22話 それぞれの場所で
「お帰りなさい。旦那様」
「ああ・・・ただいま、ミナス」
俺、ユアはようやく、屋敷に帰ることができた
王都にあるオルトバルト公爵家が所有している屋敷はかなり広い
オルトバルト領にある屋敷と比べると小さいがそれは無理もないがそれでも大きすぎるのが俺が思っていること
それはもう慣れているので問題ない
「何か話をしていたのですか?」
「ああ・・・ちょっとあってな・・・」
流石に転生者であることは言えないからな・・・そうだ、聞いていたあの2人の話をしよう
「剣聖メイルとデミロードが・・・結婚したんだよ。俺達が部屋を出た後だけど・・・」
「え!?」
驚愕して固まるミナス
そりゃ驚くわな
目の前で告白されたならまだ・・・にしてはエルドラ王立学園の入学式で付き合ってすぐに結婚はびっくり案件だろうし
「おめでとうございます?」
「俺に言われてもな・・・」
俺に言っても何もないだろと思った
まあ、深く責めることなんてしないけど
「あの2人が結婚か・・・何も感じないな」
会って数時間しか経っていないのだから無理もない
初対面で感じたとしても何日も何年も仲良くなっていたわけじゃないし
なんて言うのかと考えるとしても何もない
意外に人間というのは薄情・・・いや、これで悪いとかないよな多分
「まあ、明日に会いに行こうか」
「はい!」
クラス同じだから機会はたくさんある
話としてはそれだけじゃないが・・・まあ、事実を言ったまでだし
「デミロードに連れられて王子がいるところー部屋に行って話をしていたのは友達になろう的な話をしていたんだ。まあ・・・途中から2人が・・・なんで言えばいいのかな・・・色々とあって結婚することになったらしいよ。今は結婚届を役所に提出していくと学園の外に出たばかりだと思うよ」
「それは・・・次会う時はどちらが性を名乗るのでしょうか・・・デミロードさんがソード家の婿入りしそうですね」
確かに
次期剣聖との結婚だからな
次期剣聖は当主になることを義務になっているとか聞いたことがある
なら、デミロードはソード家に婿入りするのだろう
兄があるとかなんやら聞いたことがあるし
継承権を与えられていないならそうなるだろうな
「そうなるだろうね。まあ、あの2人が結婚したことは明日、祝福するとして俺達はゆっくりとしようか」
ミナスを抱きついてよしよしと頭を撫ぜる
ミナスは顔を赤くしてトマト顔になった
可愛いな本当
「まだ慣れないな。よしよし、今日も可愛いよ」
「はい・・・」
本当に可愛いなうちの奥さん
こんな可愛い奥さんが俺の妻なんて・・・何度も言うもんじゃないな
「ミナスは今日何かしたいことはあるか?」
まだ夕食まで2時間くらいはある
今は4時前だし、何かやろうか考えるとしよう
「そうですね・・・なら」
「?」
何かしようと決めた顔をするミナス
何か決めたようだけど何をするのかな?
「ふふっ・・・行きましょうか」
部屋に連れられる
中に入った部屋は
「え?」
いやまさか・・・
「どうしましたか?やりましょうか」
「・・・・・・今から?」
「はい!」
「いや、ちょっと待て、本当に・・・」
「待ちませんよ。女性と話をしたのでしょう?」
ギクッなんで分かってーあの2人が結婚しているのを知っているからか!
しかも話してきたと言ったようなふうにあったし
不味い不味い
嫉妬深い妻に言うべきことじゃなかった
浮気はしていないとは言え、それは流石に不味かったか
「ええ・・・事実ですがこれは・・・」
言い訳しようとする
「話したのは剣聖と聖女だよ?2人とも結婚しているし・・・浮気なんてしていないから!ミナス一筋だよ俺!」
「言い訳に聞こえますよ?」
うっ確かに
「浮気はしていないとは信じていますよ。でも・・・私は嫉妬深いのですよ?なので妻を悲しませた責任をとりましょう?ユアさん」
「・・・・・・はい・・・」
これは勝てませんね
「明日起き上がれるのかな」
と心配する俺
「大丈夫ですよ。ほら、やりましょう?」
何が起きたのかは秘密である
こんなことを言ったら・・・はい・・・
「転生者が3人もいたか・・・」
王城にある部屋で呟いていたのはゼロ
エルドラ王国第一王子だ
「全員既婚者になったな・・・前世ならリア充爆発しろと言っていただろうが結婚したからな・・・前世の俺は間違いなく、そんなわけがないだろと思うし、羨ましいと妬むだろうな〜・・・転生したらこんなに変わるなんてやっぱり環境というのは生まれた場所とか生活している場所で性格を変えるんだな」
と言っていると
「そうね・・・私も貴方も変わったし」
エルドラ王国の聖女であるアイナも転生前と今では性格が変わっていることに頷いていた
転生する前と転生した後ではあまりにも環境が変わっていて環境に適応するのは大変だったが慣れてしまった現在では昔の自分はそういう人間だったのだと変わったなと思うほど変わっていることに信じられなかった
昔の自分はよくそんなことをしたんだなと改めて評価するべき過去の記憶があるし、なんでこんなことをしたんだろうと今更後悔や恥ずかしいと思ってしまう過去の記憶もある
思い出したいことも思い出したくないことも多くあるがそれでも前世のことを全部が全部忘れたいわけではない
そういう思い出が今の自分を強くしてくれたのだから
「まあ、あいつらは大丈夫だろう。俺達と同じように転生前から変わっていないところもある・・・とは思うが」
「多分って感じになってますよ?」
「否定しないな・・・なんせ、少ししか話をしていないからな。本来ならもっと話す予定だったが・・・まあ、世の中は都合のいいように動いているわけではないからな。無理もない」
「言い訳ですね」
「君のツッコミは正論すぎて反論できないんだけど。俺なんかやらかした?怒ってる?」
「いえ、今はゆっくりしましょう」
「・・・そうだな。ボードゲームでもするか?」
ゼロは提案をするとアイナは頷く
「分かりました。やりましょうか」
2人はボードゲームをした
ゲーム後には一緒に寝たのであった
次回2月17日15時投稿予定




