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第1章ー2

現在の朝鮮情勢の説明話です。

「あんまり昔から話すのもなんだしな。江華島の一件から話し出すのが妥当かな」

 大鳥公使が言った。

「本多少将がえらい目にあったときですね。当時の荒井海兵局長に本多少将が当時は大尉の身にも関わらず、帰国早々食って掛かるほど怒ったとか」

 林大佐が言った。


「半分、嘘だがな。本多が怒ったのは事実だ。だが、さすがに大尉の身で荒井大佐に食って掛かるほどではなかった。それに、本多が怒ったのは、自分の身が危険にさらされたからというよりも、事情を一切教えられずに部下が危険な目に遭ったせいというのが大きい。だから、荒井さんと一緒になって俺も本多をなだめたよ」

 大鳥公使は、思わず遠い目をした。


「ま、ともかく江華島の一件で日朝修好条規が1875年に結ばれたわけだ。だが、朝鮮としては、欧米と国交関係を結ぶ気には、まだなれなかった。日本との関係も徳川幕府時代と同様と考えていた。だが、1877年の西南戦争の後、1879年に遂に琉球が日本のものになってしまった。そこで、慌てたのが清だ。今や清の属国は朝鮮のみだ。しかも、日本は台湾に出兵するわ、琉球は日本のものにするわ、と明らかに好戦的だ。それにロシアの脅威もひたひたと増大してくる。そこで、欧米諸国にも朝鮮と清との関係を認めてもらおうと考えた。そうしたら、いざ朝鮮でロシアや日本とことが起こった際に、欧米諸国に牽制してもらえるからな。そして、1882年に米国を皮切りに朝鮮は欧米諸国と条約を結んだ」


「朝鮮政府内部の力関係はどうなのです」

 林大佐は口をはさんだ。

「厄介なんだ。これが」

 大鳥公使は嘆いた。


「今の朝鮮国王が完全に親政するなり、または宰相が国王の信任の下で辣腕を振るっているなら、いいのだが。王室内部でさえバラバラだ。今の国王が先代国王の長男として順当に王太子となって即位したわけではない。先代国王には息子がいなかったので、かなり傍系の王族を見込みがあるとして即位させた。これが今の高宗だ。しかし、即位当時は幼少だったので、実父が大院君として実権を握っていたが、高宗が成長すると大院君は邪魔になった。そして、クーデターが1873年に起きて高宗の王妃の閔妃が政治の実権を握った。そして閔一族が我が世の春を謳歌したが、大院君も生きていて隠然たる力を今でさえ持っている。そして、1882年に大院君が逆クーデターを画策して実行したが、清国が介入して失敗した。この時は北白川宮殿下が海兵大隊長として事態収拾のために朝鮮に派遣されたな。この逆クーデターまでは閔一族は親日的だったのだが、この逆クーデター後は日本はあてにならないとして、閔一族は親清派になってしまった。更に江華島事件をきっかけに朝鮮は改革せねばならないとして、開化派が1870年代末頃から現れだした。ちょうど、日本の幕末の頃に開国派が現れたようなものだな。だが、こんな状況は国辱だとして攘夷派の力が朝鮮政府内部では強い。そして、攘夷派は開化派に猛反発した。だが、改革は急務だ。開化派の急進グループは、閔一族の横暴に憤りを感じていた高宗を強引に説得して、1884年に日本を当てにしてクーデターを起こした。当時、清仏戦争の真っ最中で清は朝鮮で何か起こっても介入できないと急進派は考えていた。実際、朝鮮に駐屯していた清陸軍も対仏戦のために半分に削られる有様だったしな。だが、清は閔一族を助けるために介入してきた。そして、急進派は壊滅、当てになる親日勢力が事実上いなくなってしまった。閔一族は清を後ろ盾に未だに政権を握っている。だが、朝鮮の国内情勢がそれを許さなくなった」


「今年の東学党の挙兵ですか」

 林大佐が言った。

「そうなるのにも、いろいろ事情があるのだがな」

 大鳥公使が言った。

思わず長くなりました。東学党の挙兵は次話になります。

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