7.セリシールは身分証の大切さを知る
この後、どうしようかな…
「ところで嬢ちゃん。この後どうするんだ?」
「どうするとは?」
「いや、もうそろそろ夕方が近いんでな…嬢ちゃん身分証持ってるか?」
「持ってないです…」
そもそも、神だったからいらなかったし
「身分証持ってないと、街に入るのにかなり金がかかるんだが…金持ってるか?」
「いくらぐらいですか?」
「銀貨5枚だ。ちなみに身分証を持ってると、銅貨5枚だ」
銀貨は今もってないな~これで、足りるかな?
私は、ポーチから硬貨を出した
「これで、通れますか?」
私が門番さんに硬貨を渡すと
「これは、金貨じゃないか。お嬢ちゃん、どっかの貴族様か?」
「いえ違いますよ」
しまった金銭感覚が分からないけど金貨は持ってると不味いのかな?
「金貨って貴族しか持ってないんですか?」
私が門番さんに聞くと
「そうだな。だいたい、金貨を使うのは貴族様だけで俺ら市民は使っても小金貨までだな」
「そうなんですか…私この収納袋《アイテムバック》の中にかなりの量の金貨が入ってるんですけど」
「それは、隠した方がいいと思うぞ。それは、親の遺産かなにかか?」
そういうことにしておいた方がいいかな?
「はいそうです。それで、私は街に入れますか?」
「あぁ、良いぞちょっと待っってな。今、お釣り取ってくるわ」
門番さんが、部屋を出て行って、私がスライムちゃんと遊んでいると
「お釣り持ってきたぞ…ってなんでスライムが浮いてるんだ?」
門番さんが驚いて、トレーからお金を落としそうになった
「これですか、これは魔力で浮かしてるだけですよ」
「魔力で物体を浮かせるって相当高度な技術だと思うんだけどな」
「できるかな~と思って使ったので、どんな魔法か分からないんです」
「スキルを見たことないのか?」
「ないですね」
何せ、元神なので。でもその時の経験も人間になった時にリセットされてるのかな?
「取り敢えず、これがお釣りだ。小金貨9枚と銀貨5枚だ」
「ありがとうございます」
トレーの上には金貨より一回り小さい金貨と金貨ぐらいのサイズの銀色の硬貨が乗っていた。私がお釣りをポーチの中に入れていると
「お嬢ちゃんは、今晩の泊まるところはどうするんだ?」
「宿に泊まるつもりですけど…スライムちゃんも一緒に泊まれますかね?」
「従魔が泊まれる宿はあるが、身分証がないとほとんどの宿で止まれないぞ」
「そんな~何とかなりませんか?」
「冒険者ギルドに行けば作れると思うが…」
「なら、今からつくれば……」
「いや、小一時間かかるから無理なんだ」
「どうすればいいんですか?」
「そこでだ、俺からの提案なんだけどな」
「なんですか?」
「俺の家族がやってる宿に来ないか?ちょうど俺が門番の交代の時間だからな」
「門番さん、ありがとうございます。やったー。これで、野宿しなくて済む」
ポヨンポヨポヨポヨンポヨ
私が喜びをスライムちゃんを抱きしめることで表していると、ベルがリーンと音を立てた
「交代のやつかな?」
そう言って門番さんが扉を開けると
「お父さん、今日はお客さんいる?」
「イリスか、今日はお客がいるぞ。中に一回入れ」
「はーい」
門番さんと一緒に入って来たのは、私より少し年下ぐらいの女の子だ
「この人がお客さん?」
「そうだ。お嬢ちゃん名前なんだっけ?」
「そう言えば、名乗ってなかった。私はセリシールです」
「俺はラモーでこいつは俺の娘のイリスだ」
「こんにちは。そのスライム可愛いですね」
ポヨ?
「触ってもいい?」
ポヨン
スライムちゃんはテーブルの上をイリスちゃんの方に跳ねて移動して行った。そして、イリスちゃんがスライムちゃんに触ると
「プルプルしてて気持ちい」
ポヨン♪
スライムちゃんが気持ち良さそうな動きをした
「それで、私はセリシールさんを連れていけばいいの?」
「あぁ、頼んだぞ」
「はーい。じゃあ、セリシールさん行きましょう」
「わかりました。スライムちゃん行くよ」
ポヨ~ン
スライムちゃんが私の腕の中に入ってきた。門番さんにお礼を行ったあと、イリスちゃんについて行って街の中に足を踏み入れた
次回の投稿は1/20 16時です
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