第6話 飛行ユニット入手
「ちっお前はさっさと終わらせてやるよ。行けっ!ゲイボルグッ!」
ゲイボルグ。相手の心臓を貫いたあとに手元に戻ってくる投げ槍。
さくっとそれを受け止めさえしない。それでも無傷であるのが分かっているからだ。が、しかし、
…ウェイトが足りないためか、当たったまま後ろに飛ばされ、離陸までしてしまう。まるで槍が「鼻先にニンジンをぶらさげた馬」のようだ…
…ある意味いい移動手段を手に入れたものだ。背中側に持って来れば後ろから空を飛ぶくらいまで押してくれるのだ。後で少々加工しておこう。なくても飛べるのだが、見かけ上あるように見えるのが重要。
とりあえず、方向調整…川に着水して…。
と…槍が戻ろうとしているかのようだ。逃がさん。逃がしはせんぞ。こんな便利なものは。
後でではなく、さっそく、改造を始める…とりあえず、持ち主の所に戻らないように、かつ心臓を貫くという飛行ユニットのON、OFFができるように等。
…とりあえず、私の知っている神さま作という訳ではなさそうだ。それだと改造などできないだろうし。
そういえば、報酬をもらってなかったけれど、この槍を報酬ということでこっそりもらっておこう。本当は値段がつけられないくらい高いだろうけれど。
「やっと完全に身体が慣れたみたいだねー。喜ばしいよー。これでもう元の姿なんて違和感があって戻ろうと思えないよねー」
知っている神さま作だと楽々と強力な投げ槍の速度にもついてくる。
「何を言うと思ったら…元に戻れるんだったら戻るつもりです」
「でも元に戻る方法なんて他にもいくつもあったよねー。別に自分の肉体を修正するだけじゃなくてー」
「何っ…確かにそうだ…思い浮かべるのは常に最強の自分っ!くっもはや違和感しか感じない…なぜ言わなかった!」
「一度ダメだったからって諦めてたでしょー?単細胞だからー。それに計画通りと思ったからさー」
「…計画通り…」
「肉体なんてただの見かけだから気にしなくていいのにー。ただし男以外ー」
…くっお前はそういうヤツだった…