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マナギア~異世界で契約した銀髪メイドが魔剣だった件。魔人と戦う俺は生きた鎧へと変身し無双する~  作者: 河原 机宏
第六章 ティターンブリッジ

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ライオン&ライガー

『よくもやってくれたな。こうなれば我が全力を持って千切り殺してやるぅぅぅぅぅ!!』


 ダメージを受けたジャコブが殺気を放つ中、俺は足底に魔力を集中して海面に着水した。周囲には破壊された船の瓦礫がれきが浮いていて被害の大きさを物語っている。


「こいつはまずいな。こんな場所で暴れられたら俺たちのパーティはともかく周囲の兵士たちは皆巻き添えを食らっちまう!」


『先程は我々が干渉するべきではないと言っていませんでしたか?』


「さっきとは状況が違う。今度は放っておいたら確実にヤツの餌食になる。それを黙って見過ごせるわけないだろ!!」


『そう言うと思っていました。アラタ様のそういうところ私は好きですよ』


 武器化したアンジェから伝わってくるのはド直球の好意だった。

 普段は自分の本音をはぐらかしている彼女だが、魔剣の姿になっている時は対照的に感情表現がストレートだ。

 彼女の気持ちに対しどう返そうか迷っているとすぐ近くに魔甲拳グレイプルを装備したロックがやって来た。


「こんな時にいちゃついてる場合か? 余裕だなお前等」


『いつ如何なる場合においてもマスターとの愛を育み場所を選ばずに実行する。それが私のポリシーです。そうですよね、アラタ様』


『アンジェ姉ちゃん、人前で何をする気なのさ……』


「これ絶対(ろく)な事考えてないだろ」


 四人で下らない事を話しているとジャコブが放った水鉄砲が飛んできた。余裕で回避すると今度は連射してくる。

 

「っとと、危ねえ危ねえ。こんな豆鉄砲でも連続で食らったら洒落になんねえな。――ルシア達には兵士たちの救助に行ってもらった。俺たちはとりあえずあのデカブツをここから引き離す。やれるか、アラタ?」


「問題ない。ジャコブの能力は確かに魔人レベルになっているようだけど、戦いについては素人だ。攻撃は単純でからめ手は使ってこない。鎧闘衣マナギアになってここから遠ざけた後、一気に勝負を決めよう!」


 アンジェ、ロック、レオが合意すると俺は早速魔力を練り上げアンジェへと送り込む。グランソラスの核であるエナジストが発光し俺の周囲に魔法陣が展開された。

 その隣では俺と同様にロックが魔法陣に包まれている。


「行くぞ、アンジェ。……はぁぁぁっ、イクシードッ! ――来い、<マナ・オライオン>!!」


「やるぜ、レオ。……うおぉぉぉぉぉ、イクシードォォォォォ! ――<マナ・ライガー>!!」


 叫びに呼応するように魔法陣が眩い光を放ち始め、俺たちの身体はマナの粒子となって互いのパートナーであるアンジェ、レオと融合した。

 アンジェ――魔剣グランソラスと融合した俺は魔法陣内で身体を再構成し漆黒の鎧闘衣<マナ・オライオン>へと変身した。


『イクシード完了しました。エナジスト問題無し、リアクター他各部稼働正常。<マナ・オライオン>起動します』


 西洋甲冑を連想させる騎士を模した装甲を纏い、頭部では牙のようなフェイスマスクと額からは一本の剣状の角がせり出している。

 深紅の眼を光らせ俺は前方で悠然と構えているジャコブを見やる。

 

 隣では黄色を基調とした鎧闘衣<マナ・ライガー>が佇んでいる。マッシブな体格で所々に牙や爪状のパーツが装着されている。

 人型でありながら獅子や虎の意匠が見られるその姿は<マナ・オライオン>と似ている。

 それもそのはずレオはアンジェの弟に当たり、鎧闘衣形態も姉弟機になるため形状が近いのだ。


『こっちも変身完了したよ。<マナ・オライオン>と<マナ・ライガー>の瞬発力ならあの触手攻撃にも対応できるはずだよ』


『よっしゃあ! まずはヤツをここからぶっ飛ばす。行くぜぇぇぇぇぇ!!』


 ロックが気合いを入れながらジャコブ目がけて駆け出す。海面を疾走しながら右手に魔力を集中する。

 

『鎧闘衣だと……そんなものになった所で何だというのだ。貴様等もバラバラに吹き飛べぇぇぇぇぇ!!』


 ジャコブは<マナ・ライガー>に触手の先から水の砲撃を発射した。

 散開した触手によって四方八方から圧縮された水が噴射される中、ロックは巧みな動きで回避していく。

 そして<マナ・ライガー>は敵の攻撃を躱しながら接近し自分の攻撃範囲に敵を収めた。


『攻撃が遅いんだよ! 獅子王武神流、破砕はさいしょう!!』


 魔力と体重を乗せた掌底がジャコブの顔面にヒットし、その巨体を後ずさりさせる。


『アラタ、追撃頼んだぞ!』


『任せろ!!』


 俺は海面を疾走し体勢を崩した怪物目がけて突っ込んでいく。水しぶきを上げながら右手に出現させたグランソラスに光の魔力を集中し間合いに入った。


『今度はこれを食らえ。光の闘技、白牙びゃくが!!』


 防御に回した触手ごと本体に白光の斬撃波を撃ち込んだ。ジャコブの身体が斬り裂かれて絶叫と同時に黒い血しぶきが上がる。


『ぐあああああああああ!!』


 ダメージが入りジャコブの動きが鈍る。その隙に俺とロックは同時攻撃の準備に入った。

 敵から一旦距離を取って真上にジャンプするとそれぞれ脚部に魔力を集中する。

 俺は左足、ロックは右足に魔力を漲らせながら眼下にいるジャコブ目がけて足を突き出しながら突撃した。


『こいつでここからぶっ飛ばす。白零びゃくれい蹴斗しゅうとォォォォォォォ!!』


『これで砕けろ! 獅子王武神流、破断はだんきゃくッッッ!!』


 俺たち二人の足を並列にして繰り出された蹴り技がジャコブの身体に直撃し、その勢いのままヤツを後方に蹴り飛ばした。

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