あの日あの時
いつも私の花屋に訪れる娘、良くないものはあの日以来ついて来てはいないが彼女がその影響下にある事は感じる。けれど私は見ただけそれもぼんやりとなんとなくとで倒れたのだ、私には19人の神々の王や3人の女神となった少女達に祈る事しか出来ない。
幸い2人の神々の王の兄妹の像のある教会は私の花屋のすぐそばにある。
妹神のカティア様に祈ればすべての神々に届くはずだ。私が祈りを終えると一羽の鳥が天に羽ばたく音が聞こえた気がする。金属の体でできた青い鳥、3人の女神が神々の世界へと旅立つ時に人々を見守るようにこちらに残した鳥、3人の女神は、寂しがり屋のその金属の鳥に会う為に何度もこちらの世界に戻って来るという。
神としての威厳はないかがとても優しい言い伝えだ。皆その事に心が救われる。
3人の女神の1人は他の種族との友好を望んだ事で幽閉されたと言ったが、言い伝えは場所により差が出てしまう。シエルと呼ばれるその女神は世界を滅ぼすほど大きな力を持っており、その力を恐れ、自ら幽閉を申し出たのだ。シエルは臆病だった。けれど王になるためにその臆病さを優しさへと昇華させていった。
守る為に戦う神の時代から、守る為に戦いを起こさせない神の時代に変わった。神は人の時代によって変わる。
女神教も女神正教も滅び、外敵により人類もその数を減らした時代、新たな神が現れるのだろうか。
あの娘が真剣な顔でお祈りをしている。私と少し雑談をすると、私をどこかへ連れて行く。
催眠術のような技を使ったのだろうが私には効果が薄い、森の奥の小さな小屋、彼女はお金持ちに拾われたた訳では無い。小屋の中には最低限の家具しか見当たらない。道中彼女がお金を複製しているのが見えた。それくらいはお手の物なのだろうか。いやそれは違う。自らの良心とも競わねばならない。彼女は人里とはなれて暮らした為、その良心を知らない。
悪い何かと親しげに話す彼女。悪い何かは人が人を騙す時の顔をしている。
悪い何かは私の心に語りしかける。「言えば殺す。」
やつは私が催眠術にかかっていない事等お見通しである。娘は、後に女神となる娘はミザエルという。
最初の10人の友でも私だけが知る名。
後に10人のうち5人は知っているとしり少し悲しくなった名。当然だミザエル様は良く人里に遊びに来ていたし、とても目立つ容姿で奇抜な少し目のやり場に困る格好をした少女だった。狭い街の事知るものもいただろう。
私は私の命惜しさにその女神を裏切ったのだ。
悪い何かの計画は時代を合わせれば数百億の人を殺す。事故や自然、敵対する何かのためでなく。人が自ら殺し合う。それも知っている。今ここで私とミザエル様が悪い何かに殺されればそれは防げる。
私はそれをしなかった。これは奴の計画の一環だ。奴は人類を裏切る者が欲しかったのだ。その弱さや苦しみが奴らの糧なのだ。
そして、私は今、その事に対して後悔はない!!
女神は私の生まれ育った街で1000人の人を集め10人を不老不死へと変えた。実験の成功者は10人。
990人は3年以内に死んだ。
300人の不老不死の者を生み出す為に29700人の死者が生まれた。
そうではない。女神教と女神正教の対立を起点として人類は滅んだのだから。最大時には200億にまで増えた人類は、更に強大な力を持つ人食いの化け物に家畜化され、その者を合わせても5億はいない。
その数は管理される。
不死者は神々の世界にたびだった。神々の世界への門が閉じる時どちらの世界に住むかを問われ、多くが神々の世界を選んだ。
5億の人類の生き残りの為に新たな神は現れるのだろうか、神々の世界への門も閉じてしまった。
戦う神を人類は捨ててしまった。
新たな神を人類は見つけられるのだろうか。
それでも私はあの時の選択に後悔はない。
様々な時代、様々な地域でそれにあった神が生まれた。我等の女神は女神としての意思さえなく騙され操られるままに人類滅亡のきっかけを作った。
それが女神の秘密、そして女神と私の秘密。




