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マナギア~異世界で契約した銀髪メイドが魔剣だった件。魔人と戦う俺は生きた鎧へと変身し無双する~  作者: 河原 机宏
第六章 ティターンブリッジ

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ゴシックのメイド長①

 ――翌朝、宿屋を出ると俺たちは競魔闘士の競技場へと向かった。


「それにしても今日がエントリーの最終日とはな。ギリギリ間に合って良かったぜ」


「本当だよ。午前中で締め切りですぐに予選開始だもんな。いったいどれぐらいの人数がエントリーしてるんだろ?」


 俺とトリーシャ、ロックとレオの組み合わせでエントリーを済ませ予選が開始される競技場の中へ入った。

 レムール祭以外のレースは大抵この競技場で行われているらしい。

 造りはサッカースタジアムに似ており楕円形に形作られたコースの周りに観覧席が設けられている。

 アンジェ達は観覧席で今から始まる予選を見守ってくれている。


「へぇー、思っていたよりもずっと広いな」


 コースは予想以上に広く直径で数百メートルはありそうだった。その中に見るからに一般人とは違う雰囲気を持った連中が沢山いる。


「下手をすれば命を落とすかもしれないのに随分と大勢が参加しているのね」


「トリーシャ姉ちゃんみたいに食べ放題の店に行きたいがために出場している人もいないと思うけどね」


「悪かったわね、食い意地が張っていて!」


「あいたたたたたた!」


 余計な事を言ったが為にレオはトリーシャにこめかみをぐりぐりされて悶絶している。それを尻目にロックと談笑していると一瞬物凄い殺気を感じた。

 トリーシャとレオもそれに気が付き俺たちのもとへやって来る。


「何だったの今の殺気は?」


「ご丁寧に殺気に魔力を乗せてオイラ達に向けて飛ばしてきたみたいだね。この大会、思っていたよりも荒れそうだね」


「へへっ、むしろやる気が出て来たぜ。俺たちに宣戦布告してくるなんて面白いじゃねーか!」


 ロックは掌に拳を打ち込んで気合いを入れている。本当にこいつはレースではなく殴り合いをしに来たようだ。


「これだけ沢山の魔闘士がいるんだ。中には相当な手練れだっているだろう。注意するに越したことは無いな」


 その時、向こうの方で「おおー」と歓声が上がった。

 何事かと思っていると歓声の波はこっちに向かって近づいてきて、魔闘士たちの群れが左右に分かれた。

 その割れ目の中心を歩いてきたのは二人の人物だった。

 

 一人は明るい茶髪のショートヘアで馬の様な耳と尻尾がある亜人族の少女だった。見たところ俺と同じぐらいの年齢で活発そうな印象を受ける。

 もう一人は金色のロングヘアに金色の瞳を持った二十代ぐらいの女性だ。

 すらっとした長身でスタイルが良く、一目見ただけでもかなりの美人である事が分かる。それに耳が長く先がピンと尖っている。


「あの金色の髪の女はエルフだな。でも珍しいな、エルフは争い事を好まないから普通こんな場所に近寄ったりはしないはずなんだが」


「その隣にいるのはもしかしてオラシオン族の女の子かな?」


 オラシオン族とは馬耳と馬の尻尾を持つ亜人族だ。身体のその他の部分はヒューマと変わらないのだが足が物凄く速い事で知られている。

 そのエルフとオラシオン族の二人は真っすぐに俺たちの方へと歩いてきた。

 目の前まで来るとエルフの女性が話しかけて来た。


「さっきこの辺りで物騒な殺気を感じたのじゃが、あれはお主たちの仕業か?」

 

 エルフの声は外見を裏切らない艶やかなものだったが、以外にも話し方が高齢の爺さんそのものだったので驚いた。

 見た目と話し方にギャップを感じつつも、先程俺たちに向けられた殺気に気が付いていた事にも驚く。この女性は一体何者なんだ?


「あれは俺たちがやったんじゃない。俺たちに向けられたものだ。それにあなた達は――」


 そこまで言いかけて俺はある事に気が付いた。この二人が着ているのはメイド服だったのだ。

 オラシオン族の少女は下がスパッツになっていて、見るからに動きやすさを重視したスポーティーなものだ。

 エルフの女性の方はロングスカートに太腿の辺りまでスリットが入った大胆なものになっている。

 それぞれアレンジが加えられてはいるが、このメイド服の造形には見覚えがあった。すると、女性二人組が自己紹介をしてくれた。


「そう言えば自己紹介がまだじゃったの。わしはクレアじゃ。見ての通りメイドをしておる」


「ボクはシルフィ・シルヴァーナ。クレアと同じくメイドだよ。よろしくね」


「俺はムトウ・アラタです。冒険者をしています」


「俺はロック・オーガンだ。アラタと同じく冒険者だ。よろしく頼むぜ」


 威勢はいいがロックは距離を取って自己紹介をしていた。その不可思議な行動にメイドさん二人は呆気に取られている。


「すみません。ロックは女性恐怖症なもので」


 それで二人は納得したみたいだった。そこでまだトリーシャとレオが自己紹介を済ませていない事に気が付き後ろを振り返ると彼女たちの姿が消えていた。

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