第5話 傍観イベントを阻止しよう
「実は姫さまが少数の手勢を連れて穴を掘りそこから逃れられたようでな」
上から目線ではないんだ。と思っていたが、こっちの要求はまるっと無視ですか…まぁ私でもいきなりあのセリフはどうかと思った。
まぁそれは後でこの隊長さんっぽい人に請求するとして、とりあえず周りをさぐる。上空から地下にいたるまでレーダー型の対人用のものを。
「ふむふむ。これが姫さまのつけている匂いか…と姫さまも風上にいるのは運があるのかないのか…」
とそれらしい言葉を並べる…しかし良かった。王子援護とか無駄に乙女ゲールートに入ってもらっては困る。
「オッケー…あやしい一団を発見!」
しかし、もしかして姫さまというのは男…?
ドレスやメイクとかもばっちりきめているが…男なのに、なぜ姫と呼ばせているのかわからない…きっと何か事情があるのだろう…きっと…私ならわかる…
目標が分かったら、即実行。右手をつきだし山の中腹あたりに雷を落としまくる。
「これで依頼完了。あとはあの辺りを探索してみましょう。どういう状態か分かるよ」
と取りあえず恐れおののいている周りにニッコリとほほ笑む。
先行者の後ろから、ゆっくりとその落雷のあった場所にたどりついてみると…
「あぁ。助けてくれてありがとう。あのままだと…わたくしは…あの場で…」
と姫さまが隊長さんに抱き着き、震える。
…思うに…あの場で何かあっても、影武者では?と思われたのでは?とかは言ったりしない…
…それに、あの時、隊長さんは手助けしてなかったよね?とも言ったりしない…
すると、捕縛されていたはずの一人が槍を手に立ち上がる。
…槍で手錠を切り離したらしい。なんて器用なヤツなんだ…
「団長…あんたはいつもそうだ…いつもいつも美味しいところを取って出世していく!こうなったら貴様には悪いが一緒に地獄に落ちてもらおう!」
「副団長、おとなしく縛につけ…」
ふむふむ。隊長ではなく、団長さんだったのか、まぁそれ以上に…
「そうはさせるかっ!」
…当然そこに割り込む
「なにヤツだ!なぜ邪魔をする!」
「当然だっ!イベントをNPCキャラに総取りされる傍観イベントなんて現実は捨ててしまえ!」
…くっこうやって他の異世界人と同じようにこちらの世界に干渉してしまうことになるのだろうか…