赤トカゲ
工場に戻ると、工場の門に【三河製作所(ギルド公認 武器・防具製作)】の看板が設置されていた。
「師匠、看板があると違いますね」
「なんか、引き締まる思いだな」
事務所に入ると、那須さんが俺の所にきて。
「社長、この書類に至急サインをお願いします。それとですがこの名刺の方々が、連絡して欲しいと言っていました」
俺は一瞬、周りを探したが。自分の事だと気が付き。
「ああ、ありがとう」
書類を確認してからサインして渡した、名刺の数は22枚もあり話すのは面倒だなっと思ってしまった。
メールアドレスが書かれているので、お断りのメールでも送っておく。
PCの前で面倒だが、送った後に。新たに気になった事を調べる。
調べた結果、まだ探索者の中でランク4になった者はいなかった。
調べてみて面白い、研究結果があった。
探索者の身体能力を比較したもので。
主に、剣士・弓士・槍士を総合的に比較したデータで興味深い。
一般人の平均的身体能力を1として、探索者のランク別に比較している。
視力・動体視力・聴力・ジャンプ力・敏捷性・100m走・重量挙げなどを測定。
ランク1 30%の能力アップ
ランク2 60%の能力アップ
ランク3 100%の能力アップ
ランク3で一般人の2倍の身体能力がある事になっている。
100m走・重量挙げでは、新記録をはるかに超えた記録を出していた。
訓練などしていない探索者と考えれば、それは驚愕する記録。
ユウは、ランク2になった事で当初の目的も終了。
今度は俺1人で、ダンジョン探索をして行こうと思っている。
時計を見ると、そろそろ始まる時間が迫っている。
「那須さん、今から俺達が作った武器のオークションが始まります。今後の為に一緒に見ませんか」
「分かりました、大変興味深いですね」
3階のリビングに入ると、風呂上りのユウが65型液晶テレビの前でくつろいでいる。
「師匠、お先に風呂をいただきました」
コイツは、俺に断りなく入っていたのか。
「師匠、わたしの弓矢がでてます。ほら、あそこにあ!那須さんこっちにきて座って下さい」
「それでは、失礼して」
ユウの横に座り、テレビに注目している。
画面に事前に撮っていた動画が、司会者の進行で映し出された。
きれいな女性が弓と矢を持って立っていた、きれいな動作で矢をつがえ放った。
的を貫通して、うしろの土山に当たると衝撃と共に土煙が上がっている。
カメラは的に近づき、厚さ30cmの鉄板である事を見せていた。
会場に切り替わり、司会者が弓と弓矢の説明を始める。
「凄いでしょ、あの弓矢はわたしが作った物なんです。見ていたでしょ那須さん」
「凄いですね」
司会者が木槌を叩き、入札の始まりを知らせる。
1千万から始まった、会場はオートオークションで静かに入札が表示されてゆく。
もう7千万を越えだした。
その度に、ユウの歓声が部屋中を駆け巡っている。
静かな会場も何故か白熱しだしている。
会場内を木槌が叩く音がこだまする、落札終了の合図である。
落札のトップは2億3千万円で弓17張と弓矢340本が落札。
次が2億2千万円で弓11張と弓矢220本が落札。
ユウは飛び跳ね、ギャッギャッうるさくはしゃいでいる。
那須さんは、電卓を黙々と叩いていた。
そんな結果を見てから、俺は屋上に向かった。
翌朝、2階に下りると。
すでにユウが、弓矢の製作を始めている。
弓矢の取り分、80%に対しての行動だとすぐ分かってしまう。
その顔が、ニタニタしている事でも証明していた。
「ユウは、元気にやっているな」
顔も向けない返事もない、どれだけ作れるか競争している雰囲気が漂っていた。
「これから、ダンジョン探索に行ってくるから。頑張れよ」
俺は、ユウをそのままにして。ダンジョンに向かった。
8階層では、赤トカゲが赤玉を飛ばしてくるが結界盾が防いでくれる。
そして、もう1つの結界盾が赤トカゲを始末する。
攻撃パターンが決まって、少しドキドキ感が薄れてきたが。
例の広いフロアを発見、やはり普通の赤トカゲと違って。
大きな体に頭が2つ生えている。双頭と言うやつだ。
これは赤玉が、2つも飛んでくると想像できる。
結界盾2つを全面に出し、動向を見るとやっぱり直線的な赤玉が飛んできて1つを防ぐと。
山なりの遅い赤玉が頭上からやってきたが、もう1つも結界盾で防げた。
魔物も、頭を使ってきた事に驚くも。次々攻撃してくるので防御に集中。
下手に赤トカゲに近づけない。
「仕方ない、奥の手を使うか」
俺は、赤トカゲの動きを確認した。俺の体が消える。
次の瞬間、赤トカゲの真横に出現。そのまま黒刀を振り下ろす。
赤トカゲは消え、討伐は終了。
暗黒騎士の1つの力、瞬間移動が出来るのだ。
多分赤トカゲも驚いていただろう。
この瞬間移動、遠くでも瞬時に移動できる。
ただし、その場所に行って。その場所を認知していないと移動できない。
そして、例の宝箱はあった。近づき開けるとスクロールがある。
取り出し開いて見ると。またもや不思議な文字が書かれていて光りだした。
そしてイメージがドンドン頭に入ってくる。
そして、その能力は赤玉を幾つでも出せる能力である。
そして、その能力を付与できる事も分かっていた。
ユウには、その能力はなかった。俺が特別なのかそれとも条件があったのか。
それは、今の俺には分からなかった。
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