【何も求めない医師】④
〜診察後の昼休憩〜
「んん〜...疲れたっと!」
そう言いながら裏部屋にあるミカの部屋に入ってくるペリア。
「さてと、ミカちゃんの容体はどうかな?」
「別に? いつもと変わらないけど」
「いつもと変わらない? だったら新薬の開発は大体OKかな」
そう言いながら再び自分の部屋に向かっていく彼女に私は言いました。
「ちょっと待ちなさい、お昼だし私の作った軽食でも食べてったら?」
「ケロナが作った軽食?」
ペリアは目を丸くしながら私の作ったサンドイッチを受け取りました。
「ずっと見てたけど、あんたご飯を食べる暇すらないじゃない、ちょっとは食べないと体がもたないぞ」
そう呟く私に彼女は驚きつつも笑いながら「ありがとう」と言いました。
「いや〜、他人に優しくするんじゃなくて自分が優しくされる日が来るとはね〜」
まるで自分が優しくされたことがない様に呟くその言葉に私はツッコミを入れる。
「なにその言い方、まるで今まで他人優しくされた事がないみたいじゃない」
「うん、私は誰かに優しくされた事がないんだ」
堂々とそう答えてくる彼女に私は思わず「はぁ!?」と言ってしまう。
「あんたにも家族くらいいたでしょ!? 優しくされた事がない人なんてこの世にいる訳ないでしょうが!」
その問いに対して彼女はクスッと笑う。
「それはケロナの中での意見だよね? 私にはこの町に来るまでの記憶がないんだよ」
衝撃的な事実に私もミカも固まってしまうのでした。




