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厄介な誘い

ちょっと長くなりました。

 セフィーとルシーナの方へ近づいてきた男は二人のいる席の手前の女子生徒に声をかけ始めた。

ルシーナの陰で男の様子を伺っていたセフィーは男が自分たちの方へ視線が向いていないのを確認すると安心したようにルシーナの服から手を離す。

ルシーナはセフィーが警戒のまなざしで見つめていた先を確認し納得した。

男は女子生徒と話しながらもその視線は胸や足下、腹部や腰などを何度も行き来していた。

ただ単に女の値踏みをしているかのようなその行動には訳があった。


魔術者や魔術を学んでいるもの体にはある特徴がある。

術者として能力が上がり実力がつくにつれて体も成長していく。

女ならば胸が大きくなり顔や表情に魔術者独特の怪しさを帯びてくる。

また大量の魔力を使う魔法を使うことが多くなることで体への付加が増え無駄な肉が落ちていく。

最終的に体も力も成熟しきった女の魔術者は綺麗な女になるが同時に近寄りがたい怪しさを醸し出す。

このように魔術を扱う者は外見である程度の実力の判断ができる。

男はそれを利用して能力の高い生徒を仲間にするべく行動していたのだ。


しかし男の思い描くような生徒はそう簡単におらずましてや年齢、能力ともにこれから成長していく者たちの中でその方法で見ている方がおかしかった。


実際に先ほどからずっと話している女子生徒の顔も表情も幼く、体型もまだ子供に近かった。


一方セフィーとルシーナは男に気づかれない用に食堂を出て行こうとしていた。

彼女たちは学園内で広く名を知られるほどの実力の持ち主で人気も高かった。


背はあまり高くないが四肢はすらりとしており、胸も同じ年頃の娘たちより幾分大きく、明るめで色の薄い茶色の髪、対照的な空色の瞳でかなり整っていながらどこか幼さを残す容姿のセフィーは年下、年上関係なく男子生徒に好意を抱かれている。


セフィーより若干背が高く、四肢は同じように細いのに胸は同い年の娘たちと比べるとかなり大きい。褐色の肌をしており、整った顔立ちと腰まで届く金髪、切れ長碧眼の瞳はどこか怪しさを醸し出しており、ルシーナは男女問わず好意を抱かれていた。


そんな二人が男の目に止まるのは誰が見ても時間の問題でセフィーとルシーナは声をかけられる前にこの場から離れる算段をしていた。

「ルシーナ気づかれてない今のうちに早く申請所に行こうよ」

「そうねいつ気づかれてもおかしくないものね」

前にも何度か同じよう場面に出くわし面倒なことにまきこまれた経験を持つ二人ならではの判断だった。

「いい加減にしてください。私より他にもっと綺麗な人はいるでしょ」

二人がいすから腰を上げようとしたとき、男の方から突然の女子生徒の怒気をはらんだ叫び声が聞こえた。

二人は声のする方を見る。

相変わらず男が誘っているのだが、誘われている女子生徒は明らかに拒否の意志を示していた。

なおも食い下がろうとする男に女子生徒は同じ言葉をはき続ける。

誘いに乗る気はない。他を当たってくれと。

「それなら君より優れている術者がこの食堂にいるとでも言うのかい」

男のその言葉に女子生徒は言葉に詰まる。適当に誰かを指名すれば楽なのだろうが、その人物が本当に指名した自分より優れているのかは解らない。

「それは、、、、、、」

困ったようにあたりを見渡す女子生徒。

その様子を勝ち誇った表情で見つめる男。

「あっ」

「「、、、、、、」」

セフィーとルシーナは女子生徒と目があってしまいあわてて顔を背ける。

しかし二人の耳には嬉しそうに男に向かって話し出す女子生徒の声が聞こえる

「あそこにいる二人。あの二人でも誘えばいいでしょ。私なんかあの二人に比べたら足下にも及ばないわよ」

その声に男や周りの傍観者たちはセフィーとルシーナの方を見た。

「そこに座っている彼女たちのことかい」

男は女子生徒に二人を示し確認をとり周りの傍観者たちは彼女たちならとうなずいていた。

「そうよそこの二人よ。セフィルーナにルシーナダの二人よ」

男に女子生徒はわざわざ名前まで教えながら話す。

「そうか解った。彼女たちがあの、、、、、、」

男はそれだけ言うとセフィーとルシーナの元に近づいていく。

二人は声にならない叫びをあげていた。

男にわざと背を向けて小声で話す二人。

「ルシーナ早くでよう」

「そうね。何か言われても他人のふりしましょ」

彼女たちが荷物を手に持ちせきを立つよりも先に男が声をかける。

「君たちセフィルーナとルシーナダ、だね」

しかし二人は男の声を無視し立ち上がる。

「セフィルーっ」

男の方へルシーナが振り向き答える。

「違います。人違いです」

「それじゃぁそういうことで」

セフィーも振り向き笑顔で答える。

明らかな嘘だが誰も咎めようとはしない。

急いでその場を離れようと二人は男に背を向けて歩き出す。

「ちょっと待ってくれよ。少しは俺の話を聞いてくれてもいいだろ」

そんな二人に男は背後から声をかける。

「「、、、、、、」」

何の反応も示さず無言のまま離れる二人に男はいらだちを覚える。

離れた距離を詰め乱暴にセフィーの肩をつかむ男。

「待てよ。無視すんなよ。俺が声をかけてるんだ何かしら答えるべきだろう」

声を荒げて言う男。

肩をつかまれたセフィーは仕方なく立ち止まり渋々振り向く。

「そう思うだろう」

振り向いたセフィーに男は言う。

セフィーは男の手を迷惑そうに見て答える。

「手離して」

しかしそれは男の期待したような答えではなかった。

「はっ?」

セフィーの反応に理解できずに苛立った声を出す男。

「手を離してといってるの」

そんな男にセフィーはもう一度言う。男は更に苛立ちドスのきいた声でセフィーに話す。

「おいおいそいつはないぜセフィルーナさんよぉ。なめてんのかおいっ」

脅しのような言葉にセフィーではなく、ルシーナがため息混じりに男に言い放つ。

「だから私たちはセフィルーナでもなければルシーナでもないって言ってるでしょ。人違いっだ、、、って」

「な訳あり得ませんわよね」

ルシーナの声に突然別の声がわってはいる。

男もセフィーもルシーナも突然のことに驚き声の主の方を見る。

「人違いなんてあり得ませんわ。そうでしょ蒼穹のセフィーに金色のルシーナ」

丁寧に二つ名までつけて二人の名前を呼ぶのは一人の女だった。

蒼穹のセフィーも金色のルシーナも二人の外見からつけられたものだった。

セフィーは晴れた空のような空色の瞳からルシーナはまぶしいほどの鮮やかな金色の髪から。


女は二人と同じ魔法学園の制服を着ており、同じ学年のリボンをしていた。が二人にはまるで面識がない。

それなりに実力があるのか体型は若干細めで顔は自身にあふれている。細くつり目で唇はとても薄く目の下の骨が少しでている。かなりきつめの表情は整っているといってもあまり好印象を与えるとは思えない。

長めのブロンドの髪は生まれつきなのかわざとそうしているのかは解らないがかなり癖がついていた。

何も言わない二人を見て彼女は口の片端をわずかにあげ鼻で笑い、組んでいた腕をわざとらしく組み直しながら告げる。

「それともこういった方がいいかしら。不老のセフィルーナに灰燼のルシーナダって」

言葉全体に嫌みを含ませくすくす笑い出す女。

もう一つの二つ名に反応する二人。

そしてくすくすと笑い続ける女に同時に不快感を覚える。

「それで私たちに何かようでも」

黙っていたセフィーが珍しく苛立った様子で女に話しかける。

「あら御免なさい。別に怒らせる気はなかったんだけど」

時折、笑いをこらえるような話し方にセフィーは更に不快になる。

わたくしは中央大陸の数少ない貴族の名門コベリア家、現当主ブライモン公爵が次女レベラーデラス・カカストラ・ル・クーナ・コベリア。以後お見知りおきを」

女は長い名前を言うと二人に大げさなお辞儀をする。

髪につけた悪趣味な髪飾りを見ながらやっかいな相手に絡まれたとセフィーは心の中で嘆いていた。

貴族の家のでの生徒がこの魔法学園にくるのは別段珍しくない。もともと貴族の家系では昔から魔法の才能に目覚めることが多くあった。

学園側も資金援助などの理由から貴族からの受け入れを歓迎していた。

しかしそういった生徒たちは貴族特有の考え方やプライドが以上に高く自然とそれ以外の生徒から敬遠されていた。


どう反応したらいいかと考えていたセフィーをよそにルシーナが平然と話し出す。

「でっそのレベラーラデス?カストラト?さんが私たちに何のよう?」

貴族への礼儀など全く無視した話し方に女の頬が引きつる。

「レベラーデラス・カカストラ・ル・クーナ・コベリアですわ。呼びにくいならレベッカとおよっ」

「でそのレベッカさんが何のよう?」

名前の言い間違いを指摘する彼女を無視しルシーナは急かすように用件を聞く。

レベッカは関わりたくないと言う態度を全身から醸し出しているルシーナをできるだけ見ずに用件を話し出す。

「いえたいしたことは御座いません。ただ学園内で有名なお二人を私たちの仲間に誘おうと思いまして」

貴族からの思いがけない誘いに戸惑う二人。

「仲間って?あなた一人みたいだけど」

セフィーがレベッカにそう質問すると彼女は片手を上げ強く指を鳴らす。

その音を合図に食堂の中にぞろぞろと何人かの生徒が入ってくる。

腰に剣を下げていたり、腕に小さなナイフをくくりつけていたりするのが三人、レベッカと色違いのリボンを付けたローブを着た者が一人、首から教会のネックレスを着けた者が一人。

魔法学園や隣の武術学園だけではなく神学を学ぶ学園からも仲間を集めていたようだった。

全員がレベッカたちの元までくると軽く頭を下げる。

「でぇ私たちにチームに入れと」

集まってきた人をぐるりと見渡しルシーナがレベッカに問う。

「えぇそうです。何か不都合でも?」

「ちょっとまてぇえええええ」

レベッカの挑発的な言い方にセフィーやルシーナではなく男が待ったを入れる。

「先にこの娘たちを誘ったのは俺だ。あとからっでぇってきぃっ」

男の声はのど元に突きつけられた剣の刃によって遮られた。

レベッカの後ろにいたはずの武術学園の生徒の一人がいつの間にか男の背後に周りのど元に怪しく光る剣の刃を突きつけていた。

「部外者は黙っていてくださらない」

近くの椅子に腰掛け、レベッカは見下すような目で男を見ながらそう言う。

足を組み貴族とは思えない格好でレベッカはルシーナに再度問う。

「何か不都合でも」

最初の嫌みな口調はいつの間にかドスのきいた脅し口調に変わっていた。

ルシーナはセフィーと一度向き合うと軽く頷き布製の鞄から申請所を取り出しレベッカに答える。

「悪いけど断るわ。私たちはすでに決めちゃってるから」

ルシーナがレベッカの前に申請所を突き出す。

彼女は最初意外そうな表情をしていたが突き出された申請所を受け取った。

一通り目を通すと一端申請所をルシーナに返すと考え事をするように目をつぶる」

「仲間になるのは無理とおっしゃるのですか」

しばらくそのまま考えていた彼女は目を見開きセフィーの方へ問いかける。

「では私たちがあなた達の課題を手伝う代わりに私たちの課題を手伝というのは?」

レベッカの課題を手伝うという提案にセフィーはついていけなかった。

「どう意味ですか」

セフィーの質問にレベッカは笑顔で答える。

「簡単な話よあなた達の向かう遺跡は私たちが行く遺跡と同じなの。違うのは課題だけ。だから、、、」

「協力しろと」

セフィーはレベッカに最後まで言わせず自ら答える。

「そうその通り物わかりが早くて良いわ」

レベッカは嬉しそうに手をたたいてはしゃぐ。

「嫌だと言ったら」

黙っていたルシーナがレベッカに言う。

レベッカははしゃぐのをやめ指を一度鳴らす。

「「、、、、、、」」

瞬間セフィーとルシーナの後ろに武術学園の生徒が回り込む。

ルシーナが振り向くよりも早く男が彼女ののど元にナイフの刃先を突きつける。

「っっやってくれるじゃない」

ルシーナは悔しそうにレベッカの方を見る。



「私が聞いているのはあなたじゃない少し黙っておいてくださる」

男の時と同じように見下した表情と口調で言い返すレベッカ。

彼女は小さく舌打ちするルシーナを無視しならセフィーへ答えを迫る。

セフィーは険しい表情でレベッカに言う。

「もし断ったら」

セフィーの問いにレベッカは口の端をわずかに上げながら答える。

「あなたは嫌とはいえないわ。それぐらい解るでしょ」

レベッカのわずかな目の動きでルシーナの後ろの武術学園の生徒はセフィーに見せつけるようにルシーナののど元へ突きつけた刃先をわずかに動かす。

「つっ」

のど元に走る小さな痛みにルシーナはわずかにその顔をゆがめる。

ルシーナの首元を血の雫が細く一筋の涙のように流れ落ちる。

その雫がゆっくりと襟元まで達しルシーナの服の一部を紅く染めて行くのをセフィーは見ておられずキッとレベッカを睨みつける。

「さぁセフィルーナ・クレセント答えを聞かせたもらおうかしら」

作り笑いのレベッカの笑っていない瞳をまっすぐ見返しセフィーは一度、目をつぶる。

「さぁ。コタエルンダ」

自身ののど元へ刃先を立てられセフィーは目を開く。人間とは思えないほど低く冷たく言い放つ後ろの男の臭いに吐き気を覚えながら彼女はレベッカへと言い放つ。

「協力する、わ。あなた達の課題を手伝う」

その答えにレベッカは満足げに笑みを作る。腕を組み顎でセフィーとルシーナの後ろにいる生徒に彼女たちを離すよう指示する。

「そう良い判断ね」

「セフィーっわっ」

解放されたルシーナが叫ぶのをセフィーは彼女の顔の前に右手を持っていき無言で制止する。

レベッカは足を組み直し話し出した。

「交渉成立ねそれじゃぁ」

「ただしっ」

レベッカの言葉をセフィーが叫ぶように止める。

「ただし?」

にこやかな表情だったレベッカの片方の眉がぴくりと反応する。

「私たちがあなたに協力するのはあなた達の課題だけ、私たちの課題の達成にはあなた達は一切関わらないでっ」

一気に言い切ったセフィーは一度二度大きく息を吸う。

突然の言葉にレベッカだけではなくルシーナまでがあっけにとられてしまった。

「解ったわその条件認めてあげる。その分きっちり手伝ってもらおうかしらね」

しばしの沈黙の後レベッカは元のような笑いを耐えるような口調でセフィーに言う。

「それじゃぁ私たちは先に出させてもらうわね申請書」

ルシーナがレベッカにひらひらと申請書を見せつける。

レベッカは無言で頷く

「行こうセフィー」

ルシーナはセフィーの手を引き足早に食堂の出口へと向かう。

ちょうど出口に差し掛かったところでセフィーは不意に動きを止める。

「どうしたのセフィー」

そんなセフィーを心配顔で見つめるルシーナ。

「ちょっとやり残したことがあったから先に行っててルシーナ」

そんな彼女にセフィーは柔らかい笑顔で答える。

「じゃぁ申請所の前で待ってるから早く来なさいよセフィー」

どこか引っかかりながらもルシーナはセフィーを残し一人で申請所へと向かって歩き出した。

「さて」

ルシーナがちゃんと申請所に向かったのを確認し姿が見えなくなったところで、セフィーはくるりと体の向きを変えレベッカの方へとゆっくりと歩み寄る。

その表情は先ほどルシーナに向けていた笑顔とはほど遠いものだった。

「どうしたのかしら。何か私に言い忘れたことでも」

目の前にたったまま動こうとしないセフィーにどこか挑発的な口調で言うレベッカ。

立ち上がり真正面から見つめるレベッカにセフィーは右手を突き出す。

大きく開いた手のひらに意識を集中させるセフィー。

レベッカはセフィーが何をしようとしているのか全く解らなかった。

それは彼女を取り巻く仲間や食堂でその様子をいている者も同じだった。

「我が敵を討て光の魔弾」

セフィーが魔法言語を唱えた瞬間レベッカはセフィーの行動を理解した。

が防御の詠唱魔法を唱える暇など全くなかった。

彼女が反射的に目をつぶるよりも早くセフィーの手から光の魔弾が放たれる。

それはレベッカに当たる寸前に何か別の力によって防がれた。

光の魔弾を防いだのは薄い魔法の壁だった。

薄く淡く光り半透明の緑色をしたそれはレベッカの後ろにいた神学や宗教学の学園の生徒が作り出していた。

レベッカの仲間の一人である彼は首から提げていたペンダントを高々と掲げていた。

それは彼の学園似通う者全員に支給される魔法の効果がある道具で、その効果は光属性の魔法防御壁を作り出す物だった。

壁にぶつかった魔弾はくっついたかのように動こうとしない。

それを気にする様もなくセフィーはもう一度魔法言語を唱える。

「我が敵を討て光の魔弾」

唱え終わると同時に先ほどと同じように放たれる魔弾。

「我が敵を討て光の魔弾」

それが壁にぶつかる前に再び同じ魔法言語を唱えるセフィー。

連続で放たれた魔弾は壁にぶつかると同時に薄い光の壁をいとも簡単に砕き、目的の人物へと勢いを増しながら進む。

自らへの衝撃と痛みを覚悟したレベッカはとっさに頭を両手で押さえ備える。

「うぅぐっぉおお」

しかし予想した衝撃はおそってはこなかった。

代わりに届いたのは耳のすぐそばを通る風を切る音と男のうめき声だった。そして何かが激しく吹き飛ぶ音その直後のぶつかる音。

光の魔弾はレベッカの顔をかすめただけで当たらなかった。

いやもともとそれは彼女をねらって放たれた物ではなかった。

レベッカの顔をかすめた光の魔弾はそのまま彼女の後方にいた武術学園の生徒へと直撃した。

「これはルシーナを傷つけた仕返し」

呆然とするレベッカたちにセフィーは冷たく言い放つ。

「もしルシーナに手を出したりしたら私は絶対に許さない」

そう言いきり彼女はレベッカたちに背を向け食堂の出口へと歩いていく。

出口へと向かうセフィーに誰も声をかける者はいなかった。

「くくっくくくははっはははははははっはははははははは」

食堂と廊下との境目にセフィーが来たとき、ざわつきを取り戻しつつあった食堂にひときわ大きな笑い声が響く。

「あはははははっやってくれるじゃなあい。あはははははは」

聞く者を不快にさせるような笑いの合間にレベッカはセフィーに言う。

全く振り向くこともせず食堂を出て行くセフィーの背中にレベッカは言い放つ。

「実習当日は期待してるわっはははははは」

セフィーは何も言わずルシーナ待っているだろう申請所へと急ぐだけだった。







 







 






 






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