パワーアップ
いつもの所に戻った俺達は、早速生産をする事にした。
「手本の布を作るから、よーく見ておくように」
空中に浮かべた糸を、縦の糸に対して交互に交差させながら横の糸を通していく。
その糸を反対から通していく、タイミングよく通してゆくと。
それを何度も繰り返せば、きれいな布が出来上がった。
ユウは口を開けたまま、見ていた。
「どうだ、簡単だろ。すぐ出来るぞ」
「え!無理ですよ。簡単にやってましたが、私には出来そうもありません」
「やる前から出来ないと諦めるな。やって何度も失敗して努力しろ」
「分りました、やってみます」
手から糸を出して、空中で織ってゆく。
俺はそれを見ていて、ユウに新たな職業、【織姫】の誕生だと思った。
けれど初めてだから、何度も失敗している。
そしてようやく布らしい物ができた、触った感触は麻布に似ている。
「ユウ、まだまだ経験が必要のようだな。もう少しの辛抱だ、一旦布作りは止めよう。魔力も少なくなっているかもしれないから休憩だ」
「本当ですね、少しめまいがします」
ユウは2時間程休憩を取って、再び布作りをしてゆく。
その間、俺は黒鉄堀を続けている。
だいぶ作られた布が溜まったようで、ユウを見ながら。
「そろそろユウの、自身の服でも作るといいぞ。これがハサミと針だ、今回は貸すがこれも自分専用を作るように」
「そうですね、自分専用を次回作ります」
「服を縫うときは、錬金術で縫うといい。手作業で縫うと指に、針を貫通してしまうからするなよ」
「え!もしかして師匠、指を貫通したんですか」
「いや、あくまでも可能性を言ってるだけだ」
「そうですか、気を付けて作ります」
ユウは、自身の寸法を測りハサミで切ってゆく。
空中でどうにか縫って、出来上がったのがフード付きローブであった。
ユウ自身が鑑定した結果が。
フード付きローブ
物理防御★
魔法防御★
多少は頭や下半身も、守れるようでいい物だと思う。
「白いフード付きローブか、これで染めるといいぞ」
市販の繊維用染料、黒・藍・赤の3つを渡す。
「これか、いやいやこれかも」
どれにしようか悩んでいる。
その間、俺は大盾を1枚完成させていたが、不意にある事を思い付いた。
この大盾に、結界付与を掛けたらどうなるか試してみる事にした。
手をかざし結界を与えてゆく、手の先から大盾へ魔力が注がれてゆく。
大盾Ⅱ
物理防御★★★★★
魔法防御★★★★★
大成功である、星が両方に2つ増えている。
亜空間の12枚を、早速だして同じように付与をしてゆく。
一夜を明かし、6階層で討伐を再開。
順当に討伐をこなしていき、あの広いフロアに着いたが。
あの角のが生えた岩ガメでなく、少し大きな岩ガメが3体が居た。
結界盾が3体の岩ガメの、足を切断してゆく。
ユウが3体の岩ガメを、止めを刺してゆき最後の岩ガメを止めを刺した時に。
「か・体が痛い!」ようやくレベルアップしたようだ。
しかし、宝箱がでる事もなくフロアは静まり返っている。
「どうやら、最初の1回きりの贈り物みたいだな」
「そうですね、残念です」
5階層に戻り、2人は集中的に生産を行なう。
2日が経過、ある程度出来上がった物をギルドに見せる為。
地上に戻る事にした。
受付の職員が「するとその大盾は、更にパワーアップした大盾なんですね」
「そうです33枚あります。大盾とは別物になるので、国際オークションに出品しようかと」
「少し待って下さい、支部長に聞いてきます。佐々木、支部長に聞いて来てくれ」
「それと、このフード付きローブなんですが。弟子の浅岡友香の作品ですが国際オークションに出品したいらしいです」
「絶対いい物なんです、わたしの自信作です」
「出品ですか、手数料はしっかり頂きますよ。それで良ければ」
「お願いします、絶対損はさせません」
俺が10着を取り出し、テーブルに置くと。早速検品をして。
「カードの提出をお願いします」
体をまさぐり、探索者カードを探してようやく提出。
「確かに受取りました、少しお待ち下さい」
PCの前で、「カチャカチャ・カチャ・カチャ・・・トン」
「一週間後の国際オークションになります、良いでしょうか」
「はい、それでいいです」
「カチャカチャ・・・トン」
「完了しました、カードをお返しします」
佐々木「三河さま、支部長がお会いしたいと言ってます」
案内されて、支部長室に入ると支部長の前に座り。ユウも俺の横に座る。
「その人が、君の弟子なのかな」
「わたし、浅岡友香です。よろしくお願いします」
「支部長をしている、岡部です。早速なんだがあの鑑定結果に間違いないのかな」
「間違いないです、嘘を付いてもすぐばれるでしょ」
「それはそうなんだが、前回の品質を超えた物だから。購入者からクレームがきそうで恐いんだ」
「それなら、代金さえ払ってくれるなら。前回の物を今の物と同じように改良しますよ」
「そうかね、それで安心したよ」
「その為にも、傷があった場合は、そのまま改良か差額の金額を払っての交換か決めて下さい。不具合があれば対応します」
「そうして貰えるとありがたい」
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