花屋の主人
教会前の花屋、教会の花壇に花を植えると願いがかなう。一番きれいだと感じた花を植えると良い。
という言い伝えがある。
教会に寄付をする事で花を植えてもらうことができるが、言い伝えは形式化し、教会に花をもっていくという習慣のみが残った。またその習慣についても花を買わない人も増えた。
今は女神教の教会に変わってしまったが当時は、いわゆる19人の神々の王の2人、兄妹の神を祀っていた。
元は地域の住人が管理する小さな教会だったが今は、仰々しく女神教の司祭が管理しているが花を植える文化はのこっている。
まだ女神教の教会になる前、よく花を買いに来る若い夫婦がいた。常連であり、世間話をする中だったが19人の中でも特にその2人を信仰しているという事だった。
旦那はスラリと背が高い色男であり、妻はコロコロと笑う可愛らしい女性だった。
二人に子が生まれた折、「一度故郷に子を見せに行くから暫く顔を出せない」と言っていた。
私は、「気を付けていっといで」と見送る。
とても遠い場所で数日がかりの旅だ。
そしてその旅の途中事故にあい、妻が亡くなったのだ。その際に自分の病気も見つかり、数年のうちに死んでしまう事が分かった。旦那の方が帰って来たあとそのようにいっていた。
それからは親子で教会に通う。妻が死にさらに自分の死の運命を知っても彼の信仰は変わらない。
そして5年間通った後来なくなる。常連はほかにもたくさんいる、親子が来なくなり半年位たった頃私はようやくその理由に思いいたる。娘がどうしたかは分からない。
その頃から私の生まれた街で神隠しのような目に遭う人が増えた。消えたままになるわけではないが消えている間の記憶がない。山の精霊が怒っている、山には近づいてはならない。そういう噂だ。
事実神隠しに遭う人は年々増えていく。有名な祈祷師を呼んだがその祈祷師が神隠しに遭うしまつであり。さらに恐ろしい事に神隠しに遭うと3年以内に死んでしまうという。神隠しの噂が流れて5年目頃に皆がその事に気付く。10年で300人近い人が神隠しに遭い、事実、100人以上が3年以内になくなっている。
そんな折1人の少女が花を買いにやってくる。