ソーマ、魔法解禁日。
ソーマ、遂に魔法を使う。
「「……え!?」」
「あらら。固まったな。」
5分後
「はっ!」
「あれ?」
「おや。気がついたかな。」
「……はい。まさか、分御魂とはいえ、『三柱貴子』が一柱の『月読神』に会えるとは思わなかったよ。」
「君達が、そういう『縁』を持っているからだよ。」
「確かにそうかもな。」
「自信を持ちなさい。さて、『神の恩恵』だが、先程も言ったがソーマには掛けられている封印を1つ解こう。リンには器を倍にする。」
「え!? 先程言ったのは神のスキルを1つと言っていたと思うのだけど。」
「説明が足りなかったな。その神のスキルが、制限が掛かっているリンの常時使えるスキルを倍にするんだ。」
つまり、普通は常時使えるスキルは「10個」までだが、その「神のスキル」に因って、リンが常時使えるスキルが「神のスキル」を除いて「19個」になるという訳だ。
制限の無い俺が言うのもアレだけど、これでリンも公認チーターだな。
「勿論、その『神のスキル』にも、2つ目の効果が付いているよ。」
「ありがとうございます。」
「さて、当然ながら『神の恩恵』は只で与える訳にはいかないのは分かっているね。」
「「はい!」」
「リンだが、そこの紫色の扉を潜り抜けて、向こうに居る者の指示に従って欲しい。」
「は、はい!」
「そんなに気負わなくても良いよ。長所を伸ばして短所を補うだけだからね。」
「分かりました。ソーマ、行ってくるね。」
「行ってらっしゃい。」
その後、リンは振り返る事なく、紫色の扉を開けて入っていった。
「さて、次はソーマの番だが。」
「はい。」
「これは確認だが、魔法を使いたいのか?」
「はい。最初はそのつもりだったのですが、この地に降り立つと、何故か封印されている状態で、更に、大地の武勲に因って、より前に出て戦う者としての力が付いてしまっています。」
「なるほどね。しかし……」
「しかし?」
「所謂、『真の力』と云える全力は種族の封印を解く必要が有るだろうね。まあ、今回の封印を解けば、それなり以上は魔法を使えるから大丈夫だよ。」
「……はい。」
「さて、ソーマは、あっちの黒色の扉を潜り抜けて、向こうに居る者の指示に従って欲しい。」
「分かりました。」
俺は黒色の扉を開けて入っていった。
「さて、『私』の計画の『鍵』になってくれるかな?」
2時間後
「しんどかったよー、ソーマぁ! ……って、ソーマは?」
「お帰り、リン。まだソーマは帰って来てないよ。」
「ソーマは何処に行ったの?」
「ソーマは、あっちの黒色の扉だよ。」
「そっかぁ。」
「ソーマも、もうすぐしたら帰って来ると思うよ。」
「はい。」
「しんどかったぁー!」
「お帰り、ソーマ!」
「ただいま、リン。」
「お帰り、ソーマ。」
「良く、あれだけ地味でキツい内容を揃えましたね?」
「はっはっはっ。そんなに褒めても何も無いぞ。」
「褒めてません。」
「さて、お待ちかねの『神の恩恵』だ。」
月読神から、淡い光が2つ現れて、俺とリンを包んで、数秒で消える。
《ソーマの『魔法スキル』は全て解除されました。》
《ソーマの職業が『決闘士』から『魔闘士』になりました。》
《リンはスキル「月の光」を修得しました。》
《リンのスキル制限が倍に拡張されました。》
「やったー! 脳筋とおさらばだー!!」
こうして俺達は、月読神に挨拶を済ませ、小屋を後にして宿屋に泊まり、ログアウトした。
翌日
街の中央の噴水でリンと待ち合わせだ。
リンには感謝だな。
俺が魔法を使えないと分かった後は、俺の前では魔法を使おうとはしなかったもんなぁ。
「ソーマ、お待たせ。」
「よ、リン。」
「ソーマ。今日は魔法解禁日だけど、何処で確かめる?」
「リン。お勧めは有るか?」
「うん。南西にちょっとした荒野が有るからそこはどうかな?」
「ああ。そこにしよう。」
「じゃあ、行こう!」
「ああ。」
「キャン!」
30分後
荒野に到着した俺達は、リンから魔法のレクチャーを受けていた。
アロー系、ボール系、ランス系、ウォール系と、一般的に使える全属性の魔法は全て使える事が分かった。
次は連射速度に、系統別の同時発動の確認をする。
此処が本当に異世界だったら、この後、極○消○呪文に挑戦している所だな。
他にも色々と確認したけど、思っていた以上に自由度が高い事が分かった。
リンはリンで色々と確かめながら、この荒野に出現するモンスターを狩っている。
しかし、リンも凄いなぁ。
ロックゴーレムに対して首狩りをスパスパしている。
さて、身体が温まった所で、リンとPvPをした。
制限は魔法だけはダメージ判定が出ない様にして、後は制限無しにした。
魔法のダメージが無いだけで、「閃光」を使えば数秒間は視覚を奪えるし、雷系なら数秒間は痺れる。
「リン。始めるぞ。」
「ソーマ、良いよー。」
「分かった。」
《ソーマとリンのPvPを開始します。……始め!》
15分後
「どうだ、リン!」
「ソーマ。何? あの魔法の使い方は!?」
「まあ、同時進行は結構キツいが、慣れれば問題無いしな。」
「ソーマ、私も使っても良い?」
「勿論だ。但し、コピーではなく、きちんとリンに合わせた改良をする事。」
「分かったわ。」
この後も、多種多様な魔法の華が舞散った。
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