旅立ち 今様風に
「旅立ち」 今様風に
門出が決まり支度する 日々はあまりに疾く過ぎて
抱く想いは向き合わず 互いの上を空滑り
旅立つものはその胸に ただ夢のみを抱けるも
見送るものは目に涙 拭く袖乾く暇もなし
満ちたる月は天中の 遥か高くに輝いて
絶えることなき波の音と 彼方に響く汽笛の音
動くものなき静けさの 内にも時は行き過ぎて
留めようなく旅立ちの 朝は密かに近づきぬ
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今様自体「今風」という意味だから、今様風というのはなんなんだけれど、まあ「今様」自体を様式と考えて、そのように。
今様の7575/7575という定型を用いながら、自然に語り掛ける口調で書かれたものを拝読していて、ああいいなあ、と思いまして。ちょっとやってみたいなと思いつつ、語嚢(ボキャブラリ。確かに、中学ではそう習ったのだけれど、今は語彙しか使わないみたい。検索かけると引っかかりはするので、ない言葉ではない気がする)に欠けると大したものは書けないのは変わりなく。
というわけで昔上げたものを書き換えてみた。元は57だから、単純に拍数で倍になっているにもかかわらず、そんなに情報量上がっている気はしない。前半はともかく、後半は…
ということで、最後に57の原文をつけて。ただし、2行を一行にまとめて。
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門出待つ 日々は疾く過ぎ
行き交わす 想いははるか
夢をただ 求める者と
涙にて 袖濡らす者
満月は 夜空に高く
波の音に 遠くの汽笛
しめやかに 時は流れて
旅立ちの 朝は近づく
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執筆中で3か月ほども寝かせてしまったので、在庫整理。
読ませていただいていたもの、最近読むことができないので、少し寂しい。
6.17 おっと。また検索を掛けてみたら
https://marumarururu.at.webry.info/200811/article_80.html
では、「語嚢」は誤用だ、という結論になっていますね。習った時には、確かに「言葉を入れる袋」と教わったので、教えた教師もそれが正解、と思っていたことは間違いなさそうですが。まあ、使わない方がよさそうなことは間違いないです。