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マナギア~異世界で契約した銀髪メイドが魔剣だった件。魔人と戦う俺は生きた鎧へと変身し無双する~  作者: 河原 机宏
第五章 冒険者として人として

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アラタ VS ガミジン②


『この程度で僕をやれると思うなよ!!』


『――っ!?』


 ガミジンが再び周囲に幾つもの魔法陣を展開したため、俺はヤツに突き刺していたブレイズキャリバーを引き抜きバックステップで距離を取った。

 その直後、魔法陣からシャドーボールが発射され俺を追って来る。

 闇の玉の大きさは先程よりも小さくなっていて弾速も上がっている。しかし、この程度の変化では俺にとって何も変わっていないのと同じだ。

 剣でシャドーボールを全て叩き落とし左腕に魔法陣を展開する。


『この距離ならっ、フレイムランス!』


 魔法陣から炎の槍を放つとガミジンは空高くに舞い上がり回避した。それを追って俺も翼を展開し空へと上がる。

 ガミジンを追っていくと再びシャドーボールが何発も発射されて来る。


『またか……ルシア!』


『はい、それで行きましょう。ウイング部の魔力放出します』


 翼に魔力を集中し勢いよく羽ばたくと翼から火の粉が放出される。その形状はまさに炎の羽とも言える物だった。

 その炎の羽をばら撒きながら後ろに下がると、俺を追って来たシャドーボールはそれに直撃し消滅していった。


『なっ、翼の余剰魔力で迎撃しただと!?』


『さすがにその玉を斬るのも飽きたんでね、端折はしょらせてもらったよ』


『……なるほどね、ガーゴイルが負けた理由が分かったよ。その異常なまでの対応力と成長スピード、それに元々身に着けている戦闘技術。君はかつての異世界人と比べて戦いに特化しているみたいだ。――それなら!』


 ガミジンが空中に巨大な魔法陣を複数展開した。その中から現れたのは巨大なカラスのような鳥型の魔物だった。勿論ガミジンによってアンデッド化している。

 その巨鳥のアンデッドが三体、猛スピードで俺の周囲を飛行する。敵の包囲網から逃れようとするが、その飛行速度はかなりのもので引き剥がせない。


 その内の一体が俺の背中側から急接近してくると、ぶつかる直前で駆け付けた<マナ・ライガー>に蹴り飛ばされた。


『ロック、レオ!』


『約束通りにキメラをぶっ倒して駆け付けたぜ。まずはこの鳥どもを……って、おわっ!』


 <マナ・ライガー>に蹴られた巨鳥がすぐに体勢を立て直してロックに突っ込んで来た。

 鋭い嘴を先端にして傷つけようとしてくるがロックは咄嗟に盾で攻撃を受け止める。しかし、敵はそのまま<マナ・ライガー>ごと猛スピードで空高く上昇していった。


『ちく……しょう! 何てパワーだ』


『空中戦が不得意な<マナ・ライガー>じゃ分が悪いよ! このままじゃ――』


 <マナ・ライガー>は敵ごとこの空域から離れて行きどんどん姿が小さくなっていった。


『ロックさんとレオ君が!』


『くそっ!』


 二人を助けに行こうとするとこの場に残った二体の巨鳥アンデッドとガミジンが邪魔をする。

 二体の巨鳥の突撃攻撃を捌きつつ反撃をしていると、突如空中に二つの巨大な魔法陣が上下に向かい合うように出現した。

 その間に挟まれる位置にいた俺たちは嫌な予感がして離脱を試みる。だが、回り込んで来た巨鳥が二体同時にぶつかって来たため身動きが取れなくなってしまった。


『くそっ、引き剥がせない!』


『上下に展開された魔法陣の魔力充填を確認……来ます!!』


 二つの大型魔法陣が淡い紫色に輝くと、魔法陣同士を繋ぐように幾つもの黒い柱のような光が放たれた。

 そう思ったのも束の間、闇の柱は魔法陣の範囲内を素早く動き始め、その内の一本が巨鳥ごと俺に直撃した。


『があああああああああっ!!』


『きゃあああああああああ!!』


 巨鳥はその身を裂かれ、<マナ・フェネクス>は深紅の装甲に亀裂が入り俺は鋭い痛みを感じていた。

 すると別の闇の柱がこっちに向かっているのが見える。回避しようとすると、もう一体の巨鳥が俺に組み付き思うように動けずまた闇の柱が直撃した。

 二体目の巨鳥は四散し<マナ・フェネクス>は装甲が幾つか破壊され、内部フレームが剥き出しになってしまう。

 大ダメージを受けて落下し始めた俺たちの耳に満足そうに高笑いをするガミジンの声が聞こえた。


『あはははははははははははははははははははは!! どうだい、闇系統の上位魔術シャドーセイバーの味は。身を裂かれるような痛みだろう? でもね、それで終わりじゃない、このまま連続で斬り刻んでやるよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』


 今度は二本同時に接近してきた。

 逃げようとするが先程のダメージで動きが鈍くなっていて回避が間に合わず、腕を交差して魔力を全て防御に集中した。

 二本のシャドーセイバーが俺たちを襲い、防御の上から<マナ・フェネクス>に甚大なダメージを与えていく。

 

『ぐうううううううううう……くそっ!』


『ダメージ蓄積……装甲の三割が大破。内部フレームに損傷発生……!』


 ルシアが苦しそうな声でダメージ状況を報告してくれる。このまま攻撃を受け続けたらやられる。

 かすれる視界の向こう側で新たに四本の闇の柱が発生するのが見えた。あれが直撃したら非常にまずい。


『ルシア……攻撃に出るよ。エグゼキューション形態フォームを使う!』


『この破損状態では執行形態の負荷に耐えられないかもしれません。――それでもいいですか、マスター?』


『どのみちこのままじゃ確実にやられる。それなら力の全てを出し切って戦うだけだ。――それで駄目だったらしょうがないさ。こんな危険な賭けに付き合わせてごめんな』


『そんな事ないです。私たちは一蓮托生……生きる時も死ぬ時も運命を共にする、でしょ? アラタさんと一緒なら私はどんな結末を迎えても後悔しません』


 俺の中に流れ込んで来るルシアの意志に迷いはなかった。その言葉と心が俺に闘志と勇気をくれる。

 後は全力を出し尽くして戦うだけだ。


『リアクター出力最大、リミッター解除。執行形態――ディバインフェニックス起動します!』


 <マナ・フェネクス>の核であるエナジストの出力が最大まで上昇し限界突破する。機械仕掛けの翼から炎が発生し接触していた二本の闇の柱を焼き斬った。

 更に装甲が赤熱化し熱で周囲の大気が歪む。まるで全身が炎そのものになったように熱い。


『こいつは中々身体にくるな。でも、このパワーなら……いける!!』


『四方よりシャドーセイバーが来ます!』


 俺たちを取り囲むようにして闇の柱が迫って来る。回避は間に合わない。


『攻撃は最大の防御……<マナ・フェネクス>の火力を見せてやる! 炎の翼、最大パワーーーーー!!』


 二基の炎の翼の出力を最大にし羽ばたかせると、巨大な炎の剣と化した翼が全ての闇の柱を破壊し燃やしつくす。

 そこから間髪入れず急上昇しブレイズエッジを纏わせた斬撃で上方に展開されていた魔法陣を破壊した。

 時を同じくして下方の魔法陣も破壊される。その向こう側にはアンジェ、トリーシャ、セレーネの姿が見えた。彼女たちが破壊してくれたようだ。


 そしてこの場にはもう一人――身体をわなわな震わせているガミジンの姿があった。

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