2話 ここはどこだ?
「うっ・・・・・・」
ゆっくりと瞼を開けるとそこは知らない場所だった
「ここどこだよ」
とっても柔らかくて寝心地がいいベッドにシンプルだがどれも高級品な家具。前世ではもちろんとして今世でもこんな場所は知らない
「・・・・・・」
こうして考えていても何も変わらない
部屋から出たら誰か人がいるかもしれないと思い、ベッドからおりようとした。が、足に力が入らなかった
「えっ?」
グラッと視界が傾いた。慌てて受け身を取る。これは前世からの癖で慌てていてもちゃんと受け身を取ることができる
見事に受け身を取った瞬間部屋の扉が開かれ人が入ってきた
「大丈夫ですか?!」
入ってきたのは優しげな女性だった。俺が倒れてるのを見た女性は慌ててかけよってきて僕を軽々と持ち上げベッドに座らせた。そして、ぐちゃっとなった服を整えてくれた
「あの、ここはどこですか? それにあなたはだれですか?」
俺がそう聞くと女性は穏やかな口調で、けれどもはっきりと答えた
「ここは、アンナイト公爵家で、私はメイド長をしてるアンナと申します」
アンナさんの回答に俺は驚いた。俺は屋敷にいたはずだなのに何故公爵家に・・・。しかも一番遠い北にあるアンナイト家になんて
驚きで声を出さない俺に
「では公爵様にクラン様の目が覚めたことをお伝えしてきます。」
アンナさんは部屋から出ていく
部屋に1人残された俺は状況を整理する
俺は魔法を使った反動で倒れたところまでは覚えてる。けどどうして公爵家にいるのか理解できない
悶々と考えていたら扉がバンっと開かれ男が入ってきた。綺麗な赤い瞳に懐かしい黒髪。おまけに現実離れしてるほど整った容姿の男だった
そいつは俺の前に来て俺をじーっと見てきた
「何だよ」
「いや、体調はもう大丈夫か?」
「何でお前にそんなこと聞かれなきゃいけない」
知らないやつに体調なんか誰が言うか
男はなぜか目を見開いた後、何か考え出した
「お前誰なんだ? しかも何故俺は公爵家にいるんだ」
俺が質問すると何故か嬉しそうに微笑んだ
本当に何なんだこいつは
「俺の名前はヴィンセント・アンナイトだ。君はアンナイトの養子になったんだよ。」
「は?」
今日はありえないことばかりだ
「何で俺がアンナイト家の養子に?」
質問すると何故かアンナイト公爵は首を傾げた
「何で・・・。君が魔力が多いからかな」
ますます意味がわからん
「何で魔力が多いって理由だけで公爵家の養子にするのでしょう?」
「魔力が多い奴は普通より長生きなのは知ってるか? 俺は魔力が多いから急いで結婚をする必要はないんだが何かあった時のために養子を取っとこうと思って魔力が多い奴を探してたんだ」
理由はわかったがそんな簡単に決めていいのか?
「・・・俺は何をすればいいんだ?」
どうやったって養子を辞めることはできないだろう
「君は自分の好きなように過ごすといいよ。まぁ、たまにでいいから僕と会話をしてくれたら嬉しいな」
頭が痛い
養子って言ってもどうせ金で買ったんだろ。あのクソ野郎のことだそう簡単に俺を養子には出さないだろう。なのに、何でこいつは俺に何も命令したりしないんだ
「言えよ。命令があるなら聞いてやる」
俺はめんどくさいのは嫌いだ
「なら、毎日一緒にご飯を食べよう。そうと決まれば行こっか」
公爵は俺を軽々と持ち上げた
俺ってそんなに軽いのか?
「降ろせ。自分で歩ける」
公爵は何故か俺を大切なものを持ってるかのように丁寧に運ぶ
「足に力入んないんでしょ。食堂はすぐだからリラックスしといて」
何故か居た堪れなくなって、下を向く。顔が熱いのはまだ魔法を使った後の反動が続いてるからだろう
「うっ」
あの後公爵と食事をしたのだが出された料理が多くて残すのは悪いと思い食べ切ろうとした。が、前世と違って今世ではロクに食事を食べてないせいかすぐお腹いっぱいになり、今はふかふかのベッドの横になっている
公爵が部屋まで送ると言ってきたが「部屋までの距離は近いので大丈夫です」と公爵が言った言葉を遣い戻ってきた
部屋までの戻り道。窓の外が暗くなってたのを見て今が夜だと言うことを知った
ウトウト
久しぶりにお腹いっぱいにご飯を食べたせいか、強烈な睡魔が襲ってくる。そして俺は眠りについた
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