悲鳴
掲載日:2026/07/19
2つの三角形と1つの円。この要素だけを使った3種類のデザイン案を作り、俺はクライアントへメールで納品した。すぐに返信が来た。俺はクビになった。
そのクライアントには結局、一度も対面で会っていない。最初は電話で問い合わせ、採用試験の日程などを聞いた。そのときの声は人間ではなく、機械の音声だった。
「また職探しか」
俺はため息をつき、求人サイトをパソコンで眺めていた。
夜のニュースで、新しくできた世界的なテック企業が、会社のロゴマークを発表していた。なんと、それは俺が納品した3案のうちの1つだった。クライアントは俺をクビにしておいて、デザインだけ盗んだのだ。ギャラは1円も支払われていない。
その企業は秋葉原にある。俺は車に乗り込み、猛スピードで秋葉原に向かった。やがて、その企業のビルが見えてきた。アクセルをベタ踏みし、全速力で車ごとビルに突っ込んだ。
車にはダイナマイトを満載にしておいた。凄まじい爆発音が響く。遠くで、かすかに「イタイ… アツイ…」という悲鳴が聞こえた。あのとき電話で聞いた機械の音声だった。




