いつもの流れ
「ぃ、ぉぃ、おい……………おい!!!!」
俺は急に耳に飛び込んできた声に驚かされ、寝ていたベッドから飛び起きた、眼前には学生時代からの友達である髙土 和木がいた。朝っぱらからうるさい奴だ。
「なんだようるせぇな和木、休日くらいダラダラさせろよ」
「お前の場合いつも寝てばっかだろうが、19歳なんだからそろそろ仕事見つけなきゃいかん」
「別に困ってないですし、第一お前はちゃんと学生として学校に通ってるんだからいいだろ」
「いいからとっとと支度しろ!!」
そういう和木に急かされ仕方なく家を出る準備をする、なかなか着ていなかった黒いパーカーに黒いズボン…よれよれだけどまあいいか。
「お前ニートみたいな服装でハロワ行くのか?」
「とっくにニートみたいなもんだろ」
もはや俺は開き直っている、高校を卒業したはいいものの、大学へ行く訳でも無く就職もしなかった。そんでもって友達にハロワに連れて行かれる始末。あ〜惨めだ、きっと客観的に見たら俺超だらしないんだろうな。
「おーい、とっとと行くぞ時間がもったいない」
「おう、行ってら」
「………」
「………」
俺は和木の拳骨を一発喰らい、引きずられるようにして家を出ていった。なぜこんな目に遭うんだ、考えをめぐらせてみる、うん・・・大体の原因は俺だな、お疲れさん。
そんなことを考えてる間にも着々とハロワへは近づいている。
正直働くと言うのは面倒臭い、大事なことなんだろうけど・・・どうしたもんか
「あの〜」
俺は話しかけようとしたが、危険を察知し辞めることにした。
「なんだ?」
もし仮にここで働かないと言って帰ったらなんて言ったら殺されそうだったので、俺は喉元にまで出てきていた言葉を押し込む。
「いや、なんでもないよ」
「そうか……え?」
そんな会話をしているときだ。急に視界のど真ん中にトラックが映し出される。
おいおいどういう事だよ……なんでこんなに世界がゆっくりなんだよ………………………………………………………………………
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「すいませーん、ちょっといいですか?」
何処だここは、真っ暗だ、ああ、目を閉じてるだけだった。でも開けるのも面倒臭いな……一生このまま…
「あの〜、起きてます?聞こえてますか?」
そうだな、こんなに静かな場所なんだから寝なきゃ損に決まって・・・・・・
「目を開けろ!!」
なにかの声が聞こえてくる、最近の夢はだいぶ現実に近い声で聴こえるんだな…最近の夢ってなんだ?
「んー、あと10分」
「今すぐ起きろ!」
俺は誰かに体をゆすられ、起きた。正直なところ目を開けてることすら億劫だ。
「なんすか急に、誘拐ですか?キャーダレカー」
「なるほど、あなたは地獄行きでいいですね?」
「すんません調子乗りました」
割とマジな声のトーンで話されたため、少し引き下がってしまった。
本物のヤバいやつだった場合下手に刺激したらいかんしな・・・さすがに失礼か。
「よろしい」
そう行ってくる人物……人か?人っぽくないな…てか改めてここどこだよ。
「あのすいません、ここって何処なんですか?」
「ここは死後の世界ですよ、あなたトラックに引かれたでしょう」
「じゃあもしかしてあなたは」
「死後の行き先を決める神ですね」
何当たり前なこと言ってんだコイツと言わんばかりに目の前の人物はこちらを見てくる。
しょうが無いだろう、俺は現代っ子なんだから。急にこんな展開が来ても信じられるわけなかろうて。
そこで一緒にいた和木が居ないことに気づく。
「そういえば一緒にいたあいつは...」
「ああ、白髪のあの方ですか?それならば先に転生しましたよ。それで、あなたはどうするんですか?冥界に行くか、転生するか」
そう言って急かしてくる、でもなんて返すのが正解なんだろう。こういうのって普通あっちが決めるもんじゃないのか?まあいいか、とりあえずなんか言わないと。
「あーマジすか」
何かいい返答を考えたが、元々無い脳から絞り出した考えの結果出てきた言葉がこれだった。
あーマジすかは会話として成立すらしてねぇな、てかおいどうすんだよこれ…俺的には安心してスヤスヤできる方がいい、でも冥界に知り合いがいる可能性は皆無だ・・・知り合いの以内孤独は嫌だ。ひいじいちゃんならいるかもな。
「どうするんです?転生するか死者として過ごすのか」
「ちなみに転生するとどうなるんですか?」
「現在魔王に支配されている世界に転生します、その際に何かしらの能力も要望に沿って与えてあげますよ」
なるほど、和木がこっちを選んだのは能力を貰えるって部分だな、よし、和木が居るなら・・・
「じゃあ転生でお願いします」
「分かりました、ではどのような能力をお望みですか?」
おーまじか、どうしよう。こういう時に限って願いとかって出てこないんだよな…とりあえず自分の身を守れるくらいに強いのは欲しいな。
「自衛できるくらいのでお願いします」
「分かりました、自由にできるくらいのですね」
あー早く寝たい、沢山寝たら疲れるからまた寝ようってなっちゃうんだよな、これってある意味永久機関だろ・・・
「ちなみに転生先の世界だとステータスを映し出すことが出来ます、あなたに与えられた能力などもそこで見れますよ」
「あっ、はーいありがとうございました」
「それでは良い転生ライフを」