異世界はゲームでゲームは異世界
すいません。予定の1500~2000文字を越えてしまいました。
次からは宣言通り、書いていきます。
職業『無人』
ステータス無し
スキル無し
所持品無し
「クソゲーライフかよ。」
伊波は椅子に座り、背もたれに、思いっきりよしかかり、
カードで色々な事試していた。
この世界を知る為に。
羅渡伊波は、ついさっきまで地球にいるただの高校生だった。
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回想
はぁー、疲れた。
部活、やめようかな。
正直、これ以上、上手くなる気がしない。
かといって、途中でやめると先生や親から止められるからなー、めんどくさいな。
始めから、部活なんてやらなきゃ良かった。
今は、真っ直ぐ帰る帰宅部さん達が、羨ましい。
俺も真っ直ぐ帰りたい。
そんな事を考えて、やる気ない顔し、ポケットに手を入れ、足をだらだらさせて歩いている伊波に急すぎる出来事が、あと五秒後
この前だって、遊びに誘われたのに
「ごめん、部活だからまた今度。」って作り笑顔をして言って断ちゃったし、
いや、まぁ部活ない日でも、言ってる時あるけどね。
あと二秒後
なんか、生きづらいなー。ラノベやアニメみたくどこか別の世界に、このまま、異世界転......。
あと零秒後
あれ、
ここは、
どこ。
って、まさかこれって、異世界...転移?
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異世界転移した伊波は棒立ちしていた。
鞄や携帯が消えている。伊波の持ち物は全て消えていた。
床も壁も石の場所にいた。
まわりに伊波以外の人間もいた。
それは、冒険者ではなく、同じく地球の人間だとわかる。
理由は簡単、まず武器を持ってる人がいない。
この時点で冒険者ではない。
さらに、みんな日本語を話しているし、日本の学生服やスーツを着てる人など、どうみても日本人だった。
(あの慌てぶりは、俺と同じようにここに来た人か?)
伊波が状況を整理していた時だった。
「ごめんね、急に異世界転移させちゃって、けど別にいいね? だって君達が、異世界転移を望んだから。」
伊波達の目の前に現れたのは、紛れもない、ただ兎だった。
そう、ただの喋る兎だった。
急に現れた兎に、伊波達は驚いた。
驚いただけなく、中には、「可愛い~」と言う人もいた。
「俺はそんな事、望んでない! 妻と娘が待っているんだ! 元の場所に戻してくれ!」
急にスーツを着た30代男性が兎に強くそう言った。
その言葉に乗り、他の人たちも「そうだ!」「家に帰させて!」などと男性と同じ意見を言う。
こんな状況でも伊波は冷静だった。
(なんだあの兎、いや、それよりどうして俺等を転移させた。
ただ適当に人を選んだ訳ではないだろう。
物事には、必ず意味があるはずだ。)
そんな答えは、すぐにわかった。
「なにを言ってるんだい? 言ったじゃないか? 自分の言葉を忘れたのかい? じゃあ思い出させてあげるよ」
兎は可愛らしい声でそう言った。
すると、男性が急に顔を青く。同じ意見を言っていた人達も。
「ね、言ったでしょ?」
「.........!!」
(なんだ今の! いや、わかっている。
どうせ、俺みたく自分の軽はずみの発言を思い出させたんだろう
つまり、あいつは、嘘はついてない。)
男性は悔しそうな顔をした。
「大丈夫ちゃんと帰る方法はあるよ。方法は簡単さ。
人を殺せばいい。10000人ね。」
誰もが、驚いた。
さすがの伊波も、驚いた...なんて事はなかった。
(人殺し、よくあるデスゲーム設定か。
しかも10000人か)
「さて、僕の役目はもう終わり。さぁゲームスター...。
おっと僕としたことが忘れてた。カードを配るね。」
一人ずつ、目の前に白い光が現れた。
その光が一斉に強く発光する。
突然、人によって色が違うカードが現れた。
「そのカードは君たちの分身と思っていい。そのカードには名前が書いてあり、書いてある名前の人の事なら念じればなんでもわかるよ。例えば体重と考えたら、その人体重がわかる。」
その瞬間、誰もがカードを大切しようと考えた。
このカードが他人に盗られたら、個人情報が盗られるのと一緒だからだ。
だが、伊波は違うことを考えた。
(なんで人によって色が違う? 同じ色同士の人もいるな。
それに、なんで俺だけ、鏡なんだ。)
伊波は自分のカードだけが特別だと思い、とっさにズボンのポケットに隠した。
そう、伊波のカードは正しく、鏡だった。
「さて、今度こそ僕の役割は終わり。さぁゲームスタート!」
兔がそう言って光に包まれ、パッと兎は消えた。
すると次々に人が消えていく。
最後の一人になった伊波も消えた。
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伊波は異世界の大都市にいた。
そして、また状況を整理するため、カードで色々試していた。
「はぁー、なんだこれ。異世界=RPGだと予想して、職業を見てみたら......『無人』ってなんだよ。しかも、ステータス無しってなんだよ?」
兎の言う通り、念じれば俺の事なら何でもわかった。
例えば、好きな食べ物、好きな色はもちろん
性格、好きな人、今やっていることなど、本当になんでもわかった。
そして伊波は兎の『ゲームスタート』と言った言葉を信じてこの世界は異世界であり、ゲームであることがわかった。
(つまりこの世界には魔王もいるし、世界を管理してるやつもいるってことだ。)
「憂鬱では、無いけどめんどくさい異世界に来たようだな」
しかし、伊波のその言葉は嘘だった。
新しい世界、新しい人生が始まるワクワクしている。
そして、自分だけ色の無いカード。
それは、自分が特別な存在だということ。
それが、一番の理由だろう。
伊波は、異世界に来た時点で憂鬱では無くなるとわかっていたが、自分が主人公になれるような、特別な存在では無いと感じていた。
理由は二つ。
一つは、主人公と呼べるイケメンでスタイルも格好いい高校生がいたこと。
もう一つは、引きこもりで見るからに暗い、逆に主人公みたいな高校生がいたことだった。
しかし、伊波に鏡のカードが手に入ったとき、
伊波は自分が選ばれた存在だと思った。
「さぁ次は何するか、とりあえず殺されないように強くなるか!
よしまずは、武器を手に入れる!」
これが、伊波の冒険の始まり、
デスゲームの始まりだった。
そして伊波はまだ知らない。
『無人』がたった一人しかいない特別な職業だということを。
唯一、『時空人』になれる特別な職業だと。
『無人』の読み方は、『むじん』です。
次回更新は、8月5日です。
次は2000~3000文字程度です。