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マナギア~異世界で契約した銀髪メイドが魔剣だった件。魔人と戦う俺は生きた鎧へと変身し無双する~  作者: 河原 机宏
第四章 鎧闘衣――マナギア

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アラタ家を買う①

「喜んでいただけたようで良かったです。それと、次は既にお知らせしていた件ですが、皆様の希望通りの物件がありましたので紹介します。こちらを見てください」


 そう言ってリクルートさんがテーブルに広げて見せてくれたのは、とある居住物件の情報が書かれた用紙だった。

 建物の間取りが描いてあって分かり易い。全員でざっと見てみたところ中々よさそうな物件だ。

 

 医療施設に入院中、冒険者ギルドの職員が来て希望の報酬について質問されていた。

 その際、皆と相談し出てきた物の一つが住居問題だった。現在トリーシャが住んでいるのは単身者用の部屋でセレーネと二人で生活するのが精一杯。

 今後五人で生活するとなるともっと余裕のある広い住居が欲しい。それで五人で住める物件を探してもらうことにした。


 しかし、そうなると色々と欲が出るのが人間というもので、アンジェはキッチンが充実した物件、ルシアはお風呂が広い物件、トリーシャは日当たりが良い物件、セレーネは広い庭がある物件を希望していた。

 俺はある程度の広さがあれば問題ないので特に希望は出していなかった。

 

「この住宅は内装をリフォームしたばかりで新築同然らしいです。キッチンや浴室は最新で建物は南向きで日当たり良好、庭もかなり広いです。部屋も五つ以上ありますし、皆さんのご希望通りとは思うのですが……」


「確かにこれは優良物件ですね。アラタ様はどうですか?」


 アンジェを始め他の三人の目は「ここにしましょう」と言っていた。


「そうだね。実際に建物を見て問題無かったら、ここに決めようか」


 するとリクルートさんが勢いよくソファから立ち上がり外出の準備を始めた。


「それでは善は急げという事で早速行ってみましょう!」


「今からですか? リクルートさん、これからの仕事はどうするんですか?」


「それは大丈夫です。今日は皆さんの応対をするのが仕事なので。今から建築ギルドに連絡しますのでちょっと待っていてください」


 リクルートさんが『ファルナス』の全建築物を管理する建築ギルドと連絡を取り、現地で落ち合う事となった。


 例の物件は居住区の南端に立っていた。

 『ファルナス』自体が若い町であるため町の全ての建物は比較的新しく、その例に違わず俺たちが契約しようとしている一軒家も新築とは言えないまでも外装は綺麗だ。

 それに思ったよりも建物自体かなり大きく、近隣住宅と比較して敷地が広い。そもそもこんな立派な家を俺たちが買えるのだろうかと思ってしまう。


「それでは皆様、中へご案内いたします」


 家の前で待っていた建築ギルドの女性職員が鍵で玄関ドアを開けると、広いエントランスが俺たちを出迎えてくれた。

 ルシアとセレーネは最初からテンションマックスになっていた。


「うわぁ~、広いですね」


「床も壁も新品同然ですわ」


 一階の奥に進むと広々としたリビングがありテーブルとソファが置いてある。更にその奥にはキッチンがあった。

 キッチンを重視しているアンジェは建築ギルドの職員に色々と訊ねながら使用感を確認していた。


「結構なお手前でした」


 数分後キッチンから出て来たアンジェは、ほくほくした顔をしていた。普段あまり感情を表に出さない彼女が喜びを隠しきれていない。相当満足した様子だ。

 続いて案内されたのは浴室だ。そのお風呂を一目見た時、俺たちは何度も瞬きをして眼前に広がる光景が現実のものなのかを確認してしまった。


「室内に岩風呂!? まるで温泉みたいだ」


「こちらの浴室は建築時に設置された物で以前の家主さんが特に力を入れていた場所らしいです。本場の温泉を参考にした作りになっていて大人十名ほどが同時に入浴可能なんですよ」


 確かにこの岩風呂は広い。子供の頃、家族旅行で泊まった温泉宿に迫る感じだ。それを個人宅で実現するとは……前の家主さんはかなりお風呂が好きだったんだなぁ。


「素敵……素敵すぎです。キッチンも使い勝手がよさそうでしたし、私が気になっていたお風呂も予想を遥かに上回っています。いいなぁ、ここに住めたらこんな素敵なお風呂に毎日入れるんですね」


「私もお風呂は好きなので、この温泉のような作りは大歓迎です。――それに複数名が一緒に入れるというのもポイントが高いですね」


 お風呂大好きのルシアは既にここに住みたいという気持ちが強くなっている。アンジェも満足しているみたいだ。何かよからぬことを企んではいそうだが。


「それでは次に二階をご案内します」


 二階に上がるとそこには幾つもの部屋があった。五人それぞれの寝室は以前俺が住んでいたアパートの部屋よりも広い。

 これなら十分に休めそうだ。それに日当たりも良くポカポカとした陽気が入って来る。こんな場所で昼寝をしたら、さぞ心地よいだろう。

 俺と同じことを考えていたのはトリーシャだった。彼女は許可を取ると部屋に設置されているベッドにダイブする。


「……ふふふふ、暖かぁい。すんごい気持ちいぃぃぃぃ。これならぐっすり眠れそう」


 ベッドから顔を上げたトリーシャは、ボリュームのある尻尾をゆったりと左右に揺らしながら既に眠たそうな顔をしている。

 彼女は昼寝が好きなので日当たりが良い家が欲しいと言っていた。陽だまりの下で最高の昼寝を堪能するつもりらしい。


「お庭も広かったですし、わたくしもここが気に入りましたわ」


「そういや、セレーネはどうして庭が広い方がいいの? そこで何かやるのかい?」


「わたくし、実はお花を育てるのが趣味でして。お庭でガーデニングをしてみたいと思っていましたの。美しい花々に囲まれながら生活するなんてエレガントではありませんこと?」


 セレーネもまた庭で花を育てる風景を思い描いてニコニコしている。全員がここを相当気に入ったようだし購入決定かな。

 問題があるとすればこの家の購入費なのだが。そもそも今の全財産でどうにかなるのか? この世界ってローンは組めるのだろうか?


 お金関係で悩んでいると、建築ギルド職員が二階奥にある部屋へと案内してくれた。


「二階最後にご案内するお部屋はこちらになります。――さあ、どうぞ」


「――!? これは、まさか!!」

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