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マナギア~異世界で契約した銀髪メイドが魔剣だった件。魔人と戦う俺は生きた鎧へと変身し無双する~  作者: 河原 机宏
第五章 冒険者として人として

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アラタ VS ガミジン①

 ズドンと大きな音がして振り返ると地面に亀裂が入っており、その先にはキメラの足があった。どうやらこいつの仕業のようだ。

 だが、それを命令したのはキメラの傍らにいるガミジンだろう。


『……いつまでふざけているつもりだい? 僕を前にして随分と余裕だね』


 その声色からしてガミジンも機嫌はよろしく無さそうだった。俺はあの余裕たっぷりだった骸骨野郎に一矢報いたのでご機嫌だ。


『悪かったな。お前がせっかく召喚した手下どもを燃やしちまって。――でも、安心しろよ。今からお前も火葬してやるからさ!』


『へへっ、そりゃいいぜ。それじゃヤツがカリカリに焼かれた後に俺がすり潰してやる。てめえの骨だらけの身体は粉末状にして後で海にでも撒いてやるよ!』


 俺とロックが挑発するとガミジンから発せられる魔力と殺意が膨れ上がっていくのが分かる。

 おお……怒ってる、怒ってる。何だか敵を煽るのが楽しくなってきた。これはクセになりそうだ。


『……アスモダイからはお前を殺すなと言われていたけど、もうそんなの関係ない。ここで殺してやる!!』


 ガミジンはかなり頭にきているらしく殺る気満々だ。こっちも鎧闘衣マナギアになったからには全力でやってやる。

 

『アスモダイですって!?』


 ガミジンが口走った人物の名を呟きながらルシアが非常に動揺していた。もしかして知っている人物なのだろうか。


『どうしたんだ、ルシア。あいつが言ったアスモダイってヤツに心当たりがあるのか?』


『……アスモダイは千年前の魔人戦争で魔人の軍勢の幹部だった男です。彼の考えた謀略によって多くの魔闘士やアルムスが戦死しました。まさか、まだ生きていたなんて。――アラタさん、アスモダイがいるのなら『アビス』は私たちが考えている以上に危険な組織です!』


『分かった。これから注意していかないとな。――でも、今はまず目の前にいる敵を倒す。ルシア、行くよ!』


『はい!』


 掌に魔力を集中しブレイズキャリバーを装備し構える。通常、つばに嵌められているエナジストは<マナ・フェネクス>の核として体内で稼働している。


『俺はガミジンを倒す。ロックは引き続きキメラを頼む』


『しゃーねーな、確かに戦い慣れた相手の方がやり易いのはあるな。――分かった、キメラは俺等でやる。とっとと倒してそっちに合流するから、それまでやられるんじゃねえぞ』


 こうして俺はガミジン、ロックはキメラへと向かって行った。

 ガミジンからキメラを引き離す為にロック――<マナ・ライガー>は左手の盾を前面に突き出しながら突撃していく。

 それに応えるようにキメラも<マナ・ライガー>に突っ込んで行き、二つの獅子が勢いよくぶつかった。

 その衝撃で<マナ・ライガー>の足が地面にめり込み周囲の地面に亀裂が走る。


『くっ、こいつさっきよりもパワーが段違いに上がってるな。鎧闘衣になっていなかったらヤバかったぜ!』


『この力は明らかに魔人クラスだよ。油断は禁物だよ、ロック』


『あいよ、それじゃ全力でボコボコにしてやるぜ。……おおおおおおおりゃああああああああ!!』


 レオのアドバイスの後にロックは身体を脇にずらしてキメラのパワーを受け流した。そこから敵の後方に回り込み、相手が振り返ろうとした瞬間顔面に正拳突きを打ち込む。


『グゥオオオオオオオッ!?』


『どんなに強化された魔物と言っても思考が単純であれば脅威じゃない。獅子王武神流の武を嫌というほど叩き込んでやるよ!!』


 バランスを崩したキメラに<マナ・ライガー>のパンチや蹴りが次々と打ち込まれ、その巨躯は思い切り吹き飛ばされた。

 キメラがガミジンから完全に引き離される中、俺もまた倒すべき敵に向かって行く。


『ガァァァミジィィィィィンッ!!』


 ブレイズキャリバーで斬りかかるとガミジンは闇系魔術で作りだしたデスサイズで受け止めた。

 それぞれの刀身に込められる炎と闇のエネルギーが干渉しあって激しい火花を散らせる。


『こんな近くで大きい声を出さないでもらえるかい? 鼓膜に響くじゃないか』


『はっ! 面白いジョークだな。そんな骨オンリーの身体で鼓膜もクソもあるもんか。けど、ようやくこうしてお前と直接やり合えて嬉しいよ。たまりにたまった鬱憤を晴らせるからな!!』


『……バカがいい気になるなよ! 一対一なら勝てるとでも思ったのか? 自分の考えが浅はかだったという事を思い知らせてやるよ』


 ガミジンはデスサイズで斬り払い距離を取ると即座に魔法陣を展開する。

 攻撃が来ると身構えていると、そこから発生したのは一個のソフトボールサイズの黒い玉だった。


『あれは闇系統の初級魔術シャドーボールです。防御力が低い<マナ・フェネクス>の装甲でも大したダメージにはならないはずです』


 ルシアの言うように今更あんな初級魔術は脅威にはならない。けど、あの狡猾な敵がそんな計算違いをするはずもない。

 嫌な予感がするとそれは見事に的中する。


 同じ小型の魔法陣がガミジンの周りに無数に展開され、同じ数だけのシャドーボールが出現した。

 ざっと見ただけでも軽く二十を超えている。そのうちの一個を指先で回転させながらガミジンがくすくす笑っている。


『シャドーボール一個で鎧闘衣の装甲を貫けるとは思っていないよ。でもこれだけの数が一気に直撃したらさすがにその限りじゃない。――死ねよ!』


 無数のシャドーボールが俺の方に向かって一斉に向かってくる。翼を展開すると空中に逃げて回避し難を逃れる。すると少しして背中に衝撃が走った。


『がはっ、何だ!?』


『シャドーボールです! こちらが躱した後に追って来て背中に当たった模様です』


 躱したはずのシャドーボールの群れを見ると曲線を描きながら再び俺目指して飛んでくるのが見える。

 

『嘘だろ、躱しても追って来るのかよ!?』


 深紅の翼を羽ばたかせて全力で逃げ、何度も方向転換して撒こうと試みるもシャドーボールはいつまでも追って来る。

 そんな俺たちの様子を見てガミジンは嘲笑っていた。


『あははははは! 僕のシャドーボールは相手に当たるまで消えることは無い。いつまで逃げても無駄さ』


 くそっ、あの野郎。本当に頭にくるわぁ。

 追って来るシャドーボールを見るとアレの目標はあくまで俺であり、追尾中は真っすぐに向かって来るのが分かる。

 個々が複雑な軌道をしているわけではない。そうであればいけるかもしれない。

 俺は転進し無数の黒い玉に向き合う。


『アラタさん、何を!?』


『大丈夫だ、任せてくれ。この鬼ごっこを終わらせてやる』


 俺は間合いに入って来たシャドーボールをブレイズキャリバーで次々に斬り払い消滅させていった。

 鎧闘衣の関節は人間のそれよりも頑丈かつ柔軟であり、普段よりも素早く正確に剣を振う事が出来た。


『――これでラスト!』


 最後のシャドーボールを斬り伏せ、地上にいるガミジンを見下ろすと相手の髑髏どくろと視線があった……ような気がした。

 相手に目が無いと何処を見てるか分らないからどうもやり難いな。

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