第十五話
我に返った時……言ちゃんは大の字になって床に横たわっていた……
「……あははー……もう駄目だぁ……」
お腹に跨がったまま、数十秒間脱力する私……天を仰ぎ、蛍光灯から優しく照らされる光を呆然と見つめる……
「……言ちゃん……殺しちゃったー……」
そう呟くと、頬が何か冷たいものが伝っていく……
私は首を下げ、上体を言ちゃんの胸元に静かに下ろす……
まるで、添い寝するかの様に……
動かなくなった言ちゃん……
息をしなくなった言ちゃん……
胸の鼓動も、感じられない……
私は……紛うこと無き『殺人者』だ……
「自首しよう……」
私はスマホを手に取ると、虚ろな目で画面を見つめる……
「110番って……何番だったけ……」
ショックのあまり、頭が働かない私……それでも、何とか番号を思い出し、電話をかける……
「あの……警察ですか……? 私、恋人を……」
――ポーン
『午後5時、43分、50秒をお伝えします』
「そうですか……午後5時43分、逮捕ですか……」
ああ……これから、私は刑務所で暮らすんだな……恋人を殺したから、当然なんだけど……
私は、通話を終え身支度を整えようと、そおっと立ち上がった……
その時だった……
何処かから、とても面倒臭そうに何かを蹴り倒す音が聴こえたのは……
『……とっとと帰ってくれ……いや本当に……』




