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妖精の祝福

エレノワ視点に戻ります。

 レグルスを迎えた私達は、妖精王と別れ小屋まで戻って来ていた。

 別れ際、妖精王が暫くは女神が用意した小屋で過ごす事、その時が来たら遣いを出す。と言われそれまでは大人しくしていろと忠告されてしまった。


 そんな事言われなくても動けないし、この麓から下りようとも思わない。

 何故かここは安全であると感じている所がある。


 とは言え、何もしないって言うのも性に合わない。

 身体を動かして外でレグルスと遊びたい。


 レグルスも産まれたばかりで、目に入る物が全て新鮮といった感じだ。


 ここ数日は、一緒に小屋周辺を散策したり妖精と遊んだりしていたが、既に飽きてしまった。

 そんな中、妖精達が私達を飽きせまいと、至る所から見たことのない植物などを持ってくるもんだから、その度に楽しんではいるのだけれど。


「………ひま」

「そんな事を言って、エレノワ様もレグルス様を見習ったらどうです?」


 大きな木がある場所で、私は寝転がりながら日光浴をしていた。只の昼寝である。

 そんな中、ロザリーは敷物の上に昼食を準備していく。

 レグルスは妖精達と追いかけっこをして遊んでいる様だ。


「無理に決まってるでしょ!レグルスの体力と同じにしないで」


 レグルスはずっと妖精と遊んでいる。

 はじめは私も混ざっていたけど、息切れに足腰が動かなくなってそうそうに脱落した。


「――――飛べたらいいのに…」


【エレノワとびたい?】

【とびたいの?】


 ここ数日で、妖精達ともだいぶ仲良くなれてきた。

 はじめは、ローズさま、ローズさまと言われていたが「エレノワって呼んで」と伝えると、妖精達はエレノワ、エレノワと呼ぶ様になった。


 そんな彼等から突然の飛びたいの?との問いかけ。


「えぇ、アナタ達みたいに羽根が無いから飛べないけれど、飛べたら楽しそうだなって」


 そう答えると数人の妖精がそれぞれ顔を見合わせ、頷き始める。

 はて?と彼等の様子を伺っていると


【エレノワとばせてあげる】

【エレノワとぶ】

【とぶ〜】


「……え?」


 エレノワの周りに妖精達が集まり、羽根から輝く粉が舞い降り、エレノワを包んでいく。


【ボク、たちからの】

【しゅくふく〜】

【しゅくしゅく、ふくふく〜】

【エレノワとべ〜】

【とべ、とべ〜〜】


「え?え?……えぇ?!」


 小さな光る粉が、エレノワの背中に集まり形を成していく。

 妖精王にも引けを取らない大きな妖精の羽根が、エレノワの背中に付いていた。


【はね、うごけーってとなえる】

【するとはねうごく〜】

【パタパタぁ〜】


『エレノワに羽根ある』

「まぁエレノワ様…そのお姿は?」


 遊んでいたレグルスにロザリーまでもその姿に驚く。

 妖精達は簡単に言うけれど、本当にそう念じるだけで羽根が動くものなのだろうか。


 ―――動け

 ――動け


 ピクッ…


 …駄目、念じるだけじゃ駄目なんだわ。でも動く感覚はあった。なら―――


 エレノワは背中部分に集中した。

 羽根の付け根部分を意識し、そこから全体が動いていのを想像して…


 ――――動け!


 フワッ…――


【エレノワ!】

【はね、パタパタよ!】


 私は妖精、私は妖精!

 いつも見ている妖精の様にパタパタと上下に動かす。

 ゆっくりとだが、エレノワは宙に浮き始めた。


「わ、私浮いてるの?」

「エレノワ様凄いです!」

『ボクもとびたい!!エレノワだけズルい!』

「ふふふっ、こうかしら」


 だんでん慣れてきたのか、羽根の動きが滑らかになると、エレノワは飛ぶ高さを上げ、手を伸ばし前進したり上下左右と自在に飛び回る。


 それを追い掛けるレグルスと妖精達。


「ロザリー!見て!私飛べたわ!!」

「えぇ!エレノワ様流石です!もうすぐで昼食になりますから、遠くへは行かないようにしてくださいね」

「分かっているわ!」


 あぁ…なんて綺麗なの。

 此処があの恐ろしい霊峰山である事を忘れてしまう程に、とても美しい景色が広がっていた。


【エレノワたのしい?】

「えぇ!とても楽しいわ!」

【たのしい!よかった!】

【みんなよろこんでる】

【よろこんでる!】

「皆?」

【ここにすむみーんな!】

【エレノワよろこぶ】

【みんなうれしい!】


 一緒に飛ぶ妖精達。

 クルクル回りながらキャッキャ、キャッキャと喜んでいるのが分かる。

 それに習ってエレノワも回転したり、速度をあげたり妖精達と空中散歩を楽しんだ。


 一通り楽しむとロザリーとレグルスが待つ、大きな木まで向うと―――ムスッと不機嫌なレグルスが待っていた。


 どうやらレグルスも一緒に行きたかったのだと、この時漸くエレノワは気付いた。

 自分は飛べるようになり、浮かれ過ぎたようだとレグルスを見て反省するのだった。


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