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マナギア~異世界で契約した銀髪メイドが魔剣だった件。魔人と戦う俺は生きた鎧へと変身し無双する~  作者: 河原 机宏
第六章 ティターンブリッジ

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騒がしきパーティが行く

 『ファルナス』を出てから俺たちは、魔物を倒し回収した魔石を売って資金調達をしながら旅をしていた。

 道中は順調そのもので戦闘時におけるロック達との連携も随分形になってきた。

 休息時はロックのトレーニングメニューを俺も一緒にこなし基礎体力の向上を図っている。そのお陰か以前よりも確実に筋力がついてきた感じだ。


 そんなこんなであっという間に一ヶ月が経過し、俺たちは『レギネア大陸』の東端にある街『カボンバ』に到着した。


「凄い賑わいですね。『ファルナス』よりも沢山の人がいますし、それにヒューマだけでなく亜人族の姿も散見されます」


「『ティターンブリッジ』の向こう側にある『カンパニュラ大陸』は、人口のほとんどが亜人族で占められているからね。そこから来た人たちが、ここ『カボンバ』に短期間滞在しているからヒューマと亜人族が半々の割合でいるのよ。世界的に見ても珍しい場所と言えるわね」


 アンジェとトリーシャの会話を聞いてこれまで行った事のある街を振り返ってみると、ヒューマ至上主義の『アストライア王国』が支配する『レギネア大陸』ではあまり亜人族の姿を見なかった気がする。

 

「そう言えばトリーシャは『カンパニュラ大陸』の方からやって来たんだったよな」


「そうよ、私の人型モデルになっているルナールの集落で『カンナギ村』っていう所があるんだけど、そこで御神刀として祀られていたのよ。封印が解けてからは世界を見て回ろうと思って冒険者になって『ファルナス』に滞在していたわけ。資金が溜まったら、また別の街に行こうと思っていたのよ」


「そうか、でも現実は厳しかったという訳ね……」


「その節はどうもありがとうございました! お陰で借金返済出来て私もセレーネも無事に済んだわ」


「あの時はマジでヤバいと思いましたわ。『ゴシック』に手紙を出してもクレアからの返事は来ないし、最終的には『ブラッドペイン』で恥辱の日々を過ごさなければならないのかと思っていましたわ……」


 当時の借金地獄を思い出したのかトリーシャとセレーネの表情が暗くなっていく。

 あの黒歴史を思い出させてしまったので慌てて何か別の話題を考えていると、俺の意思を汲んだルシアが話題を振ってくれた。


「そ、そう言えばさっき話に出て来たクレアちゃんは元気でやっているんですか? 魔人戦争後に彼女が『ゴシック』を設立したというのは以前聞きましたけど、責任感の強い彼女の事です。きっちりした経営をしているんでしょうね」


「確か戦争の時にアルムス達のリーダー格だった人なんだよね。そんな立派な人が携わっているんだから、さぞかし質の高いメイドさんが沢山いるんだろうなぁ。アンジェもそのうちの一人なわけだし」


 話題をメイド関連に切り替えた事で俺とルシアはアイコンタクトで「成功」を伝え合う。

 そして話を振ったアンジェを見ると普段はポーカーフェイスな彼女が明らかに不機嫌な表情をしていた。


「どうしたアンジェ、何があった!?」


「あ、いえ、申し訳ありません。クレアの事を思い出したら苛ついてしまって……」


「本当に何があったの? クレアさんのメイド教育はそんなに大変だったのか?」


「いいえ、クレアの課したメイド修行自体は基本的に問題の無いものでした。自分のレベルに応じたフローチャート式の育成カリキュラムが組まれていたので負担は少なかったですし。ただ、彼女の自由奔放さに振り回された日々を思い出したらイラッとしてしまいました」


「そんな塾感覚でメイド修行が行われていたのか……」


 額に手を置きながら俯くアンジェを見ていると相当気苦労があったことが分かる。

 あのアンジェをここまで感情的にさせるクレアさんとはどういう人物なのか興味はあるが、『ゴシック』にいる以上しばらく会うのは無理だろうな。


 考え込んでいるとローブの裾を誰かが引っ張っている事に気が付いた。


「うう……どうしてわたくしを無視するんですの? わたくしだって……ひぐ……『ゴシック』のメイドですのよ……」


 そこには本気泣き寸前のセレーネがいた。どうやら俺たちの会話中に自分も『ゴシック』のメイドだとアピールしていたらしい。


「ごめん、普通に気が付かなかった」


「ひどいですわぁぁぁぁ! この男、わたくしを弄ぶだけ弄んで飽きたら捨てるド畜生ですわぁ~!!」


「うわっ! やめろ、大声を出すな。皆見てるでしょうが」


 慌ててセレーネの口を手で塞ぐが微かに彼女の嗚咽が漏れ聞こえてしまう。それに気が付いた周囲の人々が冷たい視線を俺に向けてくる。


「とにかくここから離れよう。とっとと『ティターンブリッジ』の所に向かおう!」


 俺はセレーネを拘束したまま『ティターンブリッジ』が掛かっている場所に向かう事にした。

 

「本当にお前等と一緒にいると飽きないぜ」


「主にセレーネ姉ちゃんが面倒事を引き起こしている様に見えなくもないけどね」


 ロックとレオは俺に同情してはいるものの、巻き込まれるのは嫌なのだろう明らかに距離を取っている。

 こいつらを非難したい気持ちはあるが、俺はセレーネの契約者である以上彼女の面倒を見る義務がある。

 ってあれ……? 俺はいつからセレーネをペット感覚で見ていたのだろう。

 セレーネを人としてアンジェレベルまでは無理だろうが、せめてトリーシャレベルまでには引き上げたいと思った。

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