✦女神と????
?????の園
この箱庭に、一人の女神が居た。
「フフッ…どうにか逢えたみたいね、良かったわ」
それ程大きくはない噴水の縁に腰掛け、水面を覗く。そこにはエレノワと妖精王の姿が。
「それにしても女神様」
「なぁに?」
「ローズ様の事は良いとして、こちらはどうするおつもりで?」
「どうもこうもしないわよ〜?だってどの子も大切な子供達ですもの」
「………はぁ…」
もう一人が女神の言葉に呆れ返す。
水面を覗いていた女神が「あらぁ〜」と言葉を紡ぐ。
そこに映っていたのは、ライアンとエディである。
「ブライアンもそろそろ知る頃ね」
「今回は上手く事が運べば宜しいのですが…」
「―――そうね…でも上手くいく……そんな気がするわ」
少しの期待と嬉しさ、そんな風に話す女神にもう一人がまた溜息を吐いた。
「はぁ…もう何千年と続いているのですよ?そろそろ良いのでは?」
「良いも悪いも私は何もしてないでしょ?してるのは…」
「―――神達の誰かでしょ?」
「そ〜よ〜、ちゃんと約束は守るのに、それを信じない誰かがやってるの。そんなの許せる?許せる筈ないわ!!」
「だからって子供達が可哀想では?」
「…………そんなの……分かってるわ」
「左様ですか。なら今回の彼等に頑張って頂かなければなりませんね」
「……えぇ………でも、本当に……今回は…大丈夫な気がするのよ」
エレノワとライアンが映る水面。
それを見守る女神の姿は、母そのものであるともう一人は思った。
今回の人生―――少しでも彼等に幸多からん事を…と願わずにはいられない。
「して…今後はどうなさるおつもりで?」
「そーねー?もう少しだけ彼等がどうするのか観てるのも…彼等の成長になるんじゃないかなって」
「………至って真面目に答えましたね。今までの貴女様なら『もう〜見てられない!助けなきゃ!』ってすぐ手を差し伸べてあげていたではありませんか」
「シルちゃん…それ私の真似なのかしら?」
「他に誰が居ると?」
「もう〜!!いーーっつもシルちゃんは私に酷いわ!プンプン!私だって…もうここ迄長引いていれば色々と考えるに決まってるでしょ」
「―――そうですね……女神様は口を開かなければ聖母で慈悲深い御方ですので」
「その間は何なのシルちゃん!?間は!」
三度の溜息と共に、シルは女神に一礼するとその場を後にした。
一方女神は、白い鳥が数羽飛ぶ景色をボンヤリ眺め瞳をとじる。
こんなつもりは無かった。
壁も愛し子の犠牲も……
戦争を止める為にした事が―――
過ぎてしまった事はもう…どうする事も出来ない。
だから今回で、終わりにするのよ。
“この世界から神々と女神が消える”事になったとしても。




