プロローグ『選定』
此れは名も無き英雄の記録。神の悪戯により選ばれた少年の御伽話のような戦記
何故、私は剣を握る?
何故、私は歩みを止めない?
何故、私は剣を奮う?
戻るべき故郷は最早無く、道はない
戦う術はあれど、助け合う仲間は既に地に転がっている
何度斬った?穿った?射った?抉った?
何度斬られ、穿たれ、射られ、抉られた?
何度血の海を作り、屍の山を築き、命を奪った?
名誉や地位、抱えきれないほどの黄金、数多くの武器
そして、愛すべき人々、かつて仕えた主君、愛しき貴女
そんなものなど、戦争において、何の意味もなく、全て奪われる
蹂躙、強奪、凌辱、圧政、暴虐、腐敗、破滅、衰退
涙は当に枯れ果て、希望などない絶望の世界に
今、私は血の海に沈みながら澱んだ空の太陽を見つめる
私に名前などない。
彼方此方と並ぶ名も知らぬ戦士達と共に
彼らと同じ罪を背負い、静かに目を閉じ――――
『目を覚ませ、少年。罪を背負いし者よ』
・・・何の声だ?
罪ってなんだ?俺、生きていて悪い事した覚えはないんだけど。
『汝は己の名を知らず、世界を敵に戦ってきた』
・・・嫌、自分の名前ぐらい知ってるし、世界を敵に回した覚えもないけど。
ていうか、ここは何処だ?真っ暗で何も見えない。
『汝は此れより贖罪の旅に行かなければならない。汝の罪は其れ以外では清算できない』
贖罪?旅?一体何のことだ?
解らない。全く解らない。
『行け、汝、救い在らん事を』
頭が追い付かない。お前は誰だ?
一体此処は何処で、俺に何をさせようとして――――
「・・・夢?」
目が覚めた柚希駆の第一声は何とも間の抜けた台詞だった。
当たり前だ。さっきまで自分は自分の部屋で寝ていた。あんな訳の解らない事を言われたら、夢に違いない。自分じゃなくてもきっと誰もが思うだろう。
だが、頭が冴えて、気付いた。ここは自分が知っている部屋じゃない。
「ここは・・・どこだ?」
身体を動かそうとすると、激しい痛みが襲ってくる。頭痛がする。吐き気が襲ってきて、思わずシーツに吐いてしまった。
嘔吐物には、血が混ざっていた。
「え?」
よく見ると、自分の身体や頭に包帯が巻かれているのに気付いた。
はじめまして、カボチャと申します。
この度は御閲覧ありがとうございました。
冒険譚書いてみたかったけれど、どのような物語かを構成したらいいのかを考えて書きました。
まだ馴れないですが、不定期更新で書いていきます。