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【何も求めない医師】⑤

「確かに私にも家族がいたのかも知れない...、けど私にはその記憶がないんだ、あるのはただ何処かの国で医師をしていたと言うことだけ、この診療所も有志の好意で建てられただけの施設にすぎないしね」


 その言葉に私は再びツッコム。


「いやいやいや、有志の好意でこの診療所が建てられたのなら優しくされたことあるじゃん!」


 と言う私の言葉に彼女は首を横に振る。


「いいかいケロナ、有志が診療所を立てたのは自分達の誰かが病気になったときに私に観させる為に建てただけなんだよ、それは私のことを思ってやった行動じゃないよね?」


 確かに、そう考えるとタダで診療してくれる場所を綺麗にしただけでペリアの事は考えてないと思われるが、私はそう考えない。


「ペリア、あなたは患者の声を聞いた事がある?」


「患者の声?」


 不思議そうな顔をする彼女に私は言いました。


「隠れて見てたけど、あなたに診療された人たちは皆あなたにありがとうと言っていたでしょう? それはあなたが感謝されていると言う証拠だよ、かく言う私もあなたが頑張っていると思ったからこそサンドイッチを作った訳だしね」


「ふ〜ん...、でも感謝されている事と優しくされる事は違うよね?」


「確かに、あなたの言い分も分かる、けどこれからもこの行為を続けて行ったらあなたは確実に皆から優しくされるでしょうね」


 ペリアは私の言葉を意外そうな表情で聞いていました。


「私が皆から優しくされる?」


「ええ、どこの世界にタダで診療してくれる医者がいるのかってこと、そんな人に優しくする人はいつか必ず現れるはず、あんたの心境はともかくこんな事ができるのは世界中探してもペリアぐらいなものよ、胸を張って診療を続けなさい」


 彼女は私の言葉に刺激されているように見えるのでした。

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