最初の強化。
ソーマは導かれた先には?
街道に戻った俺達は北に向かって歩いていた。
「ごめん、ソーマ。」
「どうした、リン。」
「実はまだ北エリアの情報収集をしてないんだ。」
「ああ。そんな事か。別に気にしてないよ。」
「そう……」
「普通の異世界転生なら、そんな情報は手に入らないからな。」
「そう、よね。それにうちにはソーマが居るし。」
「リン! 散々ディスっておいて、こういう時はちゃっかりご利用か?」
「うん。ソーマって持っているよね。」
「……ピーマン料理追加。」
「ソーマ様、ごめんなさいーーー!」
「全く、リンは……。」
「キャン。」
北に向かいながら、たまに出て来る、ゴブリンやウルフやオークを倒しながら進む。
「さて、北の森に到着したけど、何かイベントが発生するかな。」
俺達はイベント発生を期待しながら、北の森を彷徨いたが、特に無くてどうしようかと考えた時、何か、透明人間に袖を引っ張られる様な感覚が有った。
「リン。何か引っ張られるんだけど。」
「それなら、その引っ張る方に行こう。」
「良いのか?」
「うん。」
「分かった。」
透明人間?に先導された俺達は、如何にもな隠しダンジョンっぽい洞窟を発見した。
勿論、透明人間?の案内も終了した。
《シークレットイベント「砕かれた欠片(参)」が発生しました。》
「イベント来たね。しかも、『シークレットイベント「砕かれた欠片(参)」』だって! 『参』という事は、『壱』と『弐』が何処かに有るって事だよね。」
「……ああ。きっと、ラノベの主人公も今の俺と同じ思いを持ったんだろうなぁ。……ある意味、理不尽だ。」
「分かった分かったから。ソーマ、行きましょうね。」
「キャン!」
「……分かった。行くよ。」
……と、言っても。
特に罠とかも無い1本道で、隠しスイッチもなく、突き当たりの扉に到着した。
俺達は意を決して扉を開ける。
中に入ると、闘技場みたいな場所で、それ以外は周りには見当たらなかった。
そして、闘技場の中央には、堅牢なゴーレムが居た。
【資格を持ちし者よ。証たる神器を見せよ。】
「リン。神器って何だ?」
「多分、武勲から貰った刀じゃない?」
「そっか。」
俺は異空間から「鬼神刀」を出す。
【証たる神器を確認した。】
《岩人形と戦いますか?》
《はいorいいえ》
戦闘の有無が俺だけの様で、リンは舞台の袖で待機し、俺は舞台に上がる。
《戦いの意思表示がされました。》
《勝利条件、岩人形の破壊》
《敗北条件、ソーマのHPが残り1割以下に減少》
「さて、頑張りますか。」
「ソーマ。頑張って。」
「ああ。」
「キャン!」
《岩人形との戦闘開始。》
「行くぜ! はっ!」
ギィン!
「硬てー!?」
「ソーマ。あの刀を使わないの?」
「……そうだな。」
俺はリンのアドバイスで、武器を鬼神刀に変えた。
それでもまだ硬かったが、最後は久しぶりに成功した「兜斬り」で岩人形を破壊した。
《岩人形が破壊されました。》
《シークレットイベント「砕かれた欠片(参)」が達成されました。》
岩人形から光の玉が出て、俺の鬼神刀に当たり消えた。
俺は、鬼神刀を視る。
「鬼神刀に貫通の効果が追加されている。内容は、5割の確率で、追加ダメージを与えるみたいだな。その時のダメージ量が2倍だ。」
「貫通効果は当たりだよ。ボス戦とかの長引く戦闘では特に影響が強いわ。」
「一応は、他に何もないか調べておこう。」
「分かったわ。」
……ちくしょう!
やっぱり有りやがった!
岩人形の中にはテニスボール位の黒い宝玉が、奥の如何にもな「神像」が動いて、台座の下に隠し収納的なスペースにはこれまたテニスボール位の赤い宝玉が有りやがったよ!!
しかも、鑑定したら全て「???」になって何も分からないし。
他には何も無かったな。
正体不明なインゴットとか、用途不明な魔道具的な何か。
……あと、ヒントな。
日記帳とか何かのメモ帳とかな。
……うん、もう無いな。
「撤収。」
「分かったよ。」
「キャン!」
さて、武器の入れ替えを済まして、続きをしよう。
因みに、洞窟は俺達が出た後は出入口が消え、ただの岩肌になって再び入る事が出来なかった。
とりあえず、休憩を兼ねて街に戻ろう。
序でに紅牙の従魔登録をしよう。
異世界転生だと、冒険者ギルドかな?
「紅牙は冒険者ギルドに行けば、従魔登録が出来るよ。」
「やっぱりか。」
「それじゃ、出発だー!」
まあ、紅牙の存在も、後からリンに掲示板が荒れてた事を聞いた。
俺達は異世界転生あるあるで、門番で軽く揉めて、冒険者ギルドでも揉めて、無事に紅牙を従魔にする事が出来た。
「さあ、吐け! 何処で手に入れたぁ!!」
「そんな言い方されて、誰が教えるか!」
「おい! 貴様を仲間に入れてやるから、教えろ!」
「ごめんだね。」
「お前は召喚士でもテイマーでも無いんだろ? どうやったんだよ?」
「礼儀がなってない奴には教えん!」
「ねえ、坊や。お姉さんには教えて欲しいな。」
「ソーマ、分かっているわよね?」
リンが笑顔で言ってきた事で、何かを察したお姉さんは離れてくれた。
それに合わせて静かになったから、ヒントくらいは言おうかな。
「なら、ヒントだけは教えてやる。」
「それは何だ?」
「異世界あるあるだ。」
聞いても分からない顔をする者と、何かが分かった様な顔をする者とに別れた。
閑散となったギルドで、俺とリンで今後は何処に行くか話し合った。
「そうね。それなら、南の森に行く?」
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