第13話 『力』
「皆さんお待たせしました! ルクニクルへ集結した力自慢たちの祭典、今ここに開催!」
スタートの合図と共に熱気が高まる会場。
うわぁ、この中で競技をするのは緊張するぞ。そうだ、パーティは解散しておかないとな。俺は魔法使いだからどちらにせよ二人にはかなわないし、いいか。
「力自慢の皆様にはハンマーで、こちらの計測器を叩いていただきます。計測の玉が一番上までいった方が優勝となります」
説明を済ませると、進行役の男は観客の方へ体を向ける。
「それでは、一人目! 俺が一番になったら帰ってきてくれ、かーちゃん! ボーンドさんだ!!」
一人目の重いエピソードを持つボーンドさんの番が終わり、次々と競技が進行していく。俺の番がきた。
「両手に華! 彼女はどっちだ!? いや両方か!? レオンさんだ!!」
この進行役ノリノリだな。会場からブーイングが聞こえてきてるんだけど。さてと、このハンマーで叩くわけね。
『ガン』
計測器を叩くと、奥にある透明の管の下から玉が上昇する。30と書いてあるところまで上がった、一位には届かなかったな。魔法使いならこんなもんか。次はメディスの出番だ。
『ドガン』
玉が70まで上昇した。お、一位だな。
「おーっとぉ! ここへきてお嬢ちゃんが一位を取った!! 彼氏さんどころか私たちも守ってもらわなくては!!」
盛り上がる会場。メディスは素早さ重視の格闘スタイルだけどそこは近接クラス。かなりの力だ。さて、真打サシュウの登場か。
『ガゴーンズガン』
玉が勢いよく上昇し、一番上のストッパーに勢いよく当たる。そうなるよな。うちじゃ一番レベルが高いし。
「す、すごーーい!! お前が一番だよ! サシュウ!!」
まだ何人か残っているが、うちの子が一番なのは同意だ。その後3人チャレンジした後に女性がハンマーを持つ。
『バギャーーン』
「へぇっ??」
玉はストッパーを突き抜けて外へ飛び出る。進行役が間の抜けた声で放心していた。静まり返る会場。ナニコレ。
「出、出たーー!! 記録も玉も出た!! 競技続行は不可能ですが間違いなく優勝は、アサイアさんだー!!!」
「うおーー!!!」
意識を取り戻し、会場を沸かせる進行役。あの状態から盛り上げるとはプロだな。一位を取れなかったのは残念だが楽しかった。
アサイアさんに賞金を渡し拍手喝采の中、力自慢大会は終了した。
サシュウ以上の力か、仲間に欲しいな。歳は20くらい、グラマーではあるが力があるようには見えない。サシュウも力があるようには見えないけど。よし、ここは積極的に誘ってみるか。
大会が終了しアサイアさんが帰ろうとしたところを呼び止めた。
「こめんね、ちょっといいかな? アサイアさん」
「ん? 君は、ああ君達は先ほどの大会の」
二人を見て頷くアサイア。サシュウが二位、メディスが三位。表彰台で一緒に立っていた。
「もしよかったら、冒険者ならパーティを組んでもらいたいんだけど、どうかな?」
「ハハハ、すまない。すでにパーティを組んでいるんだ。また機会があったら頼むよ」
「そうか、その時はお願いする」
ん~、残念。仕方ないな、これもご縁だ。
「アサイアさん、力持ちだったね。セクシーだし、グラマーだし」
「だ、大丈夫ですよ! レオンさんには私達がいますから!」
ふふ、勧誘に失敗した俺を慰めてくれているんだな。やっぱりうちの子達が一番だ。夕食代わりに出店で買い食いをしながら、お腹を満たした俺たちは、宿へ帰って眠った。
祭り前日。明日に備え準備を済ませ、ギルドで仲良くなった冒険者達から様々な情報を仕入れていると、ガタイのいい冒険者達のさらに二回りは大きい大男が、空いている席を探している。
後ろにはもう一人短剣を腰に差した女性が歩いていた。
「ありゃあ魔法百段ルドラだ……。なぜこんなところに」
冒険者の話によると、王直属の部下で、様々な問題の解決にあたっているらしい。
「街中盛り上がってんな! やっぱ祭りはいいぜ!!」
「ルドラさんどんちゃん騒ぎ好きだよね」
俺たちの向かい側の席が空いていたためそこへ座った。
「おう兄ちゃん! ぱーっとやってっか!」
「ハハハ、こういう雰囲気は好きですよ」
笑顔で返す。隣の冒険者たちは委縮してしまっているようだ。王直属ならえらいんだろうしな。そうもなるだろう。しかもデカイ。俺も脚がカタカタと震えている。
「最近忙しかったからな。ようやく暇をもらったし俺ははじけるぜ!」
「いつもはじけてるじゃないですか」
その後は冒険者たちも打ち解け、酒盛りが始まり、笑い声がギルド内に響く。中には歌を歌いだす者もいた。
「ダーッハッハ、最高だ!! もっと酒もってこい!!」
さて、俺たちは明日に備えて帰るとしよう。明日二日酔いで動けなかったらマズイからな。
「それじゃあ、俺たちは帰りますね」
「おう! またな!」
外からでも聞こえるどんちゃん騒ぎを聞きクスリと笑った俺は、宿へと帰った。そして翌日。
「おはよう。今日は忙しくなりそうね」
「だな」
ついに迎えたお祭り当日。零獣があらわれる場所は三か所。いつ暴走するかはわからない。俺たちは一回でも戦えばワビ石から戦えるから、がっついてドロップアイテムを狙わなくとも大丈夫。
ただし、何も攻撃しなかった場合は戦闘不参加となり、レイドが表示されない可能性があることを考慮して、遠距離攻撃をそれぞれ準備した。
現場には、観光客、酒盛りを始めた冒険者等多数いる。出店がこちらにもあった。零獣狙いの冒険者は――
かなりいるな。これだとハズレを引いて他の場所へ向かったとしても倒されてしまって間に合わないか。一応試すが。
いつでも戦える状態で待っていると、西側に巨大な零獣が姿をあらわす。
「ハズレね」
「一応向かってみるか」
走って駆け付けたが、たどり着く前に零獣は倒された。倒されたとき歓声が巻き起こる。今日は諦めるか。
それから三日後、霊獣が目の前にあらわれた。
「今度こそ!」
俺たちは遠距離攻撃を仕掛ける。
「それっ!」
「カン」
それが何とか当たった。ほどなくして倒される零獣。
『やられちゃったー! また明日ね!』
そう言って黄金鳥は森へ帰っていく。彼もまたお祭り気分なのだろう。
人目のつかないところでワビ石から確認したところここのレイドが表示されている。ふぅ、目的は達成だな。
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