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マナギア~異世界で契約した銀髪メイドが魔剣だった件。魔人と戦う俺は生きた鎧へと変身し無双する~  作者: 河原 机宏
第六章 ティターンブリッジ

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氷竜のマナギア

「セレーネ、アイシクルビットスタンバイ。敵がハイドロップを出したと同時に迎撃するよ!」


『合点承知ですわ。アイシクルブレードパージ、各セグメントとのリンク開始……アイシクルビット展開しますわ!』


 ドラグネスから七つの氷刃を分離発射しクラーケンの魔法陣付近に待機させる。

 魔法陣が輝き空中に大きな水玉がばら撒かれると同時にアイシクルビットを突撃させた。


「全部叩き落とす!!」


 アイシクルビットの攻撃で衝撃を受けたハイドロップはその場で爆発した。爆発範囲内にあったクラーケンの足は巻き込まれて巨大イカの肉片が千切れ飛ぶ。

 その光景を見てスーパーの惣菜で買ったイカの天ぷらを電子レンジで温めた時に途中で爆発したのを思い出した。


 水玉空爆が無力化されたのを確認し皆はクラーケンの顔面に攻撃を集中する。

 アンジェとルシアが遠距離攻撃で怯ませると、その隙に接近したトリーシャとロックが攻撃手段を失ったクラーケンを殴る、蹴る、斬る、ぶっ刺すという私刑リンチに処す。

 戦闘開始早々にクラーケンはボコボコにされ体中から黒い血液を吹き出す無残な姿へと変貌していた。


「うわっ、えぐい事になってるな。これじゃどっちが悪者か分からんな」


『我らがパーティはほんと容赦ないですわね』


 敵と味方の戦力差は歴然で間もなく決着がつくかと思われた時クラーケンが突如海の中に潜り始めた。

 警戒していると敵は攻撃をせず船体に巻き付けていた足を解いていく。


『あいつ、トンズラするつもりですわ!』


「まずいわよ! このまま逃げられたら厄介な事になるわ。何としてもここで倒さないと」


「分かってる。プラン通りにクラーケンを追撃する。セレーネ、鎧闘衣マナギアになってヤツを追うぞ!」


『分かりましたわ。鎧闘衣にはいつでも変身可能ですわよ』


 竜剣ドラグネスに魔力を集中し俺とセレーネの意識をシンクロさせる。

 『ファルナス』を出立してからの一ヶ月で俺はセレーネとトリーシャとの同調率が第二段階に入り、二人と鎧闘衣になれるようになっていた。


「イクシードッ! 来い、<マナ・ドラグーン>!!」


 ドラグネスと融合し俺は青い装甲を纏った人型の竜<マナ・ドラグーン>に変身した。背中には竜の翼、臀部から尻尾が生えて足の先端は鋭い爪の形状をしている。

 頭部は竜の頭をイメージした形状で青いデュアルアイが光っている。

 

『俺たちはこれからクラーケンを追って海上に引きずり出す。皆はここで待機していてくれ』


「かしこまりました。お気を付けください。セレーネ、アラタ様を頼みましたよ」


『わたくしに任せておけば問題はありませんわ。さあ、早く行きますわよ』


 アンジェにエールを送られたセレーネは気合十分といった感じで俺を急かす。海中に入り翼を羽ばたかせてより深く潜って行く。

 本来なら空を飛ぶための翼であるが氷属性の<マナ・ドラグーン>は水中でも問題無く使用できる。

 クラーケンの魔力を追って暫く潜るとようやく見つけた。俺たちが追ってきた事に気が付いたらしくハイドロップを放出しながら潜行していく。


 海上の戦いでは投下爆弾だったハイドロップは水中では機雷のようにばら撒かれて俺たちの行く手を阻む。

 鎧闘衣では水中でもしっかり周囲の状態が見えるので水玉機雷も問題無く回避できた。


『ハイドロップを全て回避するには大きく迂回する必要がありますわ』


『そうなるとクラーケンとの距離が縮まらない。ここはレインショットで迎撃し最短ルートでヤツを追う!』


 掌に魔法陣を展開しそこから無数の水の針を発射し水玉機雷を全て誘爆させた。爆発の影響で海中が嵐のように荒れ、一時的にクラーケンの姿を見失ってしまう。

 それでも敵を逃がすまいと潜行すると<マナ・ドラグーン>の身体に何かがまとわりつき動きを封じた。


『捕らえられましたわ!』


『これはまさか……!』


 嵐が弱まって行き徐々に視界がクリアになるとセレーネが『ひえっ』と驚きの声を漏らす。

 俺たちの身体にはクラーケンの小型化された足が何本も巻き付いており、目の前に本体の顔面が近づきぎらついた目でこっちを見ていた。


『まさかこの状況で逃げるんじゃなく攻撃してくるなんて。完全に読み違えた!』


『何を感心してるんですの! 今わたくし達は海中触手プレイなどというアブノーマルプレイを受けているんですのよ!?』


『プレイプレイ言うな! けどこのイカ野郎、男相手に触手を使うなんて、なんつー需要が無い事をやるんだ……』


『わたくしは女ですわよ!!』


 言われて思ったが、今俺たちは融合している状態なので性別ってどうなのだろう?

 いやいや、今はそんな事はどうでもいい。とにかくこの触手から抜け出さないと。脱出方法を考えていると再びクラーケンが海底に向けて沈み始めた。


『まずいですわ。このまま沈み続けたら水圧で押しつぶされてしまいます』


『それが狙いか。中々こずるい手を使ってくれるじゃないか』


 ところがクラーケンは俺が思っていたよりも賢い頭脳を持っているようで更に俺たちを追い込んでいった。

 身体の表面に痛みを感じ状況を確認すると予想以上にまずい事になっていたのである。


『これは……触手から分泌液を確認、<マナ・ドラグーン>の装甲表面が徐々に溶解していますわ。これって……わた、わたくしの服が溶かされて……このままじゃすっぽんぽんにされてしまいますわ!』


『落ち着きなさいよ! 今は鎧闘衣になってんだから裸にはならないよ。……けど、このままじゃやられる。潰されるのが早いか、溶かされるのが早いかだ。とにかくダメージを修復しよう。セレーネ、リジェネレイトを!』


『――! 確かにそれならダメージを回復できますわね。リジェネレイト使用します』


 リジェネレイトは継続型の回復系魔術だ。これで溶解液と水圧両方のダメージから回復できる。

 でもこれも一時凌ぎでしかない。この触手から抜け出さなければ水圧で一気に押し潰されてしまう。


『とにかくこの状況から抜け出さないと。術式展開、ハイドロソーサー!』


 魔法陣を二つ展開し、そこから円盤状の水のカッターを出現させる。その二枚の水の円盤を高速回転させ身体を拘束している触手を斬り刻む。

 自由に動けるようになったので急いでクラーケンから離れるとヤツは如何にも『怒っているぞ』という感じで俺たちを睨んでいた。

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