【対価を求めた医師】
私とミカは診療所の外に吹っ飛ばされて違う家屋に叩きつけられました。
(水を展開するのが遅れた!)
「師匠! ペリアが...!」
ミカの指差す方向に彼女は立っていました。
「気を引き締めなさい!! あれはもうペリアじゃない!」
私がそう叫んだ瞬間から彼女はその顔にペストマスクを被り何やら意味不明な呪文を唱えました。
すると...。
「ゲホッ...ゲホッ!」
「ミカ!? 大丈夫!?」
「く...苦しい...」
突然ミカが苦しみ出して胸を押さえ始めました。
よく見ると薄い霧状の何かがペリアの体から放出されているのが見えました。
(まさか...毒!?)
私はそう判断した後に速攻を仕掛けます!
拳を握りしめて思いっきり殴りかかる!!
(1発で決めてやる!!)
そう思った私の前に割り込んでくるロングコートにペストマスクを被った者達!
「邪魔をするなら全員ぶっ倒す!!」
そう思いながら顔面に一撃を入れた時に気がついてしまいました。
「...えっ? ハルト?」
「グフっ...」
血を吐きながら倒れる彼の体。
ついこの間まで私に優しくしてくれた者の命を私が奪ってしまった事に気がつきました。
「まずい!」
そう思った私が回復の魔法をかけようとすると...。
バンッ!!
「痛ッ!! このっ!!」
いきなり背後から棒のような物で叩かれたのでそいつに蹴りを入れました。
そいつは背が小さく子供のようだったので一撃を入れてやっただけで動かなくなります。
「よしっ! ハルト! 今回復してやるからな!」
そう言いながら回復魔法をかけようとした瞬間にペリアが動きました。
壊れた診療所の上に立ち、両手を広げて何かを呼ぶ様な仕草をしていると...。
「何...これ...」
私は目を擦って今起きている事が現実ではない事を祈りましたが、やはりこれは現実な様です。
そう...。
私の瞳には今までペリアが診療してきた者達が異形の存在として彼女を崇める景色が広がっているのでした。




