリカには、「宝玉喰いの魔石」と「宝玉喰い討伐の証」を手に入れた。
「「「「やったー!」」」」
俺達はハイタッチをして、勝利を祝った。
《チェーンイベント『鉱山の調査』が完了しました。》
「やったな。」
「セリカ、やったね。」
「リンちゃん。ありがとう。」
「皆さんの連携の勝利ですね。」
「それにしても、凄い技だな。」
「うん。少し離れた所から全力で走って全力の攻撃を繰り返していたら出来たの!」
「セリカ、偉い!」
「えへへ。」
「キャン!」
「カァー!」
リンがセリカの頭を撫でている。
微笑ましいな。
ラビも慈母の顔になっている。
……同じ年なのに。
帰途の途中で死ぬのは嫌だから、貰った治癒の魔法水(小)を使い回復し、討伐報告をする為に帰る。
地下通路を使い、領主館に到着した俺達は、迎えに来た執事さんの案内で、再び領主の前に座って報告する。
「随分早い様だが、途中報告か?」
「いえ、結果報告です。」
「何!? もう分かったのか!」
「はい。原因はモンスターが住み着いていたみたいです。」
「そうか。それなら冒険者ギルドに討伐依頼を出さなければならないな。」
「その必要はありません。」
「どういう事だ。……まさか!?」
「はい。討伐しました。」
「本当か!」
「はい。セリカ。」
セリカは「宝玉喰いの魔石」を領主に見せる。
「うむ。信じよう。」
領主がまたパンパンと手を叩く。
執事さんが少し大きめの箱を持って来た。
「これが、今回の調査に対するお礼だ。受け取って欲しい。」
執事さんが中を見せると、中身は朱い魔石の男女兼用のブローチだった。
名前は「朱魔石のブローチ」。
そのまんまだな。
「最初は朱真珠にしようかと思ったが、それだと儂らと繋がりが有ると誤解される可能性が出る為にこっちにした。」
「本当に良いのですか?」
「ああ。構わない。あの鉱山が使えない方が余程被害を受けるからな。」
「ありがとうございます。」
「さて。そのブローチの効果だが、異常状態の『毒』と『麻痺』に微小だが、装着者に耐性を与える。冒険者には必須とも言える物だ。使って欲しい。」
「有り難く頂きます。」
俺達は、朱魔石のブローチを装備した。
《イベント『領主の歓迎会』が完了しました。》
この後、俺達は解散した。
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




