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146 王都

「やっと王都が見えてきたぞ」

「他の街とはやっぱり規模が違うな」


入口で見張りにギルドカードを見せる。


「Eランク冒険者か。着てる服といいその変な乗り物といい、訳が分からんがまあ通ってよし!王都ヴェルサムートへようこそ。楽しんで来な」


「なにィ!?ベサメムーチョだと!?」

「いやコテツ、ヴェルサムートだ。少し近いが言うほど似てないぞ」


ようやく王都に到着だ!勇者探しせんとな。



今回はバイクのまま道を走って行く。


当然ながらこんな目立つバイクに乗って走ってるので、みんなガン見状態だ。

やはりまずは宿屋探しだな。普通の宿屋にしか泊ったこと無いので今日は高級宿屋にしよう。


「アニキ、たまには高級宿屋にしようぜ」

「そうだな、金は腐るほどあるんだ。多少贅沢してもバチは当たらんだろう」


露店でいつものように串肉を買い、高級宿屋の場所を聞く。

奥に進むと貴族街があってその手前くらいにあるらしい。貴族街は一般人が入ると碌なことにならんから、入らないようにと注意された。


貴族ねえ?お偉いさんの住む地域なんかに行ったって、絶対つまらんだろうから別にいいんだけどさ。


奥に進むとどんどん街並みが綺麗になっていく。


「これか?」

「わからんがたぶんコレだろう。まあ入ってみんべ」


バイクをアイテムボックスに収納し中に入ってみる。



「いらっしゃいませ。お二人様ですか?」

「ここは宿屋で合ってるよな?人数は二人だ」

「宿屋で合ってますよ。春風亭と言います。ただここは貴族の方もお泊りになる高級宿なので、普通の宿屋より料金は高くなりますがご予算は大丈夫ですか?」

「問題無い」

「個室は一人一泊20000ギラン。二人部屋ですと30000ギランになります」

「流石は高級宿って値段だな。問題無い、個室で頼む。とりあえずは一泊だけでいい」


アニキと二人分の金貨2枚ずつを支払う。


「食事はそちらの食堂で、深夜以外ならいつでも食べられますのでご利用下さい」


「へ~、いつでも食えるってのはいいな!」

「高級宿の余裕を感じる部分だな」


「それと春風亭にはお風呂が御座いますので、それもご利用下さい」

「なにィ!?お風呂があんのか!」

「そいつはナイスだ!すぐにでも使えるか?」

「いつでも入れますよ」

「よっしゃ!部屋の確認したらすぐ行こうぜ!」

「当然だ」

「ではごゆっくり御寛(おくつろ)ぎ下さい」



部屋はアニキの隣だった。中は広くて非常に綺麗だ。さすが高級宿だな!

少し疲れてるので横になりたいが、しかしまずはお風呂が先だ。

ドアの外に出ると、アニキもすでにスタンバイしていたのでお風呂へ向かった。




(※男のお風呂シーンなど邪道なので完全カット)




「ふぃ~~~、風呂最高!」

「今まで水浴びばっかだったからな。やはり湯舟に浸からんとダメだ」

「ただ置いてあった石鹸はイマイチだったな」

「あーそれは思った。まだ技術が発達していないのだろう」


そのまま食堂に行き、少し早い晩飯を食べた後アニキと将棋を打ってから就寝。






************************************************************






食堂で朝飯を食いながら今日の予定を話し合う。


「冒険者ギルド行く?」

「いや、とりあえずは街の散策だろう。王都見学は面白そうだ」

「それもそうか。街すげー広いからバイクでいいよな」

「だな。流石にこんだけ広い街だと歩きじゃキツイ」

「メル姉たちにお土産買わんと」

「そういや頼まれてたっけか」


お風呂が気に入ったので、追加で10日分の宿代を払い宿屋を出た。


「貴族街は行ったらめんどいらしいから他んとこ行こう」

「目的もねーしテキトーに走るか」



街の見物をしながら走ってると、またもや長蛇の列を発見した。


「列の長さがハンパねーーー!」

「こりゃあやべえな。最後尾は10時間待ちとかのレベルじゃねえのか?」


並んでる人は冒険者が多い感じだけど、普通の住人もかなりいるようだ。

女神シャルロットよ、もうちょいガチャ増やしたほうが良くないかい?


どこまで並んでるのか気になって走ってると、最後尾の方に並んでる貧乏そうな子供が倒れた。


「おい、大丈夫か?」


バイクから降りて子供を抱き起こすが、ちょっと軽すぎるぞ。


「ハアッ、ハアッ」

「家はどこだ?」

「並んで、パン、出さないと・・・」

「パン?腹が減ってるのか?」


子供はぐったりしていて今にも死にそうだ。

アイテムボックスから聖水のビンを取り出し子供に飲ませる。


少し顔色は良くなったが、このまま放っとくわけにもいかんよな。

とはいえどうすっか・・・、つーかギャラリーが多くて居心地悪いな。


「コテツ、どーした?」


アニキが来たので事情を説明する。


「ちょっとここから離れよう。変に目立っている」

「だな」


子供が意識を取り戻すのを待って、目覚めた子供に事情を聴く。


「僕がパンを持って帰らないと、母ちゃんと妹が・・・」

「ああわかった、心配すんな。食い物はなんとかすっから家に案内しな」



子供を抱きかかえ道案内をさせながらバイクを走らせていると、子供の家は貧民街と呼ばれる場所にあった。


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