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マナギア~異世界で契約した銀髪メイドが魔剣だった件。魔人と戦う俺は生きた鎧へと変身し無双する~  作者: 河原 机宏
第五章 冒険者として人として

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久しぶりの休日

 ロック、レオと共に『ニーベルンゲン大森林』から『ファルナス』へと帰って来た俺たちは冒険者ギルドへ直行し、支部長のリクルートさんと面会していた。


「ロックさんとレオさんが無事だったのは僥倖ぎょうこうでした。ですが、魔人の軍勢側にアラタさん達の情報が漏れていたのは問題ですね。先日魔人を倒したのは若い冒険者という情報は各ギルドでもトップのごく一部の人間にしか知らされていません。あとは――『アストライア王国』の騎士団長以上の人間と勇者だけです」


 『アストライア王国』は現在俺たちがいる『レギネア大陸』を統治しており、騎士団や複数の勇者を有している。

 色んな人から聞いた話では騎士団も勇者も貴族至上主義に捉われていて民衆の事はないがしろにされている為、正直あまり良い印象はない。

 それでも魔人たちが活発的に動き出せば真っ先に矢面に立つのは彼等のはずだ。

 だからこそギルド側から魔人の出現やその戦いに関して情報が伝えられたのだろう。


「つまり、その中から『アビス』に情報を流した人物がいるということですか?」


「考えたくはありませんが、そう結論付ける他ありません。それだけ『アビス』は我々が思っているよりも情報収集に長けているという事です。今後は情報関連に対して一層気を付けなければならないでしょう」


 今後の俺たちの活動状況に関しては一層厳重に情報規制するということになり、この日はこれで解散となった。

 終始ロックとレオは何かを考え込んでいる様子であり、冒険者ギルドの建物を出て別れると重い足取りで帰って行った。


「あの二人大丈夫かな?」


「レオはあれでもしっかりしていますし心配はないでしょう。それに今後私たちに関わらなければ問題ないはずですから」


「そう……だね」


 既に『アビス』は俺たちを危険視している。いつ次の刺客が送られてくるのかも分からない。

 あの二人とは仲良くなれそうだと思っていたが、アンジェが言うように彼らの心情を考えるとこれ以上俺たちと関わらない方がいいのかもしれない。


 それから俺たちは帰宅した。疲労が溜まっていたのだろう、帰宅して早々朝まで泥のように眠った。

 翌日、昼近くになってからようやく動き出した俺たちは、遅めの朝食を食べた後家の掃除をしていた。


「ダンジョンに潜っている間、誰もいなかったのにどうして埃は溜まるんだろう」


 床にモップをかけながら独りごちていると、風呂掃除からふらふらした足取りで戻って来たトリーシャが椅子に座り顔をテーブルにつけて休み始める。


「あ~、疲れたわ。この家のお風呂って入っている時は温泉みたいで極楽だけど、広いから綺麗にするのはしんどかったわ。という事で私の任務は完了、休ませてもらうわね」


「ずりーぞ、トリーシャ。床掃除はまだ終わってないんだから手伝ってよ」


「え~、少しぐらい休ませてよ~。それにしても昨日ダンジョンから戻って来たばかりなんだから今日はだらだらしても良くない!?」


「それに関しては俺も同意。でもな、うちのクールメイドと元宿屋の看板娘がやると言ったからには俺たちは従うしかないだろ。なにせ、あの二人の命令は――」


「――絶対って言うんでしょ? 分かったけど、お願いだからもう少し休ませて……」


 その時玄関からセレーネが入って来た。

 胸元が大胆に開いたセクシーなメイド服は今や土や泥まみれ、おまけに彼女の顔も泥だらけで目からは大粒の涙がこぼれている。

 

「ひっぐ……ひっく……」


「……なんでそうなるん?」


 しゃくり上げるセレーネの姿を見て少し笑ってしまいそうになったが、それをやるとこいつは絶対ギャン泣きするので何とか思い止まった。

 トリーシャは咄嗟に背を向け口を手で押さえて肩を震わせている。何とか笑い声が漏れるのを阻止したようだ。


「セレーネは庭掃除担当だったよな。その姿……派手に転んだようだな」


「ひっぐ……雑草を抜いていたら足を滑らせて……そのまま水たまりに顔から……」


 そう言えば昨晩から朝方まで雨が降っていたようだけど、それでもこんな姿になるなんてやはりドジッ娘の資質があるらしい。

 セレーネが泣きながら原因を話す一方で、トリーシャの肩の震えが大きくなる。笑いのツボにはまった彼女の限界は近い。 

 このままでは爆笑と号泣が入り乱れた地獄と化す。それにせっかく綺麗にした床が泥まみれになるのは避けたい。


「セレーネ、とにかく風呂に入ってきなさい。せっかくだしトリーシャも一緒に風呂入ってきなよ」


「そうねぇ、自分で綺麗にしたばかりのお風呂に入るってのも悪くないわね。セレーネ、行きましょう」


 二人が浴室に行くと俺は床掃除を再開した。現在買い物に行っているアンジェとルシアが戻ってくるまでにノルマを達成しなければならない。

 何故ならノルマを達成すれば後で特別サービスをしてくれるという約束をしていたからである。


「ふふ……へへへ、サービスかー。一体どんなんだろうなー」


 サービスの内容に関しては不明だが、あの思わせぶりな言い方と雰囲気からするとエロい事に間違いはないはず。これは期待せざるを得ない。

 気合いを入れ直した俺は課せられた使命を無事全うしたのであった。

 

 掃除が終わり一息ついていると玄関の呼び鈴が鳴る。ドアを開けるとアンジェとルシアだった。

 更にその後ろに人影が二つ――そこにはロックとレオが立っていた。

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