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第16話 隣国の英雄

 ――バンプティの隣国、グレン。


「報告ご苦労。バンプティの復興は順調に進んでいるようだな、ヘッケム」


「はい、マルク王がうまくやってますよ」


 ここグレン国も一昔前までは王の圧政によって苦しんでいた。バンプティと違い王族、貴族、兵に至るまで圧政により私腹をこやし人々を苦しめていた。そのため国民は決起し、冒険者を多数雇い入れ王軍に反逆、見事打倒し革命が成る。国民が政を行う民主制へと変わる。


「それでリラン様はどちらに?」


「探しものが見つかったと言って出ていった」


「お忙しいようですね」


 戦いの際、冒険者達は大活躍。中でも勝利の原動力となった一人の冒険者がいた。


『救世王リラン』


 大きな羽、長い尾を持ち獣人族であろうこの冒険者は、その身を全身鎧でつつみ、常に最前線に立ち次々と王軍を撃破。破竹の勢いで王都まで攻め上り、遂には王を倒す。しかしどんな時も全身鎧を装着していたため、正体を知る者はいなかった。


「しかし欲がないお方ですよね。バンプティに攻め込んでいれば地図が塗り替わったろうに」


「それどころか私に二重スパイをさせたり、王子に王殺しをさせるため焚きつけたり。その他諸々、むしろ助けていましたからね」


「ハハハ、スパイがベラベラしゃべっていいのか?」


「スパイと言うよりもほとんど伝達係ですよ、マルク王子にもバレバレですって」


「違いない。しかし欲がないというわけではないぞ?」


「成程。それが今回の探し物というわけですか。まあ、あの方が考えていることは私にはさっぱりですがね。それでは失礼します」


 報告を済ませたヘッケムはバンプティへと帰っていった。




 祭りの時は冒険者が多すぎて取り合いだったが、サシュウが言っていた通り、この街のギルドはクエスト依頼が多い。冒険者は多数いるが依頼書が尽きなかった。

『フィアースケルトン討伐』これかな。あ、星2の俺じゃ受けられないクエストか。星3に上げられないか聞いてみよう。


「少々お待ちください……、一定量のクエストをクリアなさっているので星3試験に挑戦できます。星3以降は試験に合格しないと星を取得できません」


「試験は二種類あります。力を見させていただく試験と、知力を測る筆記試験となります。どちらか片方だけ受けることも可能です。力の試験で合格した場合、赤の星、知は青、両方合格は金色となります」


 ふむふむ。両方受けておこう。今回は俺とサシュウの二人で試験だな。


 今日は試験官がいないとのことで、簡単なクエストとレイドをして一日を終える。

 朝目を覚まし準備を整え、試験会場となる訓練場へ足を運ぶ。


「近接クラスは俺と模擬戦、そこにある武器を好きに使ってくれ。君は攻撃系魔法使い系だね? あの的にスキルを撃ってもらう。準備ができたら始めよう」


 まずはサシュウから、お互い剣を構える。

 瞬間、サシュウが一気に間合いを詰め試験官の剣を弾き飛ばした。


「!!」


 何が起きたかわからないという顔で、立ち尽くす試験官。


「よ、よし! 模擬戦終わり!」


 レベル50超えてるんだからそうなるか。


「次は君だ。始めてくれ」


 岩石が的のようだ。杖を上段に構えると、先端から白色と黒色の光線が射出され絡み合い、巨大なハンマーが出来上がる。


聖悪混槌(デュアルプレス)


 ハンマーを振り下ろすと岩石が粉々に砕けながら飛び散る。


「……これで実技試験は終わりだ」


 試験官は疲れた表情を見せ、筆記試験の部屋へと案内する。

 翌日俺は赤の星、サシュウは金色の星をそれぞれギルドカードに刻む。


「やった! レオンさんに勝った!」


「ハッハッハ。やるじゃないか」


 この世界へ来てしばらくたつが、歴史とか調べてないしわからないし。だから悔しくないし!

 星3を得て目的のクエストへと向かう。数は多いが余裕だな。まだ俺は前線に出られる強さじゃないけど。三人ともガンバレ! 今までより取得経験値も多いな。今度他星3もこなしていこう。

 

「うし、クエ達成」


 目的を達成後、街へ帰還。


「ズオン」


 街への帰り道、太い尻尾、翼を持ち、黒い全身鎧を身にまとった獣人族が現れる。

 鎧を脱ぎ始め、中から少女があらわれる。


「待っていたよ。僕の大切な人」


 ふむ? どういうことだろう、よくわからない。サシュウが殺気を放ちながらこちらを睨む。


「もしかしてこの子に手を出したとか?」


「それはないんだけど、俺も何が何やらさっぱりだな」


「僕は竜族の王女リラン。強い雄を求めてこの地にやってきた」


「リランって、まさか『救世王』リラン!?」


「人間たちはそう呼ぶ者が多いな」


「救世王?」


「レオンさん、知らないの!?」


 サシュウは簡単に説明をする。そして俺の頭が益々混乱した。十年前にグレンを救った冒険者。それが女の子。それに若いな!? 竜族だって! 強い雄を求めてやってきたってナニ!?


「ハハハ、父上が『俺より強くなければ結婚は認めん!!』って言っているんだ。竜族で父上より強い雄はいないからこちらにやってきたんだけど、人間たちが苦しそうだったからちょいと手助けしたまでさ」


 うーん、とするとアレか。婿さんを探しているってことか。


「今まで探してきたんだけど、見つからなくてね。ところが最近、部下達からの情報で強そうな冒険者たちがいることを知ってね。詳しく調べさせたところ、どうやらビンゴだったようだ」


「その冒険者が贔屓にしている鍛冶屋の道具がインビジウムで揃っていたり、異空間へ入って行ったりと。君のことだよレオン」


 バレバレじゃねーか! まあいつかはこういう日が来ると思っていたけど、婿さん探しでバレることになるとは予想してなかったな。


「レオンは不思議な力を持っているようだね」


「ハッハッハ、いくら不思議な力があるとしても、強いとは限らないだろう。俺は低レベルで弱い男だよ?」


 現在のクラスは零獣滅士(ゼロスレイヤー)。もし確認したとしても実際に低レベルだ。いいぞ! 冴えた返答だ、さすが俺!


「君は英雄だろう?」


 早い! 論破早い! いや落ち着け。このまま押し込まれるな!


「……お父さんがそう言ったとしても、それで君はいいのかい? 好きな人と結婚したほうが幸せなんじゃないか?」


「僕は強い雄が好きだよ」


 これが救世王の実力か、まるで隙が無い。ここは考える時間を稼ぐしかないな。


「ふむ、急激に情報が入りすぎて頭が追い付かないな。考える時間をもらえないか?」


「もちろんだとも。ああ、そうだ。僕をパーティに入れてもらえないか? ようやく出会えたんだ、離れたくない」


「……いいだろう。ただしその鎧は目立つな。非戦闘時はこちらで預かるとしよう」


 パーティに入るリラン。加護を受けニヤりとする。


「フフフ、やっぱり他の雄とは違うじゃないか……」


 ふぅ、困ったことになったが、時間は稼げた。対策を練るとするか。 

 こうしてパーティが5人となった俺たちは、街へと帰った。

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