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掌編小説集8 (351話~400話)

祖父と孫

作者: 蹴沢缶九郎

正月休みを利用して、両親に連れられ孫娘は祖父の家に遊びに来ていた。こたつに入りテレビを観ていた祖父に、孫娘が言った。


「ねえお祖父ちゃん、肩揉んであげようか」


「ん、急にどうしたんだい? 肩は凝っていないから大丈夫だよ。ありがとうね」


孫娘の申し出に、祖父はにこりと笑い答えた。ならばと、孫娘は続ける。


「じゃあ、お祖父ちゃんのお部屋お掃除してあげる」


「ううん、この間したばかりだから、お掃除も大丈夫だよ」


「じゃあじゃあ、お買い物に行ってきましょうか」


「それも大丈夫だよ、どうもありがとう」


「…そう」


祖父は孫娘の申し出を断ると、こたつの上のみかんをひょいと口に放り、テレビに視線を戻した。孫娘はそれ以上何かを言う事はなかった。

結局、お年玉を貰えなかった孫娘が、正月以降に祖父の家を訪れる事は二度となく、孫以上にお金の大事な祖父にとっては、そんな事はどうでもいい事だった。

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