大陸のはじまり
この世界に広がる広大な大陸━━━━
その大陸は大きく四つに分断され、国との国境には高い壁にて隔たれていた。
その昔、四人の神は国を創ると同時に、どの国が優秀で神の血が濃いかを議論した。
ある一人は
【我が子孫こそ魔力があり優秀である】と…
また一人は
【魔力こそないが、頭脳明晰であり新たな物を生む力がある】のだと…
三人目は
【力こそ全て。力無き者弱者なり】
最後の一人は
【醜き姿、我ら美しき獣なりて劣るとは到底思わん】
四人の神による醜き争い…━━━━━
それぞれの民を巻き込み、国同士を争わせる。
ある国は魔法を使い、またある国は自らの力…武力で戦い。魔法も力も無き国は、それを補うだけの戦力を生み出した。人ならざる姿の獣人は、生きる獣全てを動かした。
草木は血に染まり枯れ果てた。
やがて、食べ物がなくなった国は飢えにより、国民の半数は病に侵され死んでいった。
それでも戦いは終わらない。
何故なら彼らにとって、神の言葉こそ全てなのだから…
産みの親である神達の言葉は、何よりも彼らを突き動かす原動力であった。
ましてや女神を見つけ出せば、世界を束ねられる等と神から告げられれば動かない訳にはいかなかった。
それに終止符を打ったのは、探し求めていた女神であった。
女神は、彼らの姿に憤り女神の神殿から姿を消した。
四人にとって女神は自身の分身であり、唯一無二の存在。嘆き哀しみ戻ってくれと懇願するも受け入れてもらえず、四人の負の感情が世界を多い尽くしたと言う。
見兼ねた女神は数百年に一度神殿に戻ると約束すると、四人の神達にも一つ約束をさせた━━━━
━━━━━数百年に一度現れる…各国の"愛し子"と我の子なる薔薇の痣を持つ者を━━━連れてくる事…それが条件だと……
女神はそれ以来、地上に身を潜めるよう国中を歩き見てまわった。神が犯した負の感情を少しで沈静出来ているか、確認する為に……
女神は隔たりなく民を獣人を愛した。
まるで我が子に対する無償の愛であるかのように━━━━━
しかし…其々の犯した罪はとてつもなく深く…人々の心を蝕み、他国を憎む事を女神の愛をもってしても癒すことは出来なかった。
―神聖典書 第零章― ~神と女神と愛し子と~