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忍び偲べ  作者: 相川美葉
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 一ヶ月が経ち、ついにこの日がやって来た。

空は里を出るのを祝福するような快晴ぶりで、只今、悠先生に泣きついてます。

 「うわぁぁん!嫌だ〜、、、やっぱり里にいるぅぅ。だって、外に出たら、、、出たら、、、」

 「八千代、、、」

足にしがみつく私を見て優しい声色(こわいろ)をかけてくれる。

級友達はやれやれという様子。少しは悲しんでほしいものだ。

 「里帰りするまでアケビが食べられないぃぃ!!」

 「、、、はぁ、、、」

先生は額を指で摘み、ため息をついた。

 「ほら行け、琥珀と悠陽が呆れたような目で見てる」

 「無理、、、」

悠先生は下級生の担任である皐月先生と話していると思ったら急に悠先生が手を叩いた。

 その音を耳にした瞬間、私と琥珀と悠陽は知らない場所にいた。否、正確には知らない部屋にだ。

十七畳程ある床に白い壁、近くには高い机と椅子。

 ふと足元に落ちていた手紙を琥珀が読み上げる。

 「えー、なになに、、、『お前達が三年間暮らす家に術で送った。学び舎の手続きはもう済んであるから好きにすれば良い。但し、金銭については此方の方で払っておく。遊びにうつつを抜かし過ぎないように気を付けろ。』だって」

 「遊びにうつつを〜って悠先生の口癖?」

 「多分ね〜」

 窓の外を見ると道行く人々が見えた。そして動く鉄の塊も、、、。

 「 、、、、、、」

驚いて言葉を失った。

 「うわ〜、、、里と全然違うね〜」

 「だよな、、、」



 ブルルル、ガー。

 「、、、、、、」

鉄の塊が目の前の道を通っていく。

 「ママー、あれなーに?忍者さんみたいな格好だよー?」

 「え、シー。見ちゃいけません」

私達を見て不思議そうな子供と子供の手を引っ張って私達と目を合わせない『ママ』と呼ばれた女性。

 「目立つな、、、」

 「まぁ、周りと違うからね〜」

 私は黄丹(おうに)色の袖が左だけない丈の短い着物に山吹色の帯、そして膝上まである黒色の足袋(指は出ている)に、頭には鈴をぶら下げた着物と同じ色のヘアバンドと呼ばれる物(皐月先生が言っていた)。

 琥珀は緑色の肘上までの袖の着物に黒色の裁着袴(たっつけばかま)。腕に少し巻かれている包帯と指なし手袋。草履に赤色の首巻。

 悠陽は金青(こんじょう)色の袖なし着物に膝下までの裁着袴。腰回りにはヒラヒラした青と金色の装飾品をぶら下げている。それと黒色の二の腕まである指なし手袋。下駄に露草(つゆくさ)色の長い首巻。

 そんな格好をしていれば洋装だらけの外の世界じゃ変な目で見られるのは理解出来る。里では形など違くてもみんな和装だった。

 「外の世界に溶け込むの、、、思ったより難しいね」

 「だよね〜」

 「、、、明日は高校の入学式だったけど、帰って良い?」

 「賛成!」

 「気持ちは分かるけど、八千代も琥珀も帰らないで!?」

 「おい、悠陽が真面目なこと言ったぞ、、、」

 「明日、嵐でもくるのかな?」

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