118 さらば第二の故郷
今日この村を出発することを宿屋の女将に伝え、当分仕入れ不可能になる話をしていたら、宿屋の旦那が「絶対間違いないから」と断言し、三種の神器を100セット購入してくれた。
宿屋の夫妻に別れを告げ、次は雑貨屋にも100セット売却。
もうストックが厳しいので近いうちにノーマルガチャ回しまくる必要があるな。
見張りのおっちゃんの所へ行くと、カール達が武器の自慢をしている所だった。
「あ、そうだ。この村って、もし魔物や軍隊が攻めて来たって時、避難出来る場所が無いよな?」
「んーー、小さい村だしそんなモノは無いな」
「ちょっと付いて来てくれないか?カール達も来てくれ」
おっちゃんら六人は訝しげに付いて来た。
・・・・・
「ん?ここって毎日修行してた原っぱじゃない」
「よし、みんなここで待っててくれ」
アニキが土魔法で砦を作り出す。
「「なっ!?」」
数分後、雪原を抜けた時に作ったような最新式の砦が完成した。
「よーし完成だ。みんな入ってくれ!」
アニキに続いて全員砦に入っていった。
「なんだこりゃあああ!?」
「スゲーーーーー!!」
「アニキ師匠ってこんな凄い魔法が使えたのか・・・」
「ホント規格外ね」
「うわあ~~~」
「お城にでも入ったような気分なのですが」
アニキは、厨房、ベッド、円卓、大量の椅子と、人が住めるように内装を仕上げていく。
最後は壁に『避難所』と彫って、ゴブリンの銅像を設置した。
「ここを避難所として置いていく。何かあったら使ってくれ」
「いやースゲーなあんちゃん!王様にでもなった気分だぞ」
「でもココの事は村の住人以外には絶対隠しておけ。変な奴らが来て占拠でもされたらかなわんだろ?カール達もいいな?」
「「はい!」」
「確かにあんちゃんの言う通りかもしれんな。よし、口外禁止にしよう」
・・・・・
村の入り口に戻って来た。
「そうか。あんちゃん達はもう行くのか」
「本来はすぐ出て行くつもりだったんだが、五人を鍛えてたからな」
「「本当に色々とありがとうございました!」」
「しかし街まで案内しなくても大丈夫なのですか?」
「ずっと道なりに歩けばそのうち辿り着くんだろ?」
「まあそうなのですが」
「なら問題ない。コテツと遊びながらゆっくり向かうさ」
「おう!アニキと二人旅も久々だな」
「1週間くらいぶりだろ。そんな久々でもないわ!」
「だな!わははははは!」
「「ハハハハハ!」」
「んじゃそろそろ行く。みんな達者でな!訓練はずっと続けろよ?」
「「師匠達もお元気で!」」
「今度会う時は、さらに強くなった姿が見れるといいな」
「絶対強くなって見せますよ!」
そして二人は村に別れを告げ、新たな旅に出たのだった。
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「街までは歩いて半日かからないくらいだって言ってたな」
「急ぐこともなかろう。ゆっくり景色でも楽しもうや」
雪原越えや魔の森を越えた時とはまったく違って、ホントこれ以上ないくらい平和な旅だ。ただまったく人とすれ違うことも無いので、最北の村がどんだけ田舎だったのかが良くわかる。
ここに来てからオレらの行動ってのは、完全に戦うために特化した動きばっかだったので、ゆったりした時間に対して違和感しかない。
でも普通ってのはこんななんだろな。
「こっち側ってモンスター全然いないんだな」
「普段から警戒して歩くのがクセになってるから、俺らに自動で備わってる防衛機能が完全に無駄な行動に思えてくるわ」
「いやわからんぞー?危険ってのはいつも突然やってくるんだ」
「まあな。でも突然ドラゴンが出た所で、俺らには食料にしか見えんだろう」
「わははははは!ドラゴンのストックもうちょい欲しいな」
とはいえこんな場所にドラゴンが出るとはとても思えん。まあ二人で食う分にはまだ全然余裕あるから、すぐに必要とかでは無いんだけどねー。
何時間か歩くとようやく街が見えて来た。
「街だ!」
「やっと見えたな」
まだ遠目ではあるけど結構栄えた街なんじゃなかろうか?
街の入り口には見張りが二人立っている。
「見ない顔だな?身分証はあるか?」
「身分証?無いな」
「どこから来たんだ?」
「最北の村だ」
「ああ、あの村か。身分証が無いなら一人銀貨5枚だ」
「通行税ってヤツか。んじゃ二人分だ」
「よし、通っていいぞ。あー、ギルドにでも行って冒険者カードを作って来な。それが身分証になる。毎回通行料なんか払ってられんだろう?」
「ギルドか。場所を教えてくれ」
「ここを真っすぐ行けばデカい建物があるからすぐわかる」
「あんがとな」
「一応規則だから聞いとくが、犯罪歴は無いだろうな?」
「田舎しか知らんから犯罪をする理由も無いわ」
「ふむ、信じよう。レイモンドの街へようこそ。結構デカい街なんで楽しんで来な」
「ってことだ。コテツ、まずはギルドに行くぞ」
「全部アニキに任せたけど、アニキは交渉もうめーな」
「ああ、あんなのテキトーだテキトー」
というわけで何ごとも無く無事に街へ入ることが出来た。
「画面下の評価ボタンを押すと作者のやる気がとんでもなく上がるらしいな」
「アニキ、ブックマークも嬉しいみたいだぞ」
ということで今週も土日は2話ずつ投稿します。




