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カラクレム  作者: Arpad
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2部 序章 プリシーバ

 グリーバの掃討から2週間、ハルハントの騎士であるアンリヌイ卿エノゥは、プリシーバという名の都市に居た。

 プリシーバはハルハントから遥か南、ユクワーと呼ばれる海の民の領域に位置し、彼らの首邑として機能している。

 何故、エノゥがプリシーバに居るのか。理由は簡単、休暇中なのである。

 騎士長ラグトゥにグリーバ掃討の報告を済ませた後、エノゥが最初に願い出たのが、休暇であった。これまでならば、すぐにでも前線送りを願い出ていたのだが、不思議な出会いを経て、心境に変化が生じたようである。

 ラグトゥは即座に半月に及ぶ休暇を許可し、彼の奨めと本人の意思が合致により、プリシーバが休暇先に決まったのだ。

 紺碧の海を臨みながら、豊かな海産物に舌鼓を打ち、美小女、美女、美熟女?を侍らせた初日。しかし、エノゥは満たされていなかった。

 ハルハントの騎士専用の別荘から、水平線に沈み行く太陽をぼんやりと眺め、エノゥは独り、悩ましげな吐息を漏らした。

「ふぅ・・・・・・暇だな」

 ラグトゥの計らいだという歓待に、当初は胸躍らせていたものの、それもすぐに飽きてしまった。

「ファウちゃんが居たらな~」

 やはり、お気に入りの娘が傍らに居なければ始まらない。割りと一途なのだと、彼女は自負している。今日一日ファウが居たら、という妄想が捗って仕方がない。

「あぁ・・・そうなるとお兄さんも必要か」

 エノゥは、性質がねじ曲がってはいるが、馬鹿ではない。自分がエノゥに距離を置かれている事には気付いているし、カラクレムの存在無くして彼女を楽しませる事が出来ないであろうことも承知している。

「おのれ、お兄さんめ・・・」

 思い起こせば、カラクレムには辛酸を舐めさせられてばかりである。

 ファウのハートを握られているし、手心を加えていたとはいえ勝負にも負けた。そして何より、性根を少し変えられてしまった。そのせいで、心に余裕が出てしまい、頑張り続けることが出来なくなってしまったのだ。いつか意趣返しをしてやろうと心に誓う。

 それにしても、我ながら男に関心を持つ日がくるとは、思いもよらなかった。とはいえ、カラクレムは厳密には別種なので、異性として見ているわけではない。例えるなら、愛しい女性の飼い犬という認識だろうか。彼と親交を深めれば、必然的にファウとの距離も縮まるというものである。

 いっそのこと、二人を適当な理由で呼んでしまおうかと思案していたその時、部屋の扉がノックされた。

「アンリヌイ卿、書簡が届いております」

「は~い、今行くよ~」

 エノゥはベランダから室内へ戻り、扉を押し開けた。扉の先には、身の回りの世話をしてくれる女性給仕の姿があった。お察しの通り、その正体はプリシーバ駐在の従士である。

「こちらです」

 給仕が手渡してきたのは、知識人達が愛用している巻物形式の書簡だった。

「ありがとね、ご苦労様」

 書簡を受け取り、給仕を見送ってから、エノゥは内容を確認した。

「明日の正午、院に来られたし・・・かぁ」

 書いてあったのはそれだけ、後はこれ自体が入館証となるようだ。

 今回、エノゥがこのプリシーバを休暇先に選んだのは、何も海が観たかったからではない。魔法の深淵を覗く者たるユクワーの、全ての知識が集まる場所、『院』に用があったのだ。そして明日、院の責任者である大老との謁見が許された。これでようやく、暇は解消されることだろう。

「さてと・・・そうと決まれば、さっさと寝ちゃおうかな」

 エノゥは、纏っていたサマードレスをスルリと脱ぎ捨てると、寝間着に着替え、寝台へと飛び込んだ。



 翌朝、日の出と共にエノゥは目を覚ました。明るさというよりも、街の活気に起こされたのだ。

 狩漁民族であるユクワーの朝は早い。夜半過ぎ、月明かりを頼りに漁へ出掛け、夜が明ける寸前に帰ってくるのだそうだ。そして、日の出と共に市が開かれるので、現時刻のプリシーバは一日で最も活気に満ち溢れている。

 実のところ、朝が滅法弱いエノゥとしてはもう少し寝ていたいのだが、朝のプリシーバを堪能するには起きるしかない。

「ぼへ~」

 やや寝惚けながらも、身支度を済ませていく。サマードレスといい、寝間着といい、ユクワーというのは布を纏っただけのような服装を好むようだ。この地域が他と比べて暑いせいなのだろうが、ハルハントのパリッとした服装に慣れている身としては未だ落ち着かない。とはいえ、やはり地域に根差した服装の方が快適なので、エノゥはユクワーの服を採用していた。

 1階へ降りると、給仕がエノゥに気付き、頭を垂れた。

「おはようございます、アンリヌイ卿」

「うん、おはよう。ちょっと市を見てくるね」

「畏まりました。朝食は如何致しましょう?」

「う~ん・・・せっかくだから、食べ歩きたいけど・・・もしかして、買い出しに行ってたりする?」

「はい、良い魚をご提供すべく、夜明け前より出ております」

「そっかぁ・・・それじゃあ、買ってきてくれる魚で美味しい昼食を頼もうかな? 正午に約束があるから、早めに用意しておいてくれるかな?」

「畏まりました」

「よろしくね~」

 エノゥは給仕に手を振りながら、別荘を後にした。

 別荘が在るのは、プリシーバの北地区。北地区は他所の人間に開放された地区であり、ある意味ハルハントの領域と言っても過言ではない。目的の市は、南地区の漁港で開かれているようだ。ちなみに、西地区には行政府や院などの重要機関が集まり、東地区は市民の住宅街となっている。

 街の構造も独特で、北から南地区へは緩やかな坂になっている一方で、東西の地区はわざわざ平地に整えられている。なんでも、水捌けを良くする為だとか、雨が良く降る地域なので死活問題らしい。だからと言って、家屋も斜めというわけでは無いので、住む予定の方はご安心を。

 坂を下って行くと、まるで踊り場のように平坦な道が、一旦差し込まれる。これが、東西地区を繋ぐ通りなのだ。

 再び坂を下って行くと、潮の香りと共に、何やら芳ばしい香りが鼻をくすぐり始める。これは市の出店から漂ってくる香りだろうか。ユクワーは魚醤と木犀油、それと辛子とニンニク等を多用する。主に漂ってくるのは、焦げた魚醤の香りなのだ。

 ハルハントには肉醤はあれど、魚醤はあまり入ってこない。あの独特な風味で生は未だ苦手だが、焦げた香りは何故だか胃袋を刺激する。エノゥは自然と、香りを遡り始めていた。そう、お腹が空いてきたのだ。

 香りの源では、焼き貝が売られていた。藁帽子を被ったおっちゃんが、白く綺麗な二枚貝を直火に掛け、肉厚な身に大雑把な魔法を掛けていく。

 魔法と言っても、要は味付け。ユクワー好みの四大調味料を惜し気も無く使用していく。朝っぱらからニンニクを効かせてくるとは、背徳の極みである。

「おじさん、一つ頂戴な?」

「はいよ、銀一粒! ん? 見たことねぇ嬢ちゃんだが、綺麗な面してんなぁ。よし、一個おまけしてやろう」

「あはは、ありがとね~」

 男に綺麗と言われても、欠片も嬉しくない。だが、おまけは頂いておく。エノゥがお代を渡すと、焼き貝2枚と木串が入った木皮製の容器を手渡された。

「熱いから気を付けな!」

「了解、了解~」

 容器を受け取り、エノゥは出店から立ち去ろうとしたのだが、店のおっちゃんに呼び止められた。

「おいおい、食べてかないのかい?」

「え? ああ・・・そうだね」

 そう、おっちゃんも立派な表現者なのだ。客の感想が聞きたくて堪らないのだろう。

 エノゥは貝を一つ開くと、魔法による鎌鼬で貝の身を四等分に裁断し、その一つを串で刺し、口へと運んだ。

「う~ん・・・熱い!」

「ははっ、そう言ったろ?」

「うん、美味しいよ! やっぱり、この背徳的な味付けが最高だね~」

「お、おう? まあ、何にしても、良い食いっぷりだ! もう一個やろう!」

「わ~い」

 それにしても、こんなにおまけしてしまって採算が合う訳がないのだが、大丈夫なのだろうか。ユクワーは、この暑さによって色々な事が大雑把になってしまう性質らしいが、心配になる気っ風の良さである。だが、おまけは頂いておく。

「お礼におじさんの店、宣伝しておくね~」

「おう、頼んだぜ!」

 今度こそ、エノゥは出店を後にし、プリシーバで最も低い場所、漁港へと足を運んだ。

 港には、漁船がずらりと並び、その船の前で競りが行なわれている。この都市一番の名物所ではあるが、特に興味は無いので足早に通り過ぎた。

 それから、手頃な木陰を探し当てるなり、腰を降ろして、冷めないうちに朝食を頂くことにした。

 肉厚な貝の身を必死に咀嚼しながら、周囲の様子に目を配る。日が昇って間もないというのに、本当に多くの人が闊歩している。大半は買い出しに大わらわ、時たま子ども達が笑い合いながら走り去っていく。エノゥの様に、一休みしている者は見当たらない。

 ユクワーにとって、朝こそが正念場なのだ。正午を過ぎれば、ほとんどの人が昼寝に入り、市街は嘘みたいに静かになる。暑さが本格化しないうちに動き、本格化したら休むという昔からの知恵らしい。

 しばし、食事を楽しみながら、人々をぼんやり観察していると、気になるものを見つけた。桟橋の方で、可愛らしい少女が悪漢に絡まれていたのだ。

「これは、見過ごせないねぇ」

 エノゥは意気揚々と、少女の元へと馳せ参じた。

「何をしているのかな、君たちは!」

 エノゥ渾身の一喝に、悪漢らは浮き足だった。

「うわっ、誰だよお前!? あっち行きやがれ!」

「脅かすんじゃねぇ、馬鹿野郎!」

「そして、邪魔をするんじゃあねぇ!」

 悪漢らの囀りのような恫喝を、エノゥは鼻で笑った。

「単刀直入に言いましょう、その子を離しなさい。離さなければ・・・」

 エノゥは、スッと中身を食べ終えた貝を取り出すと、それを片手で軽々と粉砕してみせた。

「大事なもの、失うよ?」

 エノゥの不敵な笑みに、悪漢らは胆を冷やした。

「嘘だろ・・・コノー貝を砕きやがった」

「ありゃあ、銛も通さねぇってのによぅ・・・」

「大事なもの・・・」

 悪漢らは、悲鳴を上げながら走り去っていった。俺たちは悪くない、いつの間にか船に居た、得体が知れない等とも叫んでいたが、もはやエノゥの耳には届かない。エノゥの意識は、目の前の少女に集中している。

「君、大丈夫かい?」

 エノゥが問い掛けると、少女は小さく頷いた。

「この辺の娘なの?」

 少女はまた、小さく頷いた。言葉を発してくれないので幼く思えてしまうが、年の頃はファウと同じくらいである。エノゥは照れていると判断した。

「怖がらなくても大丈夫だよ、私は・・・」

 いつもなら、このまま口説きに掛かるのだが、この時エノゥの脳裏に一抹の不安が過った。ニンニク食べたけど、大丈夫だろうか。

「ちょっと、ごめんね・・・」

 一旦後ろを向いて、口臭を確認する。だが、いかんせん本人では判らない。悩んだ挙げ句、少女に残った貝を食べさせ、同じ穴のなんとやらにしてしまえば良いという曲解を導き出した。

「突然だけど、この貝を・・・」

 意を決して振り返ると、そこに少女の姿は無かった。流石に怪しまれて、逃げてしまったのだろう。エノゥは肩を落とし、来た道をトボトボと引き返し始めた。

 そこで、はたと気づく。少女はどこへ消えたのだろうか。桟橋から街へ逃げるなら、エノゥの視界に必ず入るはずである。

 再度振り返るが、桟橋には船が停泊しているものの、足場が外されているので、その中に逃げ込んだとは思えない。

「じゃあ、どこに・・・?」

 桟橋の先には、紺碧の海しか無い。エノゥは首を傾げながら、その場を後にした。



 街を一通り観て回ったエノゥは、正午前に別荘へと帰還した。ハルハントの正装たる騎士装束に着替え、昼食を頂く。メニューはユクワー風魚の水煮と林檎の果実酒であった。これにもニンニクが効いている。もはや、ユクワーというのはニンニク臭さとか気にしないのだろうか。給仕に聞いてみると、その為の林檎酒だと言う。ユクワーの料理に林檎酒は欠かせない物なのだとか。

 それを聞いたエノゥは、林檎酒を二杯飲み干し、念入りに歯を磨いてから、書簡を携え、院へと赴いた。

 プリシーバの西地区、行政府よりも大きく、3つの尖塔を有する手の込んだ造りの建物が院である。

 ハルハントが手を結んでいるのは、ユクワー全体というよりも院とである。日保ちのしない海産物ではなく、魔法技術を提供したのが始まりだった。

 院で魔法の深淵に至った初代騎士長は、このプリシーバを参考にハルハント城塞を築いた。城塞が白亜なのは、プリシーバの建築物を参考にしたからで、実は白亜が竜種の目を引くという効果は後々判明した事なのである。

 院の扉を叩くと、ユクワー風の肩掛け衣装に、肩口を覆う程度の外套を羽織った姿の男が現れた。

 男に書簡を見せると、小さく頷き、建物の中へ入れてくれた。院はそれほど複雑な造りをしていない。入ってすぐの広い空間は図書館となっており、そこから3つの部屋に繋がっている。今回は図書館を突っ切り、指導者級の研究室を抜け、尖塔を登った先にある大老の部屋へと通された。中は大変に散らかっている。

「失礼します。アンリヌイ卿エノゥ、ただいま参上致しました」

 院の大老エピは、本の山から顔を出すと寝癖を直しながら歩み寄ってきた。

「これは失敬。書簡を出したというのに研究に熱中してしまうとは、歳は取りたくないものだ・・・はて、昔からそうだったか?」

「それは判りかねますが・・・御忙しい中、お時間を頂き、畏れ入ります」

「うむ・・・ラグトゥの部下は礼儀正しくて大変に好ましい。我々ユクワーというのは、粗雑な者が多くてな。この前もうちの資料を・・・」

「今回は御指導頂けるということで、よろしいですか?」

「ん? ああ、もちろんだとも。早速だが、全力の身体強化を見せておくれ」

 エノゥは言われるがまま、身体強化の魔法を発動させた。

「そして、儂を殴ってみなさい。手加減は不要だぞ?」

「え、ええ・・・本気ですか?」

「うむ」

「それじゃあ・・・殴ります」

 エノゥはあえて、初期動作無く拳を繰り出した。院の大老ならば、このくらい何てことないだろうと判断したのだ。そしてそれは、正しかった。大老はエノゥ以上の細腕で、彼女の渾身の一撃を易々と受け止めてみせたのだ。

「うむ・・・筋は良いが、まだまだ小自我の領域か」

「小自我、とは?」

「うむ、魔法には段階があってな。我々はそれを下から、小自我、大自我、強自我と呼称している。小自我は魔法の基礎、他の物質を他の形に変換している段階である」

「つまり、~になれ、と命令しているのと同じだと?」

「ほう、物分かりもよいな。お主は中々の鍛練を積んできたようだからな、もう大自我の領域に足を踏み入れても良いだろう」

「その、大自我とは?」

「大自我とは、己を騙し、この物質は元からこの形であったと思い込む境地なり。魔法というのは、思い込みに左右されるものなのだ」

「えっと、つまり・・・これまでは無理矢理形を変えてきたけど、例えば水は元から球体で宙に浮いているものだったと思い込めば良いと?」

「その通りだ。常識を歪めているという遠慮さえ無くなれば、魔法はより強度を増し、強大な力を発揮する」

「ほぇ・・・ちなみに、強自我というのは?」

「強自我について教えるには、少し早いが・・・触りだけ教えておこう。強自我こそ、魔法の深淵。世界を塗り替える程の思い込み。こうあるべきという独りよがりで物質を変幻自在に操る境地。ラグトゥはもちろん、歴代の騎士長が到達してきた領域よ」

「世界を塗り替える程の思い込み・・・なるほど、勉強になりました」

「うむ、今日からは大自我の考えで魔法を操ると良い。鍛練を積めば、強自我に至るも夢想では無いやもしれぬぞ?」

「ありがとうございます・・・それと、お聞きしたい事柄がいくつか?」

「うむ、何だね?」

「仮に・・・魔法を打ち消す盾があったとしたら、それはどの様な仕組みなのでしょうか?」

「ん? 奇妙な事を言うな? そうだな・・・魔法を打ち消す事が出来るというのは、それは強固な概念固定なのだろう」

「概念固定とは?」

「我々の魔法は、神の定めた法則を破る、言うなればズルなのだ。概念固定とはつまり、法則を守るというお叱りというわけだな」

「神の定めた法則・・・」

 エノゥは神妙な面持ちで、少し前の事を思い起こす。あの時、カラクレムは神に会った等と言っていたが、あながち嘘ではないのかもしれない。

「それと、もうひとつ。魔法で傷を癒したり、他者に身体強化を掛けることは出来ますか?」

「むぅ・・・傷を癒すという所業は強自我に至った者ならば可能だろう。だが、己の傷のみだろう。他者からの魔法は自然と弾かれてしまうからな」

「つまり、魔法を持つ限り、それはあり得ないと?」

「その通りだ」

 エノゥは、あの洞窟での決戦を思い出していた。あの時、カラクレムは致命傷を負っていたはずだった。なのに、次の瞬間には立ち上がり、あまつさえグリーバの首魁をバラバラに切り刻んでみせたのだ。

 大老の話を聞き、仮説が立てられた。あの時、誰かがカラクレムを癒し、身体強化をも施したのだ。最初はカラクレムに特異な力でもあるのかと勘繰っていたが、彼を救ったのは、おそらくファウだ。つまり、ファウは強自我の領域に足を踏み入れているとでも言うのか。

「くだらない問いに答えて頂き、ありがとうございます」

「いや、無意味とはいえ、考えた事は素晴らしいぞ」

「畏れ入ります・・・では、私はこの辺で失礼致します」

「うむ・・・暇があれば、また訪ねてくると良い。それと、ラグトゥから伝言を預かっている」

「え? 騎士長から?」

「コソコソしないで、次からはちゃんと申し出ろ。奴に内緒で会おうとしたようだが、お見通しのようだな?」

「あはは・・・流石」

 エノゥが動揺していたその時、扉を叩く音が部屋に響いた。

「何だね? 客人がおるのだが?」

「その、自警団からその御客人に取り次ぐようにと申請が・・・」

「何?」

 エノゥには、少し思い当たる節があった。

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