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幸せを願って(改正版)  作者: 宮原叶映
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心友

 ごめん。遼にそう思わせて。

 俺は、そういうつもりじゃなかったんだ。

 遼は、どんな気持ちでこれを書いたのか。

 俺は、遼に何てことをしたんだ。

 俺は、もっと遼と話せば良かった。

 俺は、涙がとまらなかった。

 お前のせいで、涙もろくなったぞ。どうしてくれる。

 

 俺達の出会いは小学校の時だった。俺は、遼に親がいないことを最初は何てかわいそうなやつなんだと同情してたんだと思う。

 

 でも、実際に話してみると違った。とても、楽しいんだ。遼は体が弱くても、何事でも諦めないんだ。出来るまでやり続けた。俺は、その強さに憧れていたんだ。遼は、同い年なのにどこか大人で優しいんだ。

 遼へのいじめは、俺が原因だったのに彼は怒らなかった。俺は自分が許せないのに、遼は許すと言った。


 その経験を元に他の人を助けたいと言った。本当に、強いと思った。

 でも、本当の遼は体が弱く、心も弱いんだ。そんな遼は自分より、他の人を思って行動する。

 それが、結果的に、自分が傷つくことになったとしても、それでも遼は他の人を周りの人間を思って行動するだ。

 それは、いつか壊れてしまうんじゃないかって思うんだ。

 

 だから、()が支えないとって思った。そうしたら、妹のさなえが遼を支えた。

 それだったら、俺はふたりを支えよう。何かあったら、ふたりを助けよう。そう思って、行動したら、ふたりに過保護って言われた。

 それでも、俺は、遼の心友で良かったって思うんだ。心友になって、幸せだった。毎日が、楽しかったんだ。


 

 遼は、俺のことを縛ってもないし、足枷でもない。本当だ。遼のためにしたことが、逆に俺がお前を縛っていたのかもしれない。

 遼の言う通り、俺は立ち直れていない。

 

 お前を忘れることは、一生出来ないと思うんだ。


 俺が、モテるのかどうかは分からない。でも、お前達をみていたから分かる。結婚して家族を持つことは、暖かくて幸せってことを。

 遼の手紙で気がついた。遼は、過去にいるのか。考えてもみなかった。俺は、ずっと過去にいたのか。

 過去の存在となってしまった遼のことで頭がいっぱいだったから。俺は、もう過去じゃなく、今を見ないといけないんだ。


 遼が言うように俺は、今を生きていないのかもしれない。遼の言葉には、重みを感じる。遼は、俺が悩んでいるのを天国でみて、心配になって手紙を出してくれたのかもしれない。

 さなの言う通り予測して書いてくれて、俺が立ち直れてないって分かって手紙が出てきたんだ。

 

 俺が、立ち直れるように、時を進めるためのきっかけとして。

 そうだ。人生は、一度きりだ。

 遼は、その人生を一生懸命に生き抜いた。俺も生きなければならないのだ。


 遼が亡くなった今の俺は、幸せではない気がする。時を進めたら、幸せってことが分かるかもしれない。

 

 遼のこの手紙のおかげで、俺は立ち直れるかもしれない。

  少しずつ、時を進めてみたい。もう、時を進めてもいいよな?

 止まっていた時計の針がカチッと動き出した音が聞こえた気がした。

読んでいただきありがとうございます。

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