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マナギア~異世界で契約した銀髪メイドが魔剣だった件。魔人と戦う俺は生きた鎧へと変身し無双する~  作者: 河原 机宏
第五章 冒険者として人として

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深紅のマナギア マナ・フェネクス

「ロックとレオが鎧闘衣マナギアに……!」


『アンデッド共は俺等に任せてアラタ達は下がってな。あの骸骨野郎は俺が粉々に砕いてやるぜっ!』


 ロックとレオが融合した<マナ・ライガー>は、物凄い瞬発力でその場から跳躍しシャドーサーヴァントの群れの中に滑り込む。

 そこで蹴りを入れると、複数の人影の身体が千切れるように吹き飛んだ。さらに両腕に装備している魔甲拳グレイプルで近づく敵を粉砕していく。

 <マナ・ライガー>によってアンデッド達は数がどんどん減っていく。しかし、圧倒的な戦闘力を見せつけるロックに対してガミジンは焦る様子はない。

 

 敵にはまだ強化されたキメラとガミジンがいる。こいつらを<マナ・ライガー>一体で倒すのは難しいはずだ。

 俺は武器化しているルシアに語り掛けた。


「ルシア……そろそろ俺たちもいくか」


『はい。今の私たちならこの不利な状況を覆すことも可能なはずです。やりましょう、マスター』


 先の戦いで激しい怒りの感情を共有した俺とルシアは同調率が第二段階に移行していた。 

 それはつまり聖剣ブレイズキャリバーの鎧闘衣へと変身が可能になったという事だ。

 ガミジンが魔神化した以上こっちも鎧闘衣にならなければまともに対抗する事はできない。


「アンジェ達はもっと離れた所から支援を頼む。――ガミジンは俺とルシアで仕留める!」


「分かりました。私たちはアラタ様たちの戦いの邪魔にならないように注意しながら後方支援致します。――ルシア、アラタ様を頼みます」


『ええ、任せて。それでは行ってきます!』


 俺はロック達が戦いを繰り広げている戦場に歩いていく。それに気が付いたロックが敵の集団を殴り飛ばしながら俺に逃げるように言ってきた。


『何やってんだ! ここは俺に任せてお前等は下がっていろって言っただろ』


「そうはいかないよ。ガミジンをこの手で直接ぶん殴ってやらないと俺たちの気がおさまらない。それにいくらロック達が強くても相手は本気を出した魔人だ。味方が多いに越した事はないだろ」


『その通りです。それに私たちの鎧闘衣ならアンデッドにも有効です』


 ルシアの戦意が今まで感じた事が無いぐらい高まっている。そして、それは俺も同じだ。人の命を弄ぶあの悪魔をこの手でぶっ飛ばしてやる。


「行くぞ、ルシア! イクシードッ……<マナ・フェネクス>!!」


『はい! 鎧闘衣<マナ・フェネクス>起動開始します』


 俺の身体は朝日のような山吹色の光に包まれていき、次に目を開けた時には全身が深紅の鎧に覆われた姿へと変貌していた。

 鎧の内部も人間の骨や筋肉とは異なる特殊な金属で構成されている存在。高度な錬金術が生み出した、機械と鎧と魔術が合わさった異形の戦士――鎧闘衣。


 聖剣ブレイズキャリバーに内包されていた、その力の名は<マナ・フェネクス>――不死鳥の名を冠するこの鎧闘衣の背中には機械仕掛けの翼が装備されている。

 ヒューマの俺には当然翼なんて無いのだが、この姿になった瞬間まるで生まれた時からそれがあったかのように使い方が分かる。

 

『<マナ・フェネクス>への変身が完了しました。体調は大丈夫ですか?』


『大丈夫、問題ないよ。背中に翼があるのは不思議な感じがするけど使い方は分かる。鎧闘衣の扱い方も<マナ・オライオン>で練習したから問題ない。――行くよ、ルシア!』


『了解です、マスター。出力の微調整と各サポートは任せてください!』


 俺は背部の翼を羽ばたかせると戦場の上空へと飛翔した。眼下にはアンデッド集団、そしてそれらと単騎で戦う<マナ・ライガー>がいる。


『――この作戦で行きましょう。これなら一瞬で雑魚処理ができます』


 ルシアが考えた戦術が俺の頭に流れて来る。効果的と言えば効果的だけどロックとレオが心配になる内容だった。


『……分かった。ロック、そこからあんまり動くなよ!』


『動くなって……お前何をする気だ!?』


 俺を見上げる<マナ・ライガー>の顔はアニメの人型ロボットのような感じなので感情なんて分からない。

 ただ、それでも何となくその琥珀色の目からは不安を抱いているような雰囲気が伝わって来る。


『心配すんな、敵を一掃するだけだよ。――ルシア、まとめて焼き尽くすぞ!』


『はい、ファイアーストーム術式展開します!』


 両手を身体の前面に突き出すと赤色の魔法陣が構築される。魔法陣に魔力が充填され淡く発光するとその中から炎の渦が発生し、俺はそれを眼下の戦場に撃ち込んだ。

 

『えっ、ちょ、ま……!』


 ロックの慌てふためいた声が聞こえた気がするが、この位置取りなら問題ないはずだ。

 彼がいる場所を回転の中心軸として炎の渦は大地に直撃し、大出力の炎が<マナ・ライガー>の周囲にいるアンデッド達を次々に焼き尽くしていく。

 それによりキメラとガミジン以外の敵は消滅し、さっぱりとした大地に俺は降り立った。


『――よし!』


『『よし』じゃねーよ! お前はバカか? お前はバカなのかっ!?』


『ホントだよ! 一歩間違えばオイラ達は真っ黒こげだったんだよ!? 何考えてんのさ!!』


 まあ、こうなるわな。ロックとレオはお怒りだった。俺が逆の立場だったら今の二人のようにキレていたに違いない。


『えっと、これはだね……』


『ごめんなさい……ごめんなさい! 今の作戦は私が考えたんです。アラタさんは私の指示通りに動いてくれただけなんです。本当にごめんなさい!!』


『なん……だって!? 今のデンジャラスな攻撃がルシアの案? あの四人の中で一番優しくて一番常識人だと思っていたルシアが、まさかあんな過激な作戦を考えるなんて……意外すぎる』


『あー、でも確かにルシア姉ちゃんってそういうトコあるよ。普段はめっちゃ優しいんだけど、戦いの時とかスイッチが入るとアンジェ姉ちゃんよりヤバい事を思いついて即実行するんだよね……』


 ルシアの容赦の無い戦術と行動力にロックとレオは引いていた。

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