第15話 無邪気な弾丸
今日は情報取集をやめ、お祭り最終日を楽しむことにした。
大声を張り上げ、安売りを始める商人。疲れが見えるが、最後の力を振り絞って立ち回る大道芸人。長期間の祭りとあって、客足が落ちているがそれでもまだまだ盛況だ。
「ねえねえ、これ買って。お祭りの思い出に」
シンプルなデザインのピアスを指さすサシュウ。
「ああ良いとも」
俺はピアスを買い、サシュウに渡す。小躍りせんばかりによろこんでいる。
「二人も何か欲しいものはないかい?」
「私はあの指輪を」
「そうだな……私も指輪かな」
メディス、アサイアに買った指輪を渡す。喜んでくれいているようだ。
人波の流れに身を任せ、街中をそぞろ歩きしていると、多数設置された会場の一つから大きな歓声が聞こえる。
「なんだろう? 行ってみようか」
「さあ、最後にして至高! 締めはもちろんこの人たち! 今回大道芸の特別審査員、大道芸冒険者集団、『グラル』さんたちによる演舞だ!!」
ものすごい盛り上がり方だな。有名な人たちなんだろうか。とにかく豪快だな。しかもスキルを使っている。こういう使い方もありか。面白い。
こうして長いお祭りは終わりを迎えた。
「それじゃあ行こうか、みんな」
祭りが終わり、アサイアの生まれ故郷へと赴く俺たち。半日も歩けば着くそうだ。
「着いたぞ、ここが巨人族の里ロキサス。私の故郷だ」
「あ! おねーちゃんだー!」
母親らしき女性に連れられていた小さな女の子が、こちらへ向かって走ってくる。ハハハ、かわいいな。
「ビュオン」
「バカーン」
幼女がアサイアに向かって飛び跳ねた。瞬間、地面が力に耐えられずクレーターが形成される。弾丸となった幼女が彼女に襲い掛かる。
『ズオン!』
幼女を受け止め、踏ん張った足で地面を削りながら後退する。数歩分下がったところで止まった。
「フフ、ダメじゃないか。道を壊しては」
やさしい声で、頭をなでながら話す。
「アッ! おねえちゃんごめんね!」
この村怖い。
先頭を歩くアサイアが、大きな屋敷へと入っていく。俺達もその後ろについていった。
「ただいま母さん。」
「おおアサイア、元気だったか。ほお、つきものが落ちたような顔をしているな。何かいいことがあったかい?」
「ああ……だけど今は言えない。時期が来たら話すよ」
アサイアから紹介を受け俺たちも挨拶をする。
「私はこの村の長、リキスだ。成程、君たちのおかげか」
三人を見回す。特に俺の方を見つめてきた。勘の良い方のようだ。何か悟ったのだろう。
大きく頷き、手を叩く。
「祝言の準備だ!」
「そうじゃないって!」
あれ? 違うの? という顔をしている。周りにいた屋敷の人達も。
「そうか! これは失礼。それはそれ。お前も良い歳なのだから考えてくれよ」
「……それはわかっているけど」
「お客人、何もないところだがくつろいでいってくれ」
夕飯時。非常に豪勢な夕食がテーブルに並ぶ。どれもうまそうだ。食べ終え、談笑した後、用意してくれた個室で夜を明かす。
起床し、朝食を食べてから、皆で村を散歩していた。
「この村は農業牧畜が盛んなんだ。まあ、他の村もそうだろうけど。どうだいいところだろう」
「あ、ああ。とてもいいところだね」
超巨大なピッチフォークで牧草を荷台に乗せる者。切り倒された大木を数本まとめて持ち上げ運ぶ者。大きな打撃音の中じゃれあっている子供たち。
俺が知っている原風景は、そこになかった。
そういえば、力仕事を女性ばかりが行っているな。
「気付いたか。巨人族は女しか生まれないんだ。何故かはわからないがな」
基本的に婿を取っているとのこと。理由はいろいろあるが生まれてくる子供は力が強すぎて他の場所では馴染めないというのが理由の一つらしい。
「ギャオーーン」
村の外が騒がしい。向かってみるとそこには魔獣と戦う女達がいた。
「この村の欠点は魔獣が多いことだ。ほぼ決まって山の方から来るから対処はしやすいんだがな」
強そうな魔獣たちだ。アサイアのレベルを確認したとき50だったけど日頃から退治していたからレベルの上りが速かったのだろう。
それから一週間。
「霊獣が出たようだ」
零獣暴走の報が入る。
『殴打岩人』
早速現地に向かい、村の女性達と一緒に倒す。攻撃力と守備が高めでなかなか厄介なタイプだな。マナマテリアル稼ぎは黄金長にするとして、スキルが出るまでは戦うとしよう。二週間ほど粘ってスキル結晶を手に入れ、アサイアに渡す。
目的を達成した俺たちは、村に別れを告げ街へと帰る。祭りは終わったというのに相変わらず人が多い。そういえば、この街で一回もクエストを受けたことがなかったな。うんやろう。とっ、その前に。
ワビ石を見る。いくつかのスキルがレベル30となっている。スキルレベルは最大30まで。キャラレベルを上げるより楽だが、数が多い。
複数のスキルを30まで上げることで習得できるスキルがある。よしよし目的のスキルを覚えたな。それじゃあクラス変えだ。
『零獣滅士』
近接型、武器は剣。最高クラスの威力を誇る攻撃スキルが魅力だ。さて、当然レベル1スキルレベル1.しばらくは彼女たちに守ってもらおう。
「と言うことでしばらく守ってください。よろしくお願いします」
「ん~、どうしようかなぁ? 私の言うことは何でも聞くのよ?」
「わかりました!」
1000回ほど召喚を行い、アサイアに合った武器を渡す。杖だが攻撃力が上がる棒状のSR武器。防具は後で作るとしよう。
ギルドカードは魔法使い。装備はクエストを受ける前に外しておこう。面倒だが。
クエストを受け基本瞬殺してもらう。おかげで安全にレベルがモリモリ上がった。スキルレベルは上がらないが。同時に黄金鳥も狩る。
「がんばれー!」
俺はいい子にしながら彼女たちを応援した。




