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共通② 変わり者の詩人
「うわああああ」
――叫び声がしたと思えば、家の近くでどさりという音がした。
「貴方大丈夫?」
白いローブをした青年が家の前で行き倒れている。
「……お腹がすいた」
「どうしようお兄ちゃん」
「ツェンツィに聞いてみないことにはな」
兄は清羮汁をつくっている。
よくわからないが牛からとったダシへ野菜を混ぜて裏ごししたものらしい。
「そのスープをくれたら好きなだけ金貨あげる」
「金貨が本物という証拠は?」
「ちょ、お兄ちゃん」
シェフじゃないんだし普通はタダであげるスープくらいで相手を疑うことはないと思った。
「偽物だったら普通はやらない」
たしかに偽金貨なら通報されれば捕まるし、スープくらいで普通は払わないだろう。
「しかし普通の人間が食えるようなものじゃないぞ」
「止めておいたほうがいいよ旅人さん。お兄ちゃん味覚オンチだから」