第一話、学園都市セルラノフィート
やっと本編突入です。誤字、脱字あるかもしれませんが最後まで見守って下さい
俺の名を呼ぶのは誰、、
何故しっている
なにを知っている
何を求めている
何を期待している
この俺に・…‥
破壊と終焉を意味するこの俺に‥………マボロディア。
異世界マボロディアこの世界には東西南北にそれぞれ大陸が広がりその中心にひときわ大きな大陸が存在する。世界のいたるところに獣や魔物が群をなし無数の精霊たちによって世界の理ができている。
朝、街に時を知らせる鐘の音が響く
うっすらと霧の立ちこめる中一人の少女が大きく息を吐きながら走っていた。
白いシャツの上に紺のブレザー。膝丈のスカートが風を切るかのようにかろやかに走っていく。右手にはぶ厚い本がいくつも握られ左手にはブレザーよりも色のうすい空色のローブがしっかりと握られていた。雲一つない空のような透き通った青い瞳。対照的に髪は明るい土の色だった。
「間に合うかなぁ」
少女が目の前の坂道の上にある大きな建物をみながらつぶやく
心配そうに見つめる顔は17、8の娘といった感じだった。かなり整った顔立ちのわりにどこか幼さを残す顔でもあった。
「どうして寮から学校までこんなにとおいのぉ」
今にも泣き出してしまいそうな顔と声で少女は叫んだ。
学園都市セルラノフィート
中央大陸のちょうど真ん中に位置する場所に存在する学園都市。
この都市では一般教養から始まり医学、工学、技術学、魔法学、神学、武術学など多種多様な学問が学べる
世界中から沢山の人がこの都市に学びにくる。出身、性別、関係なく幼い子供から年老いたものまで様々である。 学ぶ意志があるものにとってここはまさに楽園である
もちろん学びにくる人たちのために食材や家具、衣服などを売る店も軒並み揃っている。そういった店店は街の中心にある時計塔の根元の芝の広場から放射線状に無数と伸びる街の通りにいくつか固まって存在する。
少女が駆け上って行く坂道の上にこの学園都市でもって一際目立つ大きな建物がある。
「フィラート男女共学魔法技術修得学園」
通称フィラート魔法学園
この学園では名前の通り魔法と呼ばれる技術を基礎から専門的な分野まで学べるのである。
「はあ、はあ、はあ」
苦しそうに
息を吐きながら少女は学園へと続く坂道を駆け上る。
「今日は大事な日なのに」
額の汗を手の甲でふく。
先ほどから一度も止まることなく少女は走りつづける。
そんな彼女を学園側の敷地から一人の少女がみていた。腰まである長く真っすぐな金髪に褐色の肌、そして特徴的な切れ長碧眼の目、整った顔立ちにうっすらと笑みを浮かべ、こっそりと物陰に隠れながら、時には様子を伺いながら目的の人物が来るのを今か今かと待ちかまえている。
「ついたぁ、はあ、はあ、まっ、まにあったぁああ」
学園の敷地内に入り間に合ったことに少女はうれしくなり軽く両手を挙げる。
ここまで走ってきたことで彼女の白くきれいな肌は淡く赤みを帯び蒸気していた。
そんな彼女の背中へ近づく影があった。
その影は彼女のすぐ後ろまでくると勢い良く彼女に飛びついた。
「おっそいぞぉお。セフィー」
そういって褐色の肌の少女はセフィーと呼んだ少女に抱きつく。
「ひぁっなっなに?」
一方セフィーと呼ばれた少女は突然背後ら抱きつかれ慌てふためいた。
「こらっ。ひぁっでもなっなにでもないでしょっ」
褐色の肌の少女はそう言いながらセフィーから離れた。
「ルっルシーナ、ゴメン遅くなちゃった」
セフィーは振り返りながら褐色の肌の少女に謝る。
ルシーナはセフィーの大事な親友だった。
幼い時からあまりこの学園都市からでることのなかったセフィーにとってルシーナは心の底から信頼する唯一の友人だった。
「全く、あんたのその遅刻癖は昔のままなんだから」
ルシーナはやれやれといった感じで息を吐く。ルシーナとセフィーはお互いたった一人の幼なじみだった。
そのためルシーナにとってもセフィーはかけがえなのない無二の親友だった。
「やれやれあんたは顔や体だけじゃなくて中身も少しは成長しなさいよね」
そう言いながらルシーナはセフィーの頬を触る。
「それより早く教室入らないと遅刻になるよ」
セフィーはルシーナの手から逃れそういうと急いで建物に入ろうとする。
「待ちなさい、そんな汗だくな姿でいかないで。女の子でしょ。もう少し自分の見た目に気をくばりなさい」
ルシーナはとっさにセフィーの腕を掴んだ。
でもお風呂入ってる暇も着替えてる暇もないよとセフィーは答える。
そんなセフィーをルシーナはどこか哀れむように見つめる。
「セフィー、私たちの身分は?」
ルシーナは溜め息まじりにセフィーにとう。
「フィラート魔法学園高等魔法科3年生」
すんなりと答えたもののセフィーは何故ルシーナが突然そんなことを今更尋ねるのか不思議だった。
「だったら魔法を使えるでしょ」
きょとんとしているセフィーにそういうとルシーナは自分のローブの内側から愛用の杖を取り出した。白を基調として全体に記号化された魔法言語が刻まれたものだった。その杖を右手にもちルシーナは魔法言語を口にする。
「水の力我が前に小さき渦となれ」
ルシーナの言葉に反応して彼女の杖が淡く光る。
次の瞬間セフィーの体の回りに水柱が上がる。そしてその水柱 はゆっくりとセフィーを中心にまわりはじめだんだんと速度を上げていく。
「わわわわわ」
セフィーはただそのことに驚くばかりだった
やがてセフィーの周りを回転していた水は、勢いを失してゆき最後には地面へと吸い込まれていった。
ルシーナが放った水の渦でセフィーは服も髪すぶ濡れだった。
呆然と立ち尽くす彼女を後目にルシーナは再び魔法言語を唱える
「清涼なる風邪の息吹きよ」
言葉に反応し杖がひかる。
今度はほのかに花の香りのする風がセフィーの体を激しく何度も吹きぬける。
風がおさまる頃にはセフィーの髪も服も完全に乾いていた。
「これでよしっ」
ルシーナは杖をローブの内側にしまうとセフィーに背を向けて建物の方向に歩き始めた。
後には今だにルシーナが何をしたのかよくわかってないセフィーが取り残された。
「待ってよルシーナァァ」
そんな彼女もすぐにルシーナの後をおって小走りで建物へとむかう。
彼女たちの通うフィラート魔法学園はとてつもなく大きな学園である。入学に関して、年齢による制限は定めておらず、誰でも気軽に入ることができる。しかし学園都市全体の決まりとして、基礎学校で3年以上の教育、もしくはそれと同等以上の社会的知識及び常識、を待ったものしか入学は許されない。
入学以降は、初期の3年間を魔法基礎3学科のどれか一つを選ぶ。
教育課程を終了すると高い知識を求める者は5年課程の魔法高等3学科へと進む。
そこを卒業後は、基本的にそれぞれ自分でやりたいことをみつけ独立するものが大半だが、中にはそのまま学園に残り研究に没頭する者もいる。
いくつもの教室が並ぶ廊下をセフィーとルシーナは並んで歩いていた。
セフィーは先ほどから自分の体や服からかすかに香る花の香りに首を傾げていた。
「どうしたの?セフィーさっきから」
そんな彼女にルシーナは少し心配そうに尋ねる。
「ねぇ、ルシーナ、さっき私に掛けた魔法って降霊魔法?」
ルシーナの心配そうな視線などものともせずセフィーは突然そんなことを言い出した。
いきなりなセフィーの言葉に、ルシーナは戸惑いはしたものの先ほどまでの彼女の様子から何が原因か把握し、かすかに微笑みながら答えた。
「違うわよ。ただの詠唱魔法」
語尾を悪戯っぽくいう。
「でも……それなら何で花の香りがするの」
ルシーナを見つめるセフィーの瞳には不可解な事実に対する焦りの色が見て取れた。
ルシーナはセフィーの目の前に自らの右手を持っていきゆっくりとひらいた。
彼女の手の上には小指ほどの小さな小瓶がのっていた。
「ひょっとしてそれが原因?」
セフィーは首を傾げつつ言う。
「そうこれは香水。花の香りがする水をびんに収めて霧状に噴射するものよ。普段は直接服の上からかけるものだけどあなたにこれは少しきつすぎるの」
だから風の詠唱魔法のときに少しだけ風にこれを交ぜたの、とにこやかに答える。
「そうなんだぁ。さすがルシーナだねそんな魔法の応用なんて私思いつかないよ」
セフィーが感嘆の声を上げる。
そんなセフィーに優しく微笑むとルシーナは一つの教室に入っていった。
「じゃぁまた後でねセフィー」
手を挙げて答えるセフィー。
「うん、また後で」
しばらく一人で歩き彼女もまた一つの教室に入っていった。
……魔法……
このマボロディアという世界にそれは確かに存在した。工学、医学と並びもっとも学ぶ者の数が多い知識だった。
この世界の魔法は大きく二つにわけられる。
自らの体内に存在する魔力を特殊な言語で詠唱することにより具現化する方法。
それとは別にこの世界を形作る精霊を降霊させその力を具現化させるもの。
前者を詠唱魔法と言い後者を降霊魔法という。
詠唱魔法は火、水、土、風、光と五つの属性が存在しそれぞれ細かく二つにわけられる。
自らにかけ補助的な効果をもたらすことを目的とする詠唱補助魔法と直接相手に攻撃することを目的とした詠唱攻撃魔法。
どちらも古くから編み出され、たくさんの種類がある。詠唱補助魔法の中には、比較的簡単に習得できる物があるため、基礎学科の一つとしてどの学問にも入っている。
また応用が大変に多く、媒介を用意したり、魔法陣を書くことによって術者の力以上の効果をもたらすこともできる。
しかし欠点として誰にも習得できる分降霊魔法と比べ効果が弱く、また必ず自らの魔力を具現化するための媒介が必要である。
そして一番の欠点は自らの魔力がつきたら回復するまで一切魔法が使えないことである。
対して降霊魔法はいささか扱いの難しい魔法である。降霊魔法は魔法言語を詠唱する必要も無ければ媒介も特に必要ない。
五つの属性それぞれの精霊を降霊するのだがその方法も術者によってまちまちである。
ある者は詩によって、ある者は踊りによって、またある者は契約に基づいて。
そのことがこの降霊魔法の習得の難しさに拍車をかけている。
そもそもの降霊魔法は誰にでも扱える魔法ではなかった。
もとはマボロディアにある村村にいる巫女、通称シャーマンと言われる者たちが使う魔法だった。
火、水、土、風、光それぞれのシャーマンがそれぞれ必要なときに降霊魔法を使い災害に苦しむ人々を救っていた。
日照りが続けば雨を降らせ、水害がくれば防壁を作り、寒気が厳しければそれを和らげ、虫がこなければ風を使い受粉を促進し、闇が日を隠せば光で闇を払っていた。
それだけに降霊魔法はとても強力な魔法であった。
しかし時が進むに連れ、村同士のつながりが盛んになることで、シャーマン同士も交わりはじめる。
一人で数種類の降霊魔法を扱える者も出始めた。そのころから念心な魔法学者たちは降霊魔法を研究し始め、中にはシャーマンを自らの妻や夫として生きていく者もいた。
そう言った者たちの努力もあり現在では降霊魔法もある程度知識として確立され、努力次第では扱えるようになった。
しかし全くの才能がない者が扱うには荷が重すぎ、血にシャーマンの血が混ざっている者でしか上手く扱うことはできない。
このマボロディアに置いて、最初に魔法を使った人は世界をつくりし6人の神だったという。
現代で使われる魔法とは全く形の違ったそれは、すでにこのマボロディアで扱える者は誰一人としていない。
セフィーは席に着くと肩にかけていた小さな鞄から手のひらよりも少し大きい細長い長方形のはこを取り出す。
ふたを開け中からとりだしたのは細長く片方の先端が二股にわかれその反対には淡く水のように透き通る丸い石の飾りが付いた髪飾りだった。
そしてセフィーはぽつりとつぶやく。
「私がんばるよ。お母さん」
手に持った髪飾りをしばし眺めそして自らの頭につける。
明るい茶色い髪と対照的な色をした丸い石の飾りは淡く光を発していた。
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