第九話
「あなたは気絶しました」
ぽろりと失言した直後だった。俺の目の前には描写出来ないほど美しい幼女が立っていた。
「幼女じゃない、神様だ。あと、男な」
男の子だったのか!? とても失礼……あれ? 何で俺の考えてる事が判ったんだ?
「神様だからな。お前の考えてる事は手に取るように分かる」
マジですか!? 迂闊な事は考えられませんな!! え? 神様?
「そうだ。神様だ。まあ、そんな事はどうでも良い」
良く無いわーー!!
「それよりも……だ。ここはまだお前の来る所じゃない。何故なら、さっきも言ったようにお前は気絶しているだけだからだ」
俺は訳も解らず聞き返す。
「それはどういう……」
「鈍い奴だな。お前はここに来る前に、彼女に失言しただろ?」
「何で彼女がいるって知ってるんですか?」
「神様だからな。何でも知っている」
さいですかー。
「それでそのあと、怒り狂った彼女に渾身のビンタを喰らったんだよ」
……思い出したぞ! 確かそのあと本棚に頭をぶつけて、気がついたら目の前にショタ神が現れたんだ!!
「気絶してるんだってば」
何か……考えてる事に突っ込みを入れてくるから、凄くやりづらいなあ……このショタ神……
「ショタ神言うな。まあ……とどのつまり、あんたはまだ死んでないから、とっとと門を通ってもらって帰ってもらおうってこった」
「……なんか、なげやりな気がするのは気のせいですか?」
俺がそう言うと、ショタ神は眉間に皺を寄せ、とても不機嫌そうな顔をする。
「なんだ、お前? 生きてるうちに地獄に行きたいのか? 正に生き地獄を味わいたいのか?」
俺は無言で首を横に振る。
「じゃ、文句を言わず、さっさともとの世界に帰れや」
ショタ神はそういうと、目の前に手をかざし、大きな門を出現させた。
「ええっと……何だか良く解りませんが……ご迷惑を御掛けしました……」
「そういうのは良いから、さっさと元の世界に帰れっての」
ショタ神は早く俺を帰らせたいのか、足の裏で背中を何度も蹴りつける。
なんか……気に入らない事でもあるんだろうか……?
「じゃ、じゃあ……お世話になりました……痛!」
急かされるままに門をくぐると、扉は軋む音を立てながら、ゆっくりと閉まり始める。
「今度は、天寿を全うしてから来いよ……」
「……え?」
門が閉じる直前、ショタ神が何か言った様な気がしたが、俺の耳には届かなかった。
「……リア充……爆発しろ……」