秘密が洩れた
ギルド個室で、副支部長の真神さんと専属の瑞希さんが対面に座っている。
俺の横には、錬金術師の浅川京子が座っている。今後、ユウの片腕としてやってもらう為に連れて来ている。本人もその事を受止めている、ユウと何故か仲がいいので俺は心配していない。ユウは他の錬金術師を連れ、ダンジョンでレベルアップの最中である。
真神「するとこの指輪は、身体能力をアップさせる効果があり。黒鉄の品質で効果も違うと言うのですね」
「そうです、その効果を具体的に調べて欲しいのです。その結果しだいで、通常売却かオークションかの線引きを考えています」
真神「分かりました、調べさせます。瑞希君、任せてもいいかな」
瑞希「はい、しっかりと調べておきます」
「それとこれが魔銃ショットガン火球です。前回の改良型で魔法攻撃の火球を発射します、ランク3の魔術士と同じ威力があるはずです」
真神「火球でランク3ですか、瑞希君これも頼むよ」
瑞希「はい、任せて下さい」
真神「今回わたしが同席したのには訳があります。山部下ダンジョンで取れたあの魔石ですが、海外に情報が洩れてしまいました。大変申し訳ありません。それに伴ない三河クランでも、警備を厳重にして欲しいと考えています」
「すると、私の名やクランも洩れたと言う事ですか」
真神「確かな事は言えませんが、洩れた可能性があります。つきましては警備の費用30%を、国の補助金と言う名目で支払いたいと思ってます」
「具体的にどうしたら良いでしょうか」
瑞希「それは、わたしにお任せ下さい。確かな警備をしていきます」
「分かりました、私は良く分からないのでお任せします」
真神「そしてこれが前回の、魔銃ショットガンの金額になります。その後の評価も良く、次回の出品をお願いされています。しかし改良型が出品されると、きっと驚かれる事でしょう」
その金額40億円を見た浅川は、驚愕の顔をして俺の顔と、金額の書かれた用紙を見比べている。
瑞希「それでは、三河クランに行きましょう。現場で色々と警備の話もありますし、監視カメラの設置位置も考えないと」
三河クランに来ると、カメラをパシャパシャと撮り続ける瑞希さん。外見から撮り、中に入ると盗聴探知機を取り出しプーウンプーウンと調べだした。1階から2階へいき、作業をしている最中でもパシャパシャと撮りプーウンプーウンと調べている。3階の中まで撮られ、調べている瑞希さんの行動力に驚きを禁じえなかった。屋上の風呂も撮られ、屋上から外を眺めている。
瑞希「隣は空き家ですね、買取の交渉をしましょう」
「それなら、すでに済んでます。あそことあれも私の所有になってます」
瑞希「でしたら拡張しましょう。いいですか完璧な防衛ラインを作ります、もちろん30%は負担します」
「はあ、それでは、お願いします」
何処かに連絡を何度もしている。
瑞希「わたしです・・・はい・・・前に話した事をお願いします・・・はい・・そうですか・・・そんな事が」
瑞希「明日から工事が始まります。それでいいですね」
「それで、いいですよ」
事務所に移動すると、プリンターに接続して印刷をしだした。16枚の印刷物を取り出し、ソファーに座るとテーブルに印刷物を広げだした。
瑞希「三河さん、これが設計図になります。隣の空き地に正門を作り、出入りのセキュリティーを完璧にするため警備室を建設します。モニターによる監視も警備員とAIによる二重チェックをします。そしてこの敷地にも作業場を建設しましょう。それと何か要望はありますか」
「そうですね、クラン員の住める住居が欲しいですね。今は実家から通っていますが、何かと忙しくなりましたから、クラン員から相談されていましたので」
瑞希「分かりました、至急連絡しておきます」
瑞希さんは、やる事をやって帰ってしまったが、俺はスパイ映画を見ている思いだった。PCでそれに関係する事を検索。出てきた記事には、ハニートラップがあった。読んでゆくと[甘い罠の意]情報を得る目的で、スパイが色仕掛けで対象を誘惑したり、弱みを握って脅迫したりする、諜報活動のこと。主に、女性の諜報員が男性に仕掛けるものをいう。
何でも日本の政治家も、そのハニートラップに掛かり意のままに操られているらしい。俺は、背筋が凍る思いで読んでいた。そう言えば俺は女性と付き合った事もなかった、この記事を読んで少しドキドキしている。
次の記事には、錬金術師のクランの代表が誘拐され、拷問され続けたが白状しない事で怒り狂った相手が殺してしまった事件。極秘に探し当てた隠れ家には、その代表の無残な姿しか無かった。その記事を読んで、なんて事をするんだと思う反面世界の恐ろしさを知った。
俺はあらためて、自分の知らない世界を知り、今後の三河クランをどうするか。責任感が重くのしかかる気がしてきた。
しかし、暗黒騎士の隠れた力を使えば、このような悲惨な事にはならないだろう。
それだけは、俺の暗黒騎士としての力を信じている。
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