182 アニキが砦を作ってる間暇なのですよ
「君達の活躍は聞いたぞ!二人だけで大群を食い止めたそうじゃないか!」
「丁度ここに来た所だったんでな。まあたまたまだ」
「砦作る前に攻めて来るとか反則だよなー」
「そうそう!その砦の話しをするために呼んだのだ。レムルから砦建設の話しがついさっき来た所だ。なんでも凄い土魔法の使い手だとか」
「ああ。魔法学校の校長先生に依頼されてここへ来た。すぐにでも建設を始めて問題無いか?」
「いや問題はあるな。見ろ!魔物の死体まみれだ」
「あー、確かにこれを処理せんと無理だな」
「そういやギルドで緊急討伐依頼出したんしょ?倒した魔物はどうしたらいいんだ?」
「こういう状態なので誰がどれを倒したかわからんしな。とりあえず全て回収して報酬は平等に分けるつもりだ」
「んーー、ギルドから冒険者が来る前に倒した魔物の死体が大量にマジックバッグに入ってるんだけど、それはどうしたらいいんだ?」
「なぬ!?この散らばってる死体以外に大量に持ってると言うのか?」
「何体入ってるかは数えて無いけど大量だぞ」
「ウーム・・・、まあそれは確実に君達二人で倒した分だろうから、その話はまずここの死体を片付けてからでいいか?」
「構わんぞ。じゃあ目の前に散らばってる死体はオレら以外の冒険者で分けてくれ」
とりあえず話しは決まったので、ゴブリンみたいに魔石しか価値が無いような魔物以外はみんなでギルドに運び込む。残った無価値の物はここで一纏めにして燃やし始めた。
しかしギルドにこんなに持ってって大丈夫なんだろか?
・・・・・
ズバリ、全然大丈夫じゃなかった。
職員だけじゃ到底無理で悲鳴を上げたので、結局冒険者達総出で解体スタートだ。
解体は夕方まで続いても全然終わらず、全てが終わるまで何日もかかるっぽい。
当然オレらの所持してる魔物は後回しってことだ。
話しでは超大量の肉が市場に流れるので、国全体で魔物肉の大特価セールになるみたい。
この国だけじゃなく他の連合国にも流れていくんじゃないかな?
そして他の冒険者達からオレらの活躍が報告されたので、ギルドランクがCに上がった。
すでに護衛依頼をやってあったお陰でスムーズに決まったっぽい。
逆にDランクが二人で大量撃破したことに驚いてたな。
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一夜明けて、今日はオレ達二人は解体に加わらず、砦建設の方をやることになった。
とはいえ作るのはアニキ一人だから、オレはこっちにいても見学人でしかない。
なので今日はじっくり時空魔法の研究をすることにした。
寝る前とかに考えてたのは何個かあるんだよね。
まず【時空】のうちの『時間』の方で考えたけど、時を止めるってのはどう考えても無理くさいので却下。
それ以外で思いついたのは、加速が使えるってことはスローも行けるはず。
でもオレの場合結界ありきなので、敵に結界をかけてからスローをかけることになる。ただこれだと正直微妙だと思うんよね。まあ使う事があるかもしれんから練習はしとくか。
しかし虫にスローをかけた所で分かりにくい。そして魔物はもういない。
うん、これは後回しだな。
あと試したいのは魔法を反射する盾とグラビティだ。
こっちは【時空】でいうと『空間』の方かな?
色々考えはしたんだけど出来る可能性があるのはこの三つだった。
重力操作は梃子摺りそうだから反射からやろう。
結界魔法を多用してるから盾はいけるだろう。それに魔法反射をイメージしながら作り出すだけ。
「反射盾!」
お?とりあえず見た目は成功だ。消費MPは10.
イメージは魔法を反射する薄っすら黄色い透明な盾。場所は固定にした。
よし、オレが移動しても付いてこないな?
5メートルほど距離を置き、ファイヤーの魔法をぶつけてみることにする。
最初からその予定だったので、真っすぐ反射されないように少し上に作ってナナメに反射されるよう調整した。
「ファイヤー!」
キンッ!
火の玉は盾に反射されオレの上空に飛んでった。
これは成功くさくね?でも弾いただけかもしれんから次はデンジャラスファイヤー行くか!
「デンジャラスファイヤー!」
キンッ
巨大火の玉もしっかり反射されてオレの上空を飛んでった。
「いきなり大成功じゃん!これなら不意の魔法攻撃が来ても対処出来るぞ!」
いっそのこと赤結界とかにこの機能を付けてしまうか?上から魔法来た時に足元に反射されてしまうかな?
いや、それでも死神の黒い炎の直撃よりはマシだと思う。
・・・まてよ?鏡のように反射するのではなく、魔法を撃たれた方角に反射させられないだろうか?
反射盾を今度は斜め上に向けて設置し、正面からファイヤーを撃ってみる。
キンッ
くそ!ダメだ。反射角度みたいのがオレの知識に刷り込まれてるから、反射盾を作る時に角度を無視して跳ね返すってのがどうも出来ない。
しょうがない。オレの結界の作りだと足元に反射しちまうと大火傷だしなー。今は結界に反射機能付けるのは諦めて、その都度反射盾を張る方向でいくか。
やっぱ魔法作りってのはそう簡単じゃあないね。




